簡単にいうと…
肥料とは
植物を生育させるために人間が施す栄養物質
という自然加工物です。
詳しくいうと…
あらゆる植物は、動物の食事と同様、その根から土壌の養分を吸収することで育ってゆきます。
吸収する、ということは、土壌の養分は植物の生育後にはスッカラカンになってしまう、ということです。
このため、植物のいわば餌となる栄養分を、土壌へ定期的に供給してあげる必要があります。
植物に必要な栄養分
植物は、以下の栄養分をその生育のために必要としています:
・窒素
…植物とりわけその葉を大きく成長さえる栄養分です。葉肥(はごえ)とも呼ばれます。
・リン酸
…開花・結実を促進する栄養分です。花肥(はなごえ)・実肥(みごえ)とも呼ばれます。
・カリウム
…根の発育や、細胞の浸透圧調整を促進する栄養分です。根肥(ねごえ)とも呼ばれます。
以上、最重要の栄養分である窒素・リン酸・カリウムは肥料の三要素と呼ばれます。
ここにカルシウムとマグネシウムを加えると、肥料の五要素と呼ばれます。
肥料の種類
これらの成分を含む肥料には、以下の種類があります:
・有機質肥料
…動植物由来の肥料。油粕・骨粉・草木灰・堆肥など。
・無機質肥料
…鉱物由来ないし化学合成品の肥料。リン鉱石・石油や、ハーバー・ボッシュ法により生成される固定窒素など。
以上のように肥料は、植物の生育に欠かせない栄養を含んでおり、これを田畑へ散布することで、わたしたちが食べる穀物・野菜・果物が今日も豊富に供給されることができるのでした。
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つまり…
肥料とは
植物を生育させるために人間が施す栄養物質
という自然加工物なわけです。
肥料の質は、その地域の人口増加をしばしば決定づける。河川流域で文明が発達したのもそのためじゃ。
また窒素化合物は、肥料だけでなく火薬の原料にもなる。第一次世界大戦時のドイツ軍は、ハーバー・ボッシュ法により製造されたアンモニアで火薬を賄っておった。数奇なものじゃな。
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前1万年~3000年頃沃土と四大文明の興りメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、長江文明などが、栄養分の豊富な肥沃な地域で農業とともに発達する
- 1798年マルサスの人口論イギリスの経済学者ロバート・マルサスが『人口論』を発表、食糧供給が人口増加量に追い付かず飢餓が蔓延するとの見方を提示する
- 19世紀チリ硝石の発見チリで、窒素を豊富に含む硝石が発見される。肥料としても火薬としても利用価値があるため、ヨーロッパが競って輸入を図る。
- 1906年ハーバー・ボッシュ法の開発ドイツの化学者フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが、窒素化合物であるアンモニアの製造に初めて成功する
<参考文献>(2019/12/20 visited)