肥料

自然加工物
スポンサーリンク
スポンサーリンク

簡単にいうと…

肥料とは

 植物を生育させるために人間が施す栄養物質

という自然加工物です。

詳しくいうと…

あらゆる植物は、動物の食事と同様、その根から土壌の養分を吸収することで育ってゆきます。

吸収する、ということは、土壌の養分は植物の生育後にはスッカラカンになってしまう、ということです。

このため、植物のいわば餌となる栄養分を、土壌へ定期的に供給してあげる必要があります。

植物に必要な栄養分

植物は、以下の栄養分をその生育のために必要としています:

 

窒素

…植物とりわけその葉を大きく成長さえる栄養分です。葉肥(はごえ)とも呼ばれます。

リン酸

…開花・結実を促進する栄養分です。花肥(はなごえ)実肥(みごえ)とも呼ばれます。

カリウム

…根の発育や、細胞の浸透圧調整を促進する栄養分です。根肥(ねごえ)とも呼ばれます。

 

以上、最重要の栄養分である窒素・リン酸・カリウムは肥料の三要素と呼ばれます。

ここにカルシウムとマグネシウムを加えると、肥料の五要素と呼ばれます。

肥料の種類

これらの成分を含む肥料には、以下の種類があります:

 

・有機質肥料

…動植物由来の肥料。油粕・骨粉・草木灰・堆肥など。

・無機質肥料

…鉱物由来ないし化学合成品の肥料。リン鉱石・石油や、ハーバー・ボッシュ法により生成される固定窒素など。

ハーバー・ボッシュ法は、1906年にドイツの化学者フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが開発したアンモニア生成法です。アンモニア(NH₃)には窒素(N)分子があり、この窒素が肥料として有効です。

それに先立つ1798年、イギリスの経済学者ロバート・マルサスは、「単位面積あたりの農作物の収穫量には限界があるため、農作物の量が人口増加量に追い付かず、このままでは飢餓と貧困が蔓延する」と警鐘を鳴らしていました。このため、肥料の人工的な製造は急務となっていました。

当時、とりわけ肥料の三要素のうち窒素は、鉱物資源であるチリ硝石に頼っており、枯渇が不安視されていました。

窒素は大気中の78%を占めるにもかかわらず、気体状態のままでは植物は吸収できません。窒素固定により生成される窒素化合物が必要です。

ハーバーとボッシュは、気体状態の水素と窒素を、それまで例のなかった高圧・高温状態に置き、さらに鉄を中心とする有効な触媒を発見することで、窒素化合物であるアンモニアの製造に人類史上初めて成功したのでした。全人類の飢餓というマルサスの危惧は、こうした化学工業のたえざる研究開発によって回避され、今日に至っています。

 

 

以上のように肥料は、植物の生育に欠かせない栄養を含んでおり、これを田畑へ散布することで、わたしたちが食べる穀物・野菜・果物が今日も豊富に供給されることができるのでした。

 

・肥料とは、植物を生育させるために人間が施す栄養物質だよ
・とくに窒素・リン酸・カリウムは、肥料の三要素と呼ばれているよ
・ハーバー・ボッシュ法はこのうち、窒素の化学生産に大きな貢献をしたよ
 

さらに知りたいなら…

土・肥料のきほん(2014年)
(←画像クリックでAmazonサイトへ)

肥料の種類からはじまり、その働きや施肥(せひ)の仕方などを、イラスト付きでわかりやすく説明する1冊です。

目次はこちらのサイトをご参照ください。
 

まんがでわかる 土と肥料(2018年)
(←画像クリックでAmazonサイトへ)

根っこの視点から、土と肥料の働きをわかりやすく解説するマンガ形式の1冊です。

肥料について、時間をかけずに一通り学びたい方向けです。

目次はこちらのサイトをご参照ください。
 
 

つまり…

肥料とは

 植物を生育させるために人間が施す栄養物質

という自然加工物なわけです。

 

肥料の質は、その地域の人口増加をしばしば決定づける。河川流域で文明が発達したのもそのためじゃ。
また窒素化合物は、肥料だけでなく火薬の原料にもなる。第一次世界大戦時のドイツ軍は、ハーバー・ボッシュ法により製造されたアンモニアで火薬を賄っておった。数奇なものじゃな。

歴史のツボっぽくいうと…

  • 紀元前1万年~3000年頃
    沃土と四大文明の興り
    メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、長江文明などが、栄養分の豊富な肥沃な地域で農業とともに発達する

  • 1798年
    マルサスの人口論
    イギリスの経済学者ロバート・マルサスが『人口論』を発表、食糧供給が人口増加量に追い付かず飢餓が蔓延するとの見方を提示する

  • 19世紀
    チリ硝石の発見
    チリで、窒素を豊富に含む硝石が発見される。肥料としても火薬としても利用価値があるため、ヨーロッパが競って輸入を図る。

  • 1906年
    ハーバー・ボッシュ法の開発
    ドイツの化学者フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが、窒素化合物であるアンモニアの製造に初めて成功する

 

 

<参考文献>(2019/12/20 visited)

肥料 - Wikipedia
ハーバー・ボッシュ法 - Wikipedia
チリ硝石 - Wikipedia
トマス・ロバート・マルサス - Wikipedia
世界四大文明 - Wikipedia
404 Not Found|住友化学園芸
...
肥料の移り変わり 園芸の歴史 園芸サポート 東京園芸資材販売株式会社
タイトルとURLをコピーしました