簡単にいうと…
政府間協議機関とは
複数国家間での全般的議題にかんする協議組織
という社会機関です。
「全般的議題」とは、経済、社会、政治、安全保障、文化など、比較的大域的かつ混合的なテーマを指します。
国際連合(UN)、欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)などがあります。
詳しくいうと…
政府間協議の必要性
よくテレビで「国連総会の演説で~」とか「ASEAN会合が開催され~」などが報じられますよね。
こうした機関はそもそもなぜ存在しているのでしょうか?
一般に、国と国、地域と地域の間には、一国だけでは解決できない課題がたえず発生しつづけています。たとえば歩調を合わせた軍縮活動や環境対策、関税や海洋資源の取り決め、グローバルな金融市場に対する対応、などが一例として挙げられます。
これら協議対象の必要性だけでなく、より上位の理念に対して国家間が賛意を示して一致団結する、という姿勢をも、協議機関は体現しています。たとえば「二度の世界大戦の反省から平和という理念を実現する」、「地域内の国家同士で経済共同体を実現する」などの理念です。
こうした課題と理念が、協議機関の必要性を表しています。
また、”政府”間協議であることから、各国より派遣される人物は、国家の行政機関の長(首相や大統領)か、長から交渉権限を託された大使であることが多いです。
いつの世の中でも、「会って話す」ことが基本です。政府間協議機関はこのようなトップレベルのコミュニケーションの場としても機能しています。
政府間協議機関の種類
政府間協議機関には、一例として、以下の組織があります:
国際連合(UN) |
欧州評議会(CE) |
欧州連合(EU) |
北欧理事会 |
アンデス共同体(CAN) |
南米諸国連合(UNASUR) |
湾岸協力会議(GCC) |
アラブ連盟(LAS) |
アフリカ連合(AU) |
アラブ・マグレブ連合(AMU) |
南部アフリカ開発共同体(SADC) |
東南アジア諸国連合(ASEAN) |
太平洋諸島フォーラム(PIF) |
太平洋共同体(SPC) |
アジア欧州会合(ASEM) |
先進国首脳会議(G7) |
各組織の理念や課題はさまざまです。
たとえば国際連合(UN)は、世界大戦の反省から設立され193か国が加盟している(2020年現在)もっとも広範かつ一般的な権限を有する組織です。
各地域でもこのような一般的な会合があり、たとえば欧州連合(EU)、北欧理事会、アンデス共同体(CAN)、アラブ連盟(LAS)、湾岸協力機構(GCC)、アフリカ連合(AU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、太平洋諸島フォーラム(PIF)などたくさんの組織があります。なかには、EUやCANのような「域内の単一通貨&パスポート不要」という緊密な経済共同体を志向するところもあります。
それぞれの地域組織には、互いに協働することで域内の課題解決を促進したり、対外的に強い発信力を備えるなどのメリットがあります。
以上のように政府間協議機関は、理念と課題を共有しつつ、国境を跨ぐ事案について日々調整を行なっているわけでした。
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つまり…
政府間協議機関とは
複数国家間での全般的議題にかんする協議組織
という社会機関なわけです。
ASEANとかG7とか、テレビでよく見かけるぞぃ。そこでどんな事柄が議論されているのか、もうすこし知ってみたいものじゃのぉ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1920年国際連盟の発足第一次世界大戦後に、史上初の国際平和機構である国際連盟が発足するが、国際紛争等に伴い脱退国が続出し、のちの国際連合へ継承される
- 1945年国際連合の発足第二次世界大戦後に、国際連合が51か国によって発足する(2020年現在で加盟国193か国)
- 1958年欧州経済共同体の設立一部のヨーロッパ諸国間でローマ条約が調印・発効され、欧州経済共同体および欧州原子力共同体が設立される
- 1967年ASEANの設立共産主義の波及を防止したいアメリカの支援のもと、それまでの東南アジア連合(ASA)を継承する形で東南アジア諸国連合(ASEAN)が設立される
- 1971年太平洋諸島フォーラムの設立フランスの核実験などに反対するために、太平洋諸島フォーラムが設立され、以降は主に域内の経済連携などが議論される
- 1993年欧州連合の設立欧州経済共同体・欧州原子力共同体・欧州石炭鉄鋼共同体の加盟国間でマーストリヒト条約が調印・発効され、欧州連合が設立される
<参考文献>(2020/08/07 visited)