望遠鏡

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この用語のポイント

・遠くの物体を、光や電波の集光・受信によって、間近で見るための装置だよ

簡単にいうと…

望遠鏡とは

 遠くの物体を、光や電波の集光・受信によって、間近で見るための装置

という技術要素・個体です。

ちなみに望遠鏡の英語telescopeは「tele-(遠くを)」+「scope(見るもの)」というギリシャ語由来の造語です。

ここでは、天体を観測する天体望遠鏡について見てゆきます。

詳しくいうと…

子どもの頃は誰しも、夜空に瞬く星々の大きさが、眼に見える通りの米粒サイズだと思っていました。

その一つひとつが、地球と同程度かそれよりずっと大きな星であることを、わたしたちは教科書や写真、あるいはここで紹介する望遠鏡によって知りました。

その星へわたしたちが実際に行って確かめたわけではありません。遠くの星が手元にあるかのように詳しく見てとることが、この望遠鏡によって可能になります。

 

望遠鏡の主なタイプとして、光を通じて間近に見る光学望遠鏡と、電波や赤外線などを通じて間近に見る電波望遠鏡があります。

光学望遠鏡

光学望遠鏡は、天体が発する光をレンズで受け止め、集め、拡大してくれるタイプです。

 

光学望遠鏡は、まず対物レンズ(凸レンズ)によって対象の像を捉えます。

次に、その光景をさらに接眼レンズ(凸レンズ)という別の小さなレンズへ引き渡します。

わたしたち人間の視覚系が、これら光学系{対物レンズ接眼レンズ}がもたらす像を見ることで、対象の細かな視覚情報を得ることができます。

 

 

電波望遠鏡

電波望遠鏡は、天体が発する電波を受け止め、解析して、天体の画像表示や含有成分の検出を行なうタイプの望遠鏡です。

(なお、天体は電波以外にX線なども発しているため、X線望遠鏡なども別にあります)

 

電波望遠鏡は、主にパラボラアンテナを用いて天体から降り注ぐ電波を集めます。大きな主反射鏡と、小さな副反射鏡で電波を反射させながら取り集めます。

こうして受信した天体の電波は、受信機によって周波数変換され、さらにデジタルデータ化されます。

この電波データがサーバへ送られると、特性が解析されたり、画像化されたりといったデータ加工が行なわれるのです。

 

以上のように望遠鏡は、それが発する光や電波などをレンズやアンテナによって取り集めることで、天体の消息を追跡(トレース)できるのでした。

 

望遠鏡の目標物である天体は、星(恒星や惑星)だけではありません。星々の集まりである星団や銀河系、あるいは宇宙空間に漂うガス(※電波望遠鏡の得意分野)などがあります。

2019年、国際プロジェクトチームが世界中の電波望遠鏡を用いて、ついにブラックホールの撮影に成功しました。ブラックホール自体は光を吸収するため目に見えませんが、周囲のガス内にぽっかり空いた黒穴によってブラックホールの存在を撮影したのです。ニュース記事はこちらを参照ください。

 

・望遠鏡は、遠くの物体を、光や電波の集光・受信によって間近で見るための装置だよ
・天体が発する光を集光して拡大する光学望遠鏡や、天体が発する電波を受信して解析する電波望遠鏡などのタイプがあるよ。
 

さらに知りたいなら…

スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち(2017年)
(←画像クリックでAmazonサイトへ)

南米チリの砂漠に広がる66台のパラボラアンテナ。この電波望遠鏡アルマの形成過程を、18年間もの取材を経て書かれた、濃密な1冊です。

たまにこうした科学技術のルポや伝記などを読むと、技術がより身近に感じられておススメです。

 
 

つまり…

望遠鏡とは

 遠くの物体を、光や電波の集光・受信によって間近で見たり、含有成分などの情報を解析するための装置

という技術要素・個体なわけです。

 

望遠鏡といえば光学望遠鏡を真っ先にイメージしたが、電波をキャッチするタイプもあるんじゃの?

翻って考えると、ふだんわしらが光を通して物を見ている”当たり前”自体を、このような区分けによって客観的に俯瞰できる気がするのう。

歴史のツボっぽくいうと…

  • 1608年
    ガリレオ式望遠鏡の発明
    オランダの眼鏡師ハンス・リッペルスハイが、凸レンズ(対物レンズ)と凹レンズ(接眼レンズ)を組み合わせた望遠鏡(オランダ式ないしガリレオ式)を発明する。

  • 1609年
    ガリレオの天文観測
    イタリアの物理学者・天文学者ガリレオ・ガリレイが、当初軍事用に利用されはじめた望遠鏡(倍率3倍)を夜空に向け、月のクレーターや土星の環、木星周囲の衛星などを観測する。

  • 1611年
    ケプラー式望遠鏡の発明
    ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが、対物・接眼レンズ両方に凸レンズを用いた屈折式望遠鏡を発明する。

  • 1656年
    ホイヘンスの巨大望遠鏡
    オランダの物理学者・数学者・天文学者クリスティアーン・ホイヘンスが、長さ37mの巨大な空気望遠鏡(筒構造ではなくレンズが他の支持物で固定されたタイプ)を覗いて、土星の衛星タイタンや、火星を観察する。

  • 1663年
    反射式望遠鏡の原理
    スコットランドの数学者ジェームス・グレゴリーが、2枚の凹レンズを用いた反射式望遠鏡の原理を発表する。

  • 1668年
    反射式望遠鏡の実機
    イングランドの数学者・物理学者アイザック・ニュートンが、反射式望遠鏡の試作機を発明する。

  • 1729年
    色収差の改善
    イギリスの法律家・発明チェスター・ムーア・ホールが、屈折率の異なる2種類のガラス材から対物レンズを作成。色収差(屈折時の色ズレ)を改善する。

  • 1932年
    天体からの電波を発見
    アメリカ・ベル研究所の物理学者・無線技術者カール・ジャンスキーが、天体が電波を発することを発見する。

  • 1940年
    電波望遠鏡の発明
    アメリカの天文学者グロート・レーバーが、自宅の庭に世界初となる電波望遠鏡を建造する。

 

 

<参考文献>(2019/04/29 visited)

天体望遠鏡 - Wikipedia
電波望遠鏡 - Wikipedia
空気望遠鏡 - Wikipedia
https://www.jp.tdk.com/techmag/knowledge/200609/index.htm
望遠鏡の原理
https://dbnst.nii.ac.jp/pro/detail/509
301 Moved Permanently
https://www.nao.ac.jp/news/science/2019/20190410-eht.html
望遠鏡の歴史
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