簡単にいうと…
永久磁石とは
外部からの電磁場供給なしに、長期にわたり双極性の磁場を発生させる物質
という技術要素です。
詳しくいうと…
N(北)/S(南)と刻印された磁石があれば、それは永久磁石です。
棒磁石やコンパス(方位磁石)のほか、金属壁に引っ付くマグネット、モーターや発電機などに広く利用されています。
作り方と仕組み
ここでは一般的なフェライト磁石の作り方を見てみましょう。
①まず、磁石の原料として、酸化鉄にバリウムやストロンチウムなどを加えた化合物(フェライト)を、微粒子状にこなごなに砕きます。
②これらフェライト粒子を思うままの形に成形して、融点より低い温度でさらに焼き固めます(焼結)。
この成形・焼結された段階ではまだ、フェライト結晶内の磁界はバラバラで定まっていません。磁壁で区切られた磁区(磁界の最小区域)があちこちで違う方向を向いています。
多くの原子では、逆方向同士の電子スピンのペアによって磁界は打ち消されていますが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性体と呼ばれる一部の原子は、電子スピンのペアが不均衡なため磁界を生じます。
③この成形・焼結されたフェライトのそばで、コイルを張りめぐらせて電流を流します。すると、コイル内で生じる磁界に影響されて、それまでフェライト内で不均一だった磁区内の方向が揃えられ、フェライト全体の磁気方向が定着されます(着磁)。
これで永久磁石の完成です!
種類
永久磁石の主な種類には以下のものがあります:
・フェライト磁石
…現在主流の磁石。軽量で錆に強く、使い勝手が良い。
・ネオジム磁石
…少量でも高磁力をもつため、スマートフォンやハードディスクなど小型精密機器にも搭載可能。
・サマリウムコバルト磁石
…耐熱性があるため、高温環境で用いられるセンサーなどにも利用される。
・アルニコ磁石
…耐久性・耐熱性があり、計器類などで利用される。
以上のように永久磁石は、化合物を成形・焼結・着磁させることで、全体の磁気方向が定着させられた物体です。この工程を踏むことで今日も、部屋の壁に引っ付いているマグネットや、家電内のモーター、発電所の発電器などを動かす磁界を発しているのでした。
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つまり…
永久磁石とは
外部からの電磁場供給なしに、長期にわたり双極性の磁場を発生させる物質
という技術要素なわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前4世紀磁石への言及①古代ギリシャの哲学者プラトンが、著書『イオン』において磁性を帯びた「マグネシア(現トルコ西部)の石」について言及する
- 紀元前3世紀磁石への言及②古代中国の書物『呂氏春秋』において、鉄を引き寄せる「慈石」について言及される
- 1600年磁力の研究イギリスの医師・物理学者ウィリアム・ギルバートが、『磁石及び磁性体ならびに大磁石としての地球の生理』を出版、その後の電磁気学や電気工学に大きな影響を与える
- 1917年KS鋼の発明日本の物理学者 本田光太郎らが、KS鋼を発明する
- 1937年フェライト磁石の発明日本の化学者 加藤与五郎、武井武が、フェライト磁石を発明する
- 1982年ネオジム磁石の発明日本・住友特殊金属社(現 日立金属NEOMAX社)の佐川眞人が、ネオジム磁石を発明する
<参考文献>(2019/09/08 visited)