簡単にいうと…
原子炉とは
核分裂反応を制御しつつ熱を得る
技術環境です。
発電設備や戦艦、潜水艦などの動力として用いられています。
ここでは発電設備の原子炉(軽水型)を説明します。
詳しくいうと…
構造と仕組み
原子炉の熱によって蒸気タービンを回転させて発電する施設を、原子力発電所と呼びます。
主に、原子炉格納容器、その中の原子炉圧力容器(原子炉)、核燃料、制御棒、圧力抑制プールから構成されています。
仕組みとしてはまず、原子炉内の核分裂反応により強力な熱が生じます。この際、炉内へ注水された水は気化して蒸気へ変化されます。
その後、この蒸気が炉外の蒸気タービンと発電機を回転させて発電します。
利用後の蒸気は、復水器内の海水パイプなどで冷やされて水へ戻り、再び炉内へと注水されてリサイクルされます。
核分裂反応を停止する際は、制御棒が下から格子状にせりあがってきて核燃料単位同士の間に割り込み、分裂の連鎖反応を引き起こす中性子の放出をキャッチし、分裂を止めることになります。
また圧力抑制プールは、万一原子炉内の配管が破損して高圧蒸気が格納容器内に充満した際に、蒸気をこのプールへ逃がして圧力を低下させる機能があります。また、原子炉を冷却する機能が失われた際に、非常用の冷却水を供給する役割も果たします。
以上のように原子力発電所内の原子炉は、核分裂反応の制御を行ない、そこから得られる強力な熱によって水を蒸気へ気化させ、蒸気タービンや発電機を回転させることで電気を得る仕組みになっています。
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つまり…
原子炉とは
核分裂反応を制御しつつ熱を得る
技術環境なわけです。
2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故はまだ記憶に新しいの。あのときは、燃料や制御棒などからなる炉心が融解し(メルトダウン)、さらに原子炉圧力容器の底も融解させて、原子炉格納容器の底にまで核燃料が漏出(メルトスルー)してしまったんじゃ。
さらに悪化していれば、格納容器をも破壊して完全に原子炉外へ核燃料が漏れ出てしまう(メルトアウト)というさらなる大惨事になるところじゃった。
わしも当時テレビやネットの前で事態の進捗に戦慄していたものじゃわぃ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1938年核分裂反応の発見ドイツの化学者オットー・ハーンと物理学者リーゼ・マイトナーが、中性子をあてたウラン原子核が分裂することを発見する。
- 1942年最初の原子炉での実験イタリア生まれの物理学者エンリコ・フェルミが、移住先のアメリカで、世界最初の原子炉「シカゴ・パイル1号」を完成させ、原子核分裂の連鎖反応の制御に史上初めて成功する。
- 1954年最初の原子力発電所ソビエト連邦(現・ロシア)のオブニンスク原子力発電所が、原子力発電所としては世界で初めて運転を開始する。
- 1955年最初の原子力潜水艦アメリカで、世界最初の原子力潜水艦「ノーチラス」が初航行する。
- 1960年最初の原子力空母アメリカで、世界最初の原子力空母「エンタープライズ」が進水する。
<参考文献>(2019/08/18 visited)