簡単にいうと…
家族とは
情緒的紐帯によって結ばれ、しばしば婚姻下にあり、多くの場合に人間個体の再生産を担う集団
という社会機関です。
同性愛の家族や、意図的 or 非意図的に子どもをつくらない(つくれない)家族もいるので、こんな回りくどい定義になりました。
ここからもわかる通り、今日、「家族」の在り方はつねに変容し続けています。
また学術的にも、多くの場合で批判的吟味の対象とされ、固定的イメージで以て素朴に「家族」という言葉を使うことには慎重さが求められます。
詳しくいうと…
家族の機能とその変容
家族とは、それを生物学的生態の延長として考える場合、
何よりもまず生物個体の再生産、すなわち子孫の生殖と保育を行なう単位です。
このようなつがいの単位があることで、生物種は続いてゆくことができます。
ただし社会的な単位として考える場合は、
生殖・保育以外にも色々な機能を家族は担っています。
Wikipedia先生の表がよくまとめられているので、下記に引用します:
内容 | 社会的アウトソース、現在の変化 | |
性的機能 | 結婚制度に基づいて、パートナー内では許容されるとともに、その外側においては性を禁止する秩序機能 | 同棲、未婚の母、事実婚 |
生殖機能 | 子孫を残す | 子供を持たないとの選択 |
扶養機能 | 老人介護、子供の面倒を見る機能 | 介護施設、保育園 |
経済的生産的機能 | 農業・自営業など、共同単位として経済的生産を行う | 会社・工場など外部での経済的生産 |
保護機能 | 外敵からメンバーを守る(とりわけ女性、乳幼児、病人) | 警察、病院など |
教育的機能 | 子供を育てるとともに、社会に適応した人格を形成する | 幼稚園、学校など |
宗教的機能 | 宗教、文化、伝統の継承 | 宗教が軽視される傾向 |
娯楽的機能 | 家庭内で娯楽を楽しむ | 遊園地、映画など |
社会的地位付与機能 | 親の職業や地位を引き継ぐ | 世襲の弱体化 |
# 引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F(2020/08/03 visited)
今日「家族」と呼ばれる社会集団は、上記機能群のうちのいくつかを果たしています。
個体の生活におけるそのメカニズム
定位家族
人間個体は、みな、(どのような形であれ)ある家族の中で生まれた、ある家族の中で養われて育ちます。
そこでわたしたちは、扶養され、保護され、教育されます。
一人暮らし
20歳前後になると、定位家族の家を出て、一人暮らしする人々も多くいます。
この間は、仕送りやアルバイト、働き始めてからは給料などで生計を立てながら、自らを扶養し、自らを保護し、自らを教育します。
生殖家族
やがて、生活をともにするパートナーと一緒に共同生活を送る人々も多くいます。
性的パートナーと生殖を行ない、子どもを設ける場合もあります。
この場合、新たに生まれて来る子どもにとって、そこが新たな定位家族となります。
婚姻制度におけるそのメカニズム
社会制度としての婚姻において、行政は、結婚する人々に届け出をさせます。
行政(この場合は自治体)は、この届け出により、他の届け出と同様
人口動態を把握して、行政サービスの対象者を管理することができます:
自治体への連絡例 | 自治体による業務利用 |
戸籍・住所の移動届 | 人口動態把握 行政サービス(税金優遇・子育て支援・相続手続きなど) |
婚姻届・離婚届 | |
妊娠届・出生届 | |
死亡届 |
以上のように家族は、その情緒的紐帯によって相互に補い合いながら、多くの場合生殖をして種を維持する機能をもつ集団なのでした。
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家族社会学の教科書として用いられ、前半の基礎編では家族・夫婦・親子といった基礎概念の説明を、後半の応用編では多様化する結婚・生殖補助医療・少子化・高齢者介護などの諸問題を解説します。
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つまり…
家族とは
情緒的紐帯によって結ばれ、しばしば婚姻下にあり、多くの場合に人間個体の再生産を担う集団
という社会機関なわけです。
文化資本の概念を提起したピエール・ブルデューは、たとえば「高学歴の親が育てる子は高学歴になりやすく高収入を得やすい」など、かつてマルクスが経済資本を批判的に吟味したのとは別の仕方で社会批判を遂行したんじゃ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 16世紀頃日本の家制度の誕生日本で、武士階級の家父長制をもとにして家制度が成立し、家督相続や本家/分家などの概念が生じる。
- 1947年日本の家制度の廃止日本で、日本国憲法の施行と同時に、憲法24条(家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等)に反するとの理由で家制度が廃止される。
<参考文献>(2020/08/03 visited)