#2020/09/17 縦割りが生じるくらい、『行政機関』はたくさん分かれていたりします。

熱の技術

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この用語のポイント

・熱エネルギーの移動を、有用な布置となるようコントロールするよ

簡単にいうと…

熱の技術とは

 熱エネルギーの移動を、有用な布置となるようコントロールする

という工夫のことです。

英語ではTechnology of heatと書きます。

詳しくいうと…

熱に満ちた風景

日本では、春は暖か、夏は蒸し暑く、秋は涼しい、そして冬は寒いです。

これは太陽の高さや日照時間が、地球の公転周期に応じて変化するためですね。

この春化秋冬に応じた温度・湿度の変化が、季節風を生み、動植物を冬ごもりさせ、わたしたちのポケットにカイロを忍ばせています。

 

実際、こうした温度・湿度は、ある空間全体に対して働きかけるため、その空間内にあるすべての物・生物を変調させずにはいられません。

たとえば採れたての鉄鉱石を純粋な鉄へ製錬するには1,000℃以上の超高温が必要ですし、ゴミの焼却にも高温が必要です。

また電熱器(電気抵抗で熱を生み出すパーツ)がなければ、わたしたちの髪や服を乾かすことも、シャツをアイロンがけすることも、ヒーターで暖房をとることもできなくなります。

逆を言えば、熱さえコントロールできれば、鉱石を製錬し、ゴミを焼却し、髪を乾かし、室内を暖かく/涼しくさせることができるというわけです。物を加工し、料理ができ、それぞれの生物にとって快適な空気を作り出すことができます。

 

そうした工夫のポイントは、大きくわけて3種類あります:

 ①熱を他Eからどのように変換するか?        ⇒加熱器の工夫

 ②熱をどのように奪うか?

          ⇒冷却器の工夫

 ③湿度をいかに増減するか?

          ⇒調湿器の工夫

 

①~③の工夫について、一つひとつみてゆきましょう。

 

加熱器

加熱器は、熱(分子運動の熱運動)を発生・移動させてくるための装置です。

火で直接間接に熱する、摩擦熱、化学的な熱反応、電熱効果などによって加熱します。

たとえば溶鉱炉、ボイラー、鍋、ライター使い捨てカイロ、溶接装置、電熱器、電子レンジエアコン、電気ヒーターなどがあります。

加熱器
加熱器とは、熱エネルギーを生成する装置の総称だよ

冷却器

冷却器は、空間・物体中の熱を吸い取って奪い、他の空間・物体へ移動させていく装置です。

自然放熱、空気冷却、液体冷却、気化熱、電磁気による冷却などの方法があります。

たとえば、放熱フィンファン復水器、エアコン、冷蔵庫ペルティエ素子などがあります。

冷却器
冷却器とは、熱エネルギーを奪うことで温度を下げる装置の総称だよ

調湿器

調湿器は、空間・物体中の湿気(水分)を奪い去ったり、逆に供給することで、湿度を変化させる装置です。

温風で乾かしたり、蒸発によって水分供給したりします。湿度は熱と密接な関係をもち、そのため調湿器にはしばしば加熱器が用いられます。

たとえば、ヘアドライヤー、衣類乾燥機、穀物乾燥機、除湿器加湿器、スプレーなどがあります。

調湿器
調湿器とは、湿度を調節したり乾燥させたりする装置だよ

 

「調湿器」という言葉はこのサイトの造語です。

 

・熱の技術は、熱Eの移動を、有用な布置となるようコントロールする工夫だよ
・具体的には、熱を加える加熱器、熱を奪う冷却器、湿度を変化させる調湿器、などの工夫があるよ
・これらの工夫は、ホモ・サピエンスに加工・調理作業などを可能にし、また快適だと感じる空気を作り出しているよ
 

さらに知りたいなら…

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ハンドブックではありますが、空気調和について、その思想、熱負荷計算、空気調和計算、熱源装置(熱交換器や冷凍機など)、自動制御方法など、500ページ近くに渡って広く知ることができます。目次はこちらのサイトをご覧ください。

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個々の製品は詳しくないですが、「概要だけでもいいから家電のことを幅広く知りたい!」という方向けです。

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エアコンや冷蔵庫の仕組みにちょっと興味あるなぁ。。。くらいの方にもちょうどよさそうですね。

 

つまり…

熱の技術とは

 熱エネルギーの移動を、有用な布置となるようコントロールする

という工夫のことです。

 

わしらにとって快適な空気、つまり快適な温度・湿度とは、つまり、何も感じない空気のことじゃ。不快な温度・湿度になったときだけ、わしらは違和感を覚え、暖めたり冷やしたり、加湿したり除湿したり、工夫を凝らす。
ここから、”空気調和(Air Conditioning)”という概念が20世紀初頭に生まれたわけじゃな。

歴史のツボっぽくいうと…

加熱器
  • 旧石器時代~新石器時代
    焼石による料理
    焼石プレートを使ったパンがつくられる。

  • 紀元前1世紀頃
    世界で最初期の高炉
    中国で前漢時代に高炉がつくられる。

  • 12世紀頃
    温石の利用
    日本で平安時代に、温石が用いられはじめる。

  • 12~14世紀頃
    西洋で最初期の高炉

    西洋で最初期の高炉がスウェーデンでつくられる。

    以降、製鉄地域で、熱源になる木炭の不足が深刻化する。

  • 17世紀
    フリント式銃の発明
    ヨーロッパでフリントロック式のマスケット銃が発明される。

  • 1709年
    コークスの研究

    イギリスの製鉄業者エイブラハム・ダービー1世が

    そのままでは不純物の多かった石炭を蒸し焼きにすることでコークスをつくり、

    以降、コークスが高炉の新たな熱源になる。

  • 1772年
    フリント式点火器の発明

    日本の発明家平賀源内が、

    フリントロック式銃の点火装置に似た、刻み煙草用点火器を発明する。

  • 1800年
    電弧放電の発見
    イギリスの化学者ハンフリー・デービーが

    瞬間的な電弧放電の現象を発見する

  • 1802年
    持続的な電弧放電
    ロシアの物理学者ヴァシーリー・ウラジーミル・ペトロフが

    持続的な電弧放電の現象を発見する

  • 1854年
    日本で最初期の高炉
    日本初の近代高炉が、薩摩藩の集成館事業により鹿児島市に建設される。

  • 明治時代
    カイロ灰の利用
    日本で、炭粉を携帯容器内で燃焼反応させるカイロ灰が利用される

  • 1881年
    アーク溶接の開発①
    フランスで発明家ニコライ・ベナルドスがアーク溶接法を実演する

  • 1881年
    アーク溶接の開発②
    フランスの発明家オーギュスト・ド・メリタンスが

    電池の鉛板の接合に炭素アーク熱を利用する

  • 1890年
    シート型ヘアドライヤー
    フランスの美容師アレクサンダー・ゴッドフロイが

    自身の美容院用にガスストーブ式シート型ヘアドライヤーを発明する。

  • 1900年代
    電磁調理器の特許取得
  • 1903年
    フリント石の改良

    オーストリアの化学者カール・ヴェルスバッハが

    セリウム70%鉄30%の高効率フリント石(フェロセリウム)の特許を取得する。

  • 1905年
    ニクロム線の開発
    アメリカの技術者アルバート・マーシュが

    ニッケルとクロムの合金で電気抵抗・耐熱性の高い、ニクロム線を開発する

  • 1911年
    ヘアドライヤーの特許
    アメリカの発明家ガブリエル・カザンジアンが

    送風式ドライヤーの特許を取得する。

  • 1913年
    フリント式ライターの販売
    アメリカのロンソン社が、現代のライターの原形となるものを販売する。

  • 1915年頃
    ヘアドライヤーが一般販売

    アメリカのNational Stamping & Electricworks社が

    一般消費者向けのヘアードライヤーを販売。過熱・漏電等が問題化する。

  • 1923年
    ベンジンカイロの利用
    日本の実業家 的場仁市が、白金の触媒作用により気化したベンジンをゆっくり酸化・発熱させるベンジンカイロを開発する

  • 1933年
    オイルライターの販売

    アメリカのジョージ・ブレイスデル社がオイルライター(ジッポー)を販売する。

  • 1945年
    電子レンジの発明

    アメリカの軍需メーカー、レイセオン社の技術者パーシー・スペンサーが

    マグネトロンを利用した電子レンジを発明、特許を取得する。

  • 1947年
    電子レンジの発売
    レイセオン社が電子レンジを一般販売する。当時は高さ1.8m、重さ340kg、消費電力3000W。他社メーカーもこれに参入。
  • 1950年代
    電磁調理器のデモ展示
    アメリカのジェネラル・モーターズ社が電磁調理器を展示する
  • 1959年
    日本で国産電子レンジ開発
    東京芝浦電気(現東芝)が電子レンジを開発する。
  • 1971年
    電磁調理器の販売
    アメリカのウエスティングハウス・エレクトリック社が電磁調理器Cool Top 2 Induction rangesを販売する
  • 1970年
    電子レンジ搭載自販機
    日本万国博覧会の周辺で、電子レンジを搭載したハンバーガー自動販売機が登場、話題を集める。
  • 1975~76年
    批判的まなざし

    雑誌『暮らしの手帳』が特集「電子レンジ―この奇妙にして愚劣なる商品」を掲載、酷評する。

  • 1975年
    使い捨てカイロの開発
    日本の旭化成社が、アメリカ陸軍が使用していたフットウォーマーを参考に、鉄粉を酸化反応させた熱を利用する使い捨てカイロを開発、鍼灸院などで販売される

  • 1978年
    使い捨てカイロの普及
    日本のロッテ電子工業社が日本純水素社と共同開発した使い捨てカイロ「ホカロン」が販売され、全国に普及する

 

冷却器
  • 1556年
    鉱山換気用ファンの記述

    ドイツの鉱山学者ゲオルク・アグリコラが著書『デ・レ・メタリカ』で、鉱山換気用のファンについて記述する。

  • 1748年
    気化熱の発見
    イギリスの化学者カレンが気化熱を発見。

  • 1758年
    気化熱の実験

    蒸発時に生まれる熱移動(気化熱)を利用して物体を冷却する実験をフランクリンらが行なう。

  • 1769年
    復水器付き蒸気エンジン

    イギリスの技術者ジェームズ・ワットが、ニューコメンの蒸気エンジンの改良型(復水器付き)を製作する。

  • 1803年
    初期冷蔵庫の発明

    アメリカの豪農ムーアが、氷を利用して冷蔵する道具を作成し、これに「refrigerator(冷蔵庫)」と名付ける。

     (電気冷蔵庫以降、ムーアのこの道具は「icebox」と再命名される)

  • 1820年
    アンモニア冷却の発見
    イギリスのファラデーが、液化アンモニアによる冷却を発見。

  • 1820年
    アンモニアの気化熱実験
    加圧により生まれる液化アンモニアの蒸発時に周囲の空気が冷却する実験をファラデーが行なう。

  • 1834年
    エーテル製氷機の発明

    アメリカの発明家パーキンスが、エーテル(有機化合物)を用いた圧縮型の製氷機を作成。

  • 1834年
    ペルティエ効果の観察
    フランスの物理学者ジャン=シャルル・ペルティエが、異なる2種類の金属に電流を流すと熱も輸送する現象を観察する。

  • 1840年頃
    表面復水器の試作
    表面復水器の試作機が登場する。

  • 1842年
    氷で病室が冷房される
    医師ジョン・ゴリーが、圧縮技術で氷を作って患者のために病室を冷やした。その後、都市の空調集中制御を構想した。

  • 1856年
    エーテル冷蔵庫の開発

    オーストラリアのハリソンが、実用的な圧縮型エーテル冷蔵庫を開発。ビール業界・食肉加工業界で利用される。

  • 1902年
    電気エアコンの製造
    アメリカのウィリス・キャリアが電気式エアコンを製作、印刷工場の温度・湿度を調整した。

  • 1902年
    自然冷却の自動車エンジン
    アメリカのフランクリン社が空冷自動車エンジンを開発する。

  • 1906年
    空気調和の概念登場

    アメリカのクラマーが、織物工場内の加湿機に「エア・コンディショニング(空気調和)」と名付ける。(”water conditioning”という織物製造過程からの着想)

    以降、”人間や製造物を囲む大気環境の調節”という発想が普及。

  • 1927年
    電気冷蔵の普及

    アメリカのGE社が製造した家庭用の電気冷蔵庫、100万台以上を生産し一般に広く使われる。

    同年、日本の日立製作所が電気冷蔵庫の試作に成功。

  • 1928年
    フロンの発明

    アメリカの化学者トマス・ミジリ―が、人体に無害な冷媒「フロン」をアンモニアの代替物として発明。

  • 1928年
    フロンの発明

    アメリカの化学者トマス・ミジリ―が、人体に無害な冷媒「フロン」をアンモニアの代替物として発明。

  • 1950年代
    エアコンの普及
    アメリカで家庭用エアコンが普及

  • 1950年代
    日本で冷蔵庫が普及
    日本で、電気冷蔵庫が急速に普及。三種の神器のひとつと呼ばれる。

  • 1974年
    オゾン層破壊の警鐘

    アメリカのローランド&モリーナが、フロンなど塩素原子が成層圏で活性化しオゾンを分解すると発表。

  • 2008年
    ヒートポンプ技術の重要性

    国際エネルギー機関(IAEA)が、『エネルギー技術展望2008』のなかでヒートポンプ技術を含む17の主要エネルギー技術をとりあげる。

 

調湿器
  • 1890年
    シート型ヘアドライヤー
    フランスの美容師アレクサンダー・ゴッドフロイが

    自身の美容院用にガスストーブ式シート型ヘアドライヤーを発明する。

  • 1902年
    電気エアコンの製造
    アメリカのウィリス・キャリアが電気式エアコンを製作、印刷工場の温度・湿度を調整した。

  • 1905年
    ニクロム線

    アメリカの技術者アルバート・マーシュが

    電気抵抗が大きく電熱器に利用可能なニクロム線を開発する。

  • 1906年
    空気調和の概念登場

    アメリカのクラマーが、織物工場内の加湿機に「エア・コンディショニング(空気調和)」と名付ける。(”water conditioning”という織物製造過程からの着想)

    以降、”人間や製造物を囲む大気環境の調節”という発想が普及。

  • 1911年
    ヘアドライヤーの特許
    アメリカの発明家ガブリエル・カザンジアンが

    送風式ドライヤーの特許を取得する。

  • 1915年頃
    ヘアドライヤーが一般販売

    アメリカのNational Stamping & Electricworks社が

    一般消費者向けのヘアードライヤーを販売。過熱・漏電等が問題化する。

  • 1926年
    蒸気式加湿器の発明
    アメリカのマックス・カッツマンが、息子の病気治療のため、室内湿度を高めようとヤカンに火をかけていたところ爆発。これをキッカケに電気供給による蒸気式加湿器を開発、加湿器メーカーKaz社を創設する。

  • 1928年
    フロンの発明

    アメリカの化学者トマス・ミジリ―が、人体に無害な冷媒「フロン」をアンモニアの代替物として発明。

 

 

<参考文献>(2019/03/21 visited)

熱エネルギー - Wikipedia

 

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