簡単にいうと…
詩とは
比喩やリズムにもとづき、感情・叙情・ビジョンを表現する文芸作品
という制作物です。
詳しくいうと…
詩とは、比喩やリズムを伴う文芸作品のことで、日本では俳句(5-7-5)や和歌(5-7-5-7-7)などを指します。
詩の比喩
詩の比喩(レトリック、あるいは修辞技法)には、下記3種類の手法があります:
・直喩
…比喩であることを明示する比喩のこと。
(ex.「人生は旅のようだ」)
・隠喩
…比喩であることを明示しない比喩のこと。
(ex.「人生は旅だ」、「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である」―『ヨハネによる福音書』)
・換喩
…概念の近接性にもとづき、意味が拡張された語句。
(ex.「永田町」=国会、「手が足りない」=ひとが足りない)
詩のリズム
・韻律
…音声の長短・強弱の組み合わせ。俳句(5-7-5)などはこちら。
・押韻
…類似の音を持つ音節の反復。boy-joy、land-standなど。
詩のジャンル
詩には、表現する主題に応じて、下記のようなジャンルがあります:
・物語詩
…物語を語る詩。
・叙事詩
…英雄や神話上の人物の生涯を語る詩。
・風刺詩
…しばしば政治家に対する風刺として書かれた詩。
・抒情詩
…詩人自身の感情や精神状態を表現する詩。
・エレジー(哀歌)
…主に死者を哀悼する詩。
・寓話詩
…擬人化された生物や無生物、自然の諸力を登場させる物語の詩。
・散文詩
…詩の手法が用いられつつも、形式にこだわらない詩。
以上のように詩は、その短い文章による概念上のアクロバットによって、今日も読者であるわたしたちの心をあちらへ、こちらへと飛躍させ、人類史における想像力の超克を刻んでくれているのでした。
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つまり…
詩とは
比喩やリズムにもとづき、感情・叙情・ビジョンを表現する文芸作品
という制作物なわけです。
ちなみに、わしの好きな現代詩にはこんなのがあるぞぃ:
「さまざまな眠りに就いた。鳥の数が増えた。
鳥の数が増えたぶんだけわたしの数も増えた。(…)
遠いところが希望ではなかったし、手のひら
の上にも砂漠はあった。」
―中村梨々『たくさんの窓から手を振る』
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前30世紀頃文字化された最古の詩メソポタミアのシュメール文明において、『ギルガメシュ叙事詩』が粘土板に書かれる
- 紀元前330年前頃詩学の誕生古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、その著作『詩学』において叙事詩・抒情詩・劇詩について記し、現代にいたるまでの詩論に根底的な影響を与える
<参考文献>(2020/05/12 visite)