原子力電池

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簡単にいうと…

原子力電池とは

 半減期の長い放射性物質から生じる熱を電気へ変換する

技術要素です。

アイソトープ電池、放射線電池などとも呼ばれます。

主に宇宙探査機の電源として搭載されます。

詳しくいうと…

原子力電池(放射線を電気へ換える仕組み)を実現する方式には、熱電変換方式、アルカリ金属熱変換方式、光電変換方式などがありますが、

ここではアメリカNASAの宇宙探査機で用いられてきた熱電変換方式の原子力電池(通称RTG: Radioisotope Thermoelectric Generator)について説明します。

構造と仕組み

宇宙探査機に搭載される電子力電池は、右図のような外観をしています。中身を見てみましょう。

 

 

 

内部には主に、熱源(プルトニウム238など半減期の長い放射性物質)のほか、熱電変換素子冷却管放熱フィンなどがあります。

 

熱源内の原子核崩壊に伴い、放射線とともに継続的な熱が周囲に生じます。

熱電変換素子は、この熱源と、冷やされた外側(冷却管放熱フィン)の間に挟まれて温度差が生まれることで、電流を発生させます(ゼーベック効果)。

 

ゼーベック効果とは、温度差によって物体内の電子-正孔の関係が変化して、電流が生じる物理現象のこと。熱を利用した発電方式はこのゼーベック効果にだいたい依拠しているよ。

 

以上のように原子力電池は、放射性物質の核崩壊時に生じる熱を利用して、熱電変化素子を通して電気へと変換します。用いられる放射性物質の半減期(放射線が強く放たれる期間)が長いため、数十年以上にわたって利用が可能です。

他方、搭載される際には事故時の放射線漏れなど、厳重なリスク対策が求められます。

原子力電池にはそのようなリスクがあるため、宇宙探査機の電力源としては通常、太陽電池などが利用されます。太陽電池が設置できない、あるいは長期間にわたって宇宙航行する場合には、原子力電池が検討されます。

 

・原子力電池は、半減期の長い放射性物質から生じる熱を、電気へ換えるよ
・熱を電気へ換えるには、ゼーベック効果を発揮する熱電変換素子が用いられるよ
・原子力電池は、長期航行する宇宙探査機などに搭載される場合があるよ
 

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つまり…

原子力電池とは

 半減期の長い放射性物質から生じる熱を電気へ変換する

という技術要素なわけです。

 

宇宙探査機に搭載される原子力電池は、電池(battery)とはいえ、乾電池のようなちょこんとしたサイズではなく、ひとの身長以上もある巨大なユニットじゃのう。

歴史のツボっぽくいうと…

  • 1954年
    RTGの発明
    アメリカの科学者ケン・ジョーダンとジョン・バーデンが、熱電方式原子力電池(RTG)を発明する。

  • 1961年
    RTGの実用化
    アメリカの人工衛星トランシット4AにRTGが搭載される。

 

 

<参考文献>(2019/08/19 visited)

原子力電池 - Wikipedia
放射性同位体熱電気転換器 - Wikipedia
Radioisotope thermoelectric generator - Wikipedia
熱電変換素子 - Wikipedia
放射性崩壊 - Wikipedia
http://spacenuclear.jp/nuclear/rtg0.html
原子力電池(アイソトープ電池) (08-04-02-08) - ATOMICA -
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