この用語のポイント
簡単にいうと…
ボイラーとは
水を加熱して蒸気や湯を得る
技術要素です。
詳しくいうと…
ボイラーには、銭湯屋さんの湯沸かし器などがありますが、右図のように、タービン型蒸気エンジンで用いられるボイラーなど大型のものもあります。
これらボイラーにはさまざまな構造があり、主に次の2つにタイプ分けされます:
①水管ボイラー
ex. ―貫流ボイラー
―強制循環ボイラー
―自然循環ボイラー
②丸ボイラー
ex. ―煙管ボイラー
―炉筒ボイラー
―炉筒煙管ボイラー
―立てボイラー
それぞれの構造をみてゆきましょう。
水管ボイラー
水管ボイラーは、名前通り、水がパイプ中を通っており、パイプの外から火で熱せられる構造をしています。
ヤカンでお湯を沸かすのとだいたいおなじです。
この水管ボイラーには、下記の種類があります:
・貫流ボイラー
…1本(or複数本)のパイプが循環することなく右から左へ走っており、パイプの中央部で加熱されます。
・強制循環ボイラー
…パイプがくるりと輪っかになり、輪っかの中央部で加熱されます。ポンプの圧力で強制的に水を循環させています。
・自然循環ボイラー
…パイプがくるりと輪っかになり、輪っかの中央部で加熱されます。パイプ内の水の温度差(比重差)により、ひとの手を加えずとも勝手に循環してくれる構造です。なお、先ほどの図はこの自然循環ボイラーの模式図です。
とくに暖まったお湯は、ヤカンの蓋付近まで上昇して来て、蒸気になってみなさんの台所を飛んでゆきます。
丸ボイラー
続いて2番目のボイラーの種類、丸ボイラーです。
この丸ボイラーは、大きな缶の中に水がたっぷり入っており、その中をパイプが走っていますが、今度は水ではなく火それ自体やその燃焼ガスが、パイプ内を熱気で満たしています。
このパイプからの熱により、缶内の水は温められ、お湯や蒸気が得られます。
(ちなみに丸ボイラーは英語でcylindrical boilerと書き、「丸」とは、円筒形cylindricalの大きな缶であることから付けられたようです)
この丸ボイラーには以下の種類があります:
・炉筒ボイラー
…水缶の中に炉筒(火が燃える燃焼室)があり、この炉筒が水を温める。
・煙管ボイラー
…缶の中に煙管(燃焼室から送られてくる燃焼ガスの通るパイプ)が走っており、この煙管が水を温める。
・炉筒煙管ボイラー
…炉筒(燃焼室)も煙管(パイプ)も両方一緒になって水を温める。なお、先ほどの図はこの炉筒煙管ボイラーの模式図です。
・立てボイラー
…ドラム(水缶)が直立しており、その中で炉(燃焼室)と煙管(パイプ)が水を温める。ドラムなのでコンパクト。
以上のように、パイプ内の水を外側から温めたり(水管ボイラー)、逆に缶内の水をその中を走るパイプ内の火や燃焼ガスが内側から温めたり(丸ボイラー)といった仕方で、お湯が沸かされ、蒸気が得られます。
これらボイラーによって得られたお湯によってわたしたちは銭湯の熱い湯につかり、また同様の仕組みで得られた蒸気の勢いによって発電所のタービンが回っているのでした。
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つまり…
ボイラーとは
水をパイプ内外から加熱することでお湯や蒸気を得る
技術要素というわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
1790年 イギリスのジェームズ・ワットが、レシプロ式蒸気エンジン向けに
丸ボイラーの原型を製作する。
<参考文献>(2018/10/02 visited)