使い捨てカイロ

技術要素
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この用語のポイント

・鉄粉が酸化する際の発熱反応を利用して温まるよ

簡単にいうと…

使い捨てカイロとは

 鉄粉の酸化反応時の発熱反応を利用して温まる

技術要素です。

詳しくいうと…

使い捨てカイロを買いました。早く暖まりたいので、外装を破ります。

出てきた内装は、空気を通す繊維で出来ており、破ると鉄粉活性炭バーミュライト(多孔質で水分含む)の粉が出てきます。

 

この内装をゴシゴシ擦ると、空気(酸素)が活性炭の助けを借りて内側へ供給されます。

すると、鉄粉酸素を得ることで酸化反応を起こします。バーミュライトの水分がこの酸化を促進します。

この酸化反応と同時に、発熱反応が起こり、こうしてカイロが適度な温度で温まるというわけです。

 

右図はこの化学反応を示しています。上段の鉄・酸素・水が、より化学エネルギーの小さな水酸化第二鉄へと変化します。

この際、自由に運動していた分子・原子・イオンなどが、無理やり結合されることで、余分な運動エネルギーが熱となって放出されるのです。

この発熱反応は、だいたい14時間持続し、平均50℃程度を保ちます。

 

以上のように使い捨てカイロは、鉄が酸化する際の発熱反応を上手く利用して、ゴシゴシ擦って酸素を供給してあげるだけで温かくなる、化学反応のつまった袋なのでした。

・使い捨てカイロは、鉄粉が酸化する際の発熱反応を利用して温まるよ
・内装の中には、鉄粉・活性炭・バーミュライトなどが入っているよ
 

さらに知りたいなら…

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それまで未知だった製品が、どのようなプロセスでわたしたちにとっての当たり前になったのか、そんな舞台裏を知ると視野が広がりそうですね。

 

つまり…

使い捨てカイロとは

 鉄粉の酸化反応時の発熱反応を利用して温まる

技術要素なわけです。

 

ということは、わしらがカイロをゴシゴシするとき、わしらはちょっとした化学者になっているわけじゃな?

歴史のツボっぽくいうと…

  • 平安時代~ 江戸時代
    温石の普及
    日本で、温めておいた石(温石)を懐に忍ばせる暖の取り方が普及する

  • 明治時代
    カイロ灰の利用
    日本で、炭粉を携帯容器内で燃焼反応させるカイロ灰が利用される

  • 1923年
    ベンジンカイロの利用
    日本の実業家 的場仁市が、白金の触媒作用により気化したベンジンをゆっくり酸化・発熱させるベンジンカイロを開発する

  • 1975年
    使い捨てカイロの開発
    日本の旭化成社が、アメリカ陸軍が使用していたフットウォーマーを参考に、鉄粉を酸化反応させた熱を利用する使い捨てカイロを開発、鍼灸院などで販売される

  • 1978年
    使い捨てカイロの普及
    日本のロッテ電子工業社が日本純水素社と共同開発した使い捨てカイロ「ホカロン」が販売され、全国に普及する

 

 

<参考文献>(2019/03/16 visited)

発熱反応 - Wikipedia
Hand warmer - Wikipedia
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きりばい|桐灰化学株式会社
暖かさとともに100余年。寒いも熱いも暖かいも、ヒトの感じる温度を追求する桐灰化学の総合トップページです。はる、カイロ、熱中対策、あずきのチカラ、ニューハンドウォーマー、コリ改善、不思議なくつ下、かかとケア、エアコン洗浄など。
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http://sciencewindow.jst.go.jp/html/sw0B/sr-life
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