簡単にいうと…
電源回路とは
入力電源から必要とされる出力電源を生成する
技術要素です。
代表装置としては、AC→DCへ変換するコンバータや、DC→ACへ変換するインバータ(狭義)がありますが、ここでは前者のコンバータ(AC-DCアダプタ)を例に見てゆきます。
詳しくいうと…
構造と仕組み
ACアダプタは、商用電源の交流電流を、電子機器が用いる直流電流へと変換する電子回路です。
電流は、たとえばコンセントプラグ–トランス(変圧器)–ダイオード–コンデンサ–DCジャックという順に流れてゆきます。
右図の回路図を使って、その交流→直流への変換模様を追ってみます。
交流→直流の変換①:電圧変換
最初に、商用電源AC(交流)100Vを、用いる電子機器に適した電圧まで降圧します。
トランス(変圧器)は、2種類の異なる巻き数のコイルとその間の鉄心を利用して誘導電流を起こすことで、電圧を変化させることができます。
交流→直流の変換②:整流
次に、交流電流は1秒間に50~60回も方向転換を行なうため、順方向のみの電流を取り出して整流します。
ダイオードには、ある一方向の電流のみを通し、逆方向の電流を通さない仕組みがあります。
この仕組みを利用し、ダイオード×4つを菱形状に接続すれば、交流電流の向きを回路上で一方向へと揃えることができます。
交流→直流の変換③:平滑化
最後に、まだデコボコと変動している電圧を均(なら)します。
コンデンサは、電気を蓄電し、それが一定電圧になると放電する仕組みを持ちます。
このコンデンサを利用して、電圧変動差を僅かにしてゆきます。
コンデンサの後にツェナーダイオードや三端子レギュレータなど、さらに電圧変動を安定化させる回路素子を経た電流のことを安定化電源と呼びます。
このように①電圧変換、②整流、③平滑化を経ることで、暴れん坊の交流電流はすなおな直流電流へとなだめられ、わたしたちが日頃用いる電子機器にとって扱いやすい電気の形式へと変換されるのでした。
この重量化を解消するため、スイッチング電源方式と呼ばれる電源回路があります。スイッチング電源方式では、電気は整流・平滑化→電圧変換という先ほどとは逆の順番で、かつ電圧変換部はパルス波電流によって処理されるため軽量な高周波トランスが利用可能になっています。
このスイッチング電源方式を用いているのが、スマートフォンの充電器などです。軽くてコンパクトですよね。
さらに知りたいなら…
つまり…
電源回路とは
入力電源から必要とされる出力電源を、電圧変換や整流、平滑化などの処理を経させて生成する
技術要素なわけです。
ACアダプタって何じゃったっけ…と思っていたが、電源ケーブルと一体化しておるあの重くて黒いやつじゃな! トランス(変圧器)の鉄心などが原因があんなに重たかったのか…
歴史のツボっぽくいうと…
- 1836年変圧器の発明アイルランドの牧師ニコラス・カランが一次コイルと二次コイルからなる誘導コイルを発明し、変圧器として広く用いられる
- 1873年ダイオードの原理の発見イギリスの物理学者フレドリック・ガスリーが、電流が一方向にしか流れないダイオード作用の基本原理を発見する
- 1896年電解コンデンサの発明アメリカのチャールズ・ポラックが、電解コンデンサの特許を取得する
- 1960年代スイッチング電源方式の開発アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)がNASA向けのアポロ誘導コンピュータに、スイッチング電源方式を採用する
<参考文献>(2019/08/31 visited)