この用語のポイント
簡単にいうと…
油圧モーターとは
高圧油(圧油)の圧力を動力源とする原動機
という技術個体です。
同じくアクチュエータ(駆動装置)の動力源である電動モーターなどに比べてパワフルです。エレベーターや工場のプレス機、ショベルカーやフォークリフト、自動車のブレーキなど、多くの場面で広く用いられています。
英語ではHydraulic motor(液体モーター)ですが、作動流体として高圧状態にしやすい油がもっぱら用いられるので油圧モーターと呼ばれます。高圧水を作動流体とする場合もあります。
詳しくいうと…
油圧モーターは、圧縮された油を取り込んで、回転運動や往復運動を生み出します。利用済みの油は排出されます。
機構のタイプに応じて、ベーンモーター、ギアモーター、ピストンモーターなどの種類があります。
ここではベーンモーターを説明します。右図のようなイメージです。
油圧モーターの構造と仕組み(ベーンモーターの場合)
これだけではわからないので、ざっくりとした内部構造を左図に示します。
まず、油圧ポンプが油を高圧状態にして、モーター側へ送り出します。
モーター内では、圧油が右から左へ流れ、途中にあるローターをその高圧の力で回転させます。
こうして、ローターと連結しているシャフトが回転し、他の作動機構へその回転運動エネルギーを供給することができます。
左図はこのローターの断面図です。
ローターの中心は、油圧モーター外殻の中心から少しずらされているか、外殻が楕円形になっていることが多いです。
ベーンはそれぞれ上下に可動します。
まず、吸込みポートから圧油が送られてくると、ベーンで仕切られた各部屋へ圧油が流れます。
各部屋の体積はそれぞれ異なるため、部屋同士の圧力差がローターの回転を助けます。
ローターを回転させた後の圧油は、吐出しポートやドレンポートへ逃げてゆき、その後また油圧ポンプで高圧状態にされるようリサイクルされます。
こうして油圧モーターは、その高圧の油を作動流体として、ローターをくるくる回転させ、ショベルカーの腕を動かしたり、エレベーターの箱を吊り下げている綱を巻き取ったりしています。
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油圧装置を全般的に解説した書籍。
油圧モーターについても1節分だけですが説明されています。
目次はこちらのサイトをご覧ください。
つまり…
油圧モーターとは
圧油の圧力を動力源とする原動機
という技術個体というわけです。
油の圧力、といわれてもピンと来んのぉ。。。沸騰した鍋の蓋がトコトコ揺れるあれかのぅ?
歴史のツボっぽくいうと…
1795年 イギリスの発明家ジョセフ・ブラマーが水圧プレスを発明する。
1845年 イギリスの発明家ウィリアム・アームストロングが水圧クレーンを発明する。
1900年 ドイツの技術者ハンス・トーマがアキシアルピストンポンプを発明する。
1925年 アメリカの発明家ハリー・ヴィッカースが平衡形ベーンポンプを発明する。
<参考文献>(2018/12/09 visited)
http://www.jfpa.biz/wp-content/uploads/bf0682a6b5b9de5d8588234db75b8355.pdf