簡単にいうと…
トランジスタとは
電気を増幅したりON/OFFを切替えたりする
技術要素です。
なお「transistor」という名称は「transfer(伝達)」+「resistor(抵抗)」の合成語です。
詳しくいうと…
20世紀中頃に、それまで電子技術の主役だった真空管に代わり、トランジスタが登場しました。
真空管もトランジスタも、回路を流れる電流量を制御するという機能は同じですが、半導体技術によってコンパクトになったトランジスタは、今日の小型・薄型電子機器にとって不可欠な存在になりました。
ここでは基本的なバイポーラトランジスタについて説明します。
構造と仕組み
トランジスタの内部では、例として、次の3種類の半導体がセットになっています:
・エミッタ(n型半導体)
・ベース(p型半導体)
・コレクタ(n型半導体)
これら3種類の半導体の挙動を利用して、電流量を制御しています。その仕組みを見てゆきましょう。
左図は、トランジスタ(エミッタ–ベース–コレクタ)の接続された回路を示しています。
2種類の回路に、それぞれ電源①と②が接続されていますね。
まず、電源①を通電してみます。
このとき、電気は流れません。エミッタ内の電子とベース内の正孔が結合し、互いの電荷(-/+)を打ち消し合って、それ以上電子が左から右へ通れなくなっているためです。
そこで次に、電源②を稼働させてみます。
このとき、電流(電子の移動)が生じることで、ベース内で結合していた電子が回路上へと流れ出します。
これにより、先ほどは通れなかった通路がオープンしました。
あとは、ベース内の余った正孔を通路にして、電源①の回路上で電子が通行するようになり、電流が流れはじめます。
要するに、電源②を切り替えることで電源①の回路電流をON/OFFさせたり(スイッチ機能)、電源②の電流量を調整することで電源①の電流量を制御できるわけです(増幅機能)。
以上のようにトランジスタは、半導体内の電子と正孔の振る舞いを制御する回路と、それによって通電される回路を組み合わせることで、回路を流れる電流量のON/OFF切替や制御ができるようになります。
そして日々わたしたちの用いる電子機器の回路をひっそりとコントロールしてくれているのでした。
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つまり…
トランジスタとは
電気を増幅したりON/OFFを切替えたりする
技術要素なわけです。
サッカーで優れた選手のことを「ファンタジスタ」と呼ぶが、なんだか音がそれに似ておるのぉ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1947年点接触型トランジスタの発明アメリカ・ベル研究所のジョン・バーディーンとウォルター・ブラッテンが、半導体に関する研究の過程で増幅作用を発見、点接触型トランジスタを発明する
1956年にウィリアム・ショックレーを加えた3名はノーベル物理学賞を受賞する
- 1960年代小型ラジオ・テレビの登場真空管に代わってトランジスタを用いた小型のラジオやテレビが販売される
<参考文献>(2019/09/01 visited)