簡単にいうと…
ガラスとは
液体のような結晶構造を備えた固体の状態、とくに透明な物質
という自然加工物です。
詳しくいうと…
窓ガラスや鏡、電球や眼鏡、望遠鏡や顕微鏡など、光にまつわる環境や製品にはつねにガラスが登場します。ガラスの持つ、透明で硬い性質が、光をコントロールするのに大変便利だからです。
さて、そもそもガラスとは、
(1)液体のような不規則結晶構造をした固体一般(=ガラス状態)
(2)上記(1)のうち、とくに可視光線を透過する物質
を指します。ひとつひとつ見てみましょう。
(1)ガラス状態について
まずガラスは、「ガラス状態」という、独特の結晶構造を備えた固体の状態を指します。
まだ研究中ゆえはっきりとはわかっていませんが、ガラス状態にある物質内では、分子の構造が、おそらく不規則な編み目構造をしています。これは液体の結晶構造に類似しており、多くの固体に見られる規則的な編み目構造とは対照的です。
こうしたガラス状態をとる(ガラス化する)物質としては、いわゆるガラスでおなじみのケイ酸塩ガラス、硫黄、セレンなど無機物質のほか、スーパーの袋でおなじみのポリエステル、ポリエチレンなど有機物質などもあります。
(2)透明なガラスについて
さて、このようなガラス状態にある物質は、なぜ透明になれるのでしょうか?
通常の物質は、規則的な結晶構造からなっています。このとき、結晶の間の境界(粒界)が光の波長とちょうどマッチするため、光がこれら粒界にぶつかり、特定の色の光は吸収され、べつの色の光は反射されます(わたしたちの眼が感覚する、物体の「色」は、この反射された色のことです)。
これに対して、不規則な結晶構造をもつガラス物質では、その不規則さゆえに粒界が無いため、光を吸収・反射することがありません。光を物質内部に通り抜けさせ、これにより物質が透明に見えるのです。これがガラスの透明さの仕組みです。
ガラスの作り方
古代より一般的な溶融法で、ガラスの代表格であるソーダ石灰ガラスを作る仕方を図示します。
まず、溶融炉の中に、珪砂(SiO²)、ソーダ灰(Na₂CO₃)、石灰石(CaCO₃)などを投げ込みます。
次にこれらの混合物を、1,000℃以上の高温で加熱して融解させます。
すると、それぞれの物質が混ざり合ってソーダ石灰ガラスが生まれます。あとはこの熱々ドロドロのソーダ石灰ガラスを板状に成形して窓ガラスにしたり、吹き竿で息を吹き込んで膨らませてガラスコップなどにすれば、ガラス製品の完成です。
この溶融法以外にも、気化させたガラス原料を物質表面に付着(蒸着)させて化学反応によってガラス化させる気相法、ゲル化させたガラス原料を焼結させてガラス化させるゲル-ゾル法などのガラス製法があります。
ガラスの種類
ガラスの代表的な種類には、たとえば以下のものがあります:
・ソーダ石灰ガラス
・カリガラス
・石英ガラス
・強化ガラス
・鉛ガラス(クリスタルガラス)
・有機ガラス(プラスチックガラス)
以上のようにガラスは、その特異な結晶構造によって可視光線を透過させることで、今日もわたしたちの部屋に日光を透過させ、グラスに残っている飲料の量を一目瞭然にさせたり、眼鏡や望遠鏡のレンズとして光を屈折させたりしてくれているのでした。
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つまり…
ガラスとは
液体のような結晶構造を備えた固体の状態、とくに透明な物質
という自然加工物なわけです。
ガラスがないと、部屋に明かりが入らんのぉ…困るのぉ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前2250年前頃ガラスの製造メソポタミア地方(現在のシリア)で、本格的なアルカリ石灰ガラスが製造される
- 紀元前1世紀頃吹きガラス製法の確立メソポタミア地方(現在のシリア)で、吹きガラス製法が確立する
- 1670~1690年頃カリグラスの製造ボヘミア地方でカリグラスが製造される。
- 1678年クリスタルガラスの製造イギリスでラベンズクロフトが、鉛クリスタルガラスの特許を取得する
<参考文献>(2019/12/01 visited)