#2020/09/17 縦割りが生じるくらい、『行政機関』はたくさん分かれていたりします。

ロータリーエンジン

技術要素
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この用語のポイント

ピストンの代わりに三角形の回転子を使った内燃機関の一種だよ

簡単にいうと…

ロータリーエンジンとは

 内燃機関のうち、ピストンではなく三角形の回転子(ローター)を用いて運動エネルギーを取り出す

技術個体です。

 

なお、ロータリーエンジンという名称は、おもに日本国内で用いられており、

一般には、開発者の名を受けてヴァンケルエンジンと呼ばれています。

詳しくいうと…

ロータリーエンジンは、レシプロエンジンのようなピストンの往復運動ではなく、ローターと呼ばれるおにぎり型回転子の回転運動によって、燃焼から運動エネルギーを取り出すエンジンです。

左図がそのローターと、ローターが収まるハウジングと呼ばれる外殻です。

袋の中のおにぎりが振動に応じてコロコロ転がるような仕方で、このローターがハウジング内で回転、その容積変化によって、レシプロエンジンと同じオットーサイクルという、下記の4ストロークの熱機関サイクルを実現します。

 ①吸気行程

 ②圧縮行程

 ③燃焼・膨張行程

 ④排気行程

 

上記4つの行程において回転子がどのような働きをするのか、見てゆきましょう。

 

行程①:吸気

 

まず吸気行程です。

左図左上の吸気孔から燃料-空気混合気体がつねに供給されつづけています。

そして、時計回りに回転するローターの1辺にあたる部分がこの吸気孔の位置に来るとき、ローターとハウジングの間の隙間へとガスが吸入されます。

吸気弁はありません。蓋の役目は、ローターの角自体が、回転の途上でふさいで果たしてくれるためです。上手くできていますね。

 

なお、この吸気以降の4行程は、ローターの三つの辺それぞれで行われます。

つまり、ローターが1回転する間に、吸気→圧縮→燃焼・膨張→排気の1サイクルが3回(3辺分)実施されます。良くできていますよね。以降はそのつもりでお読みください。

 

行程②:圧縮

 

吸気の次は、圧縮行程です。

ローターの時計回り回転が進むにつれ、吸入された気体は右上の隅っこあたりでその体積が狭められます。ぎゅっと。

 

 

 

 

 

行程③:燃焼・膨張

 

ローターの回転は止まりません。次は燃焼・膨張の行程です。

さきほど圧縮された燃料-空気混合気体に対して、点火プラグがスパークを起こして着火・燃焼させます。

この燃焼とそれによる熱膨張は、ローターの回転方向に向かって働くため、ローターがひきつづき回転するよう力が働きます。

また。ローターと連動しているシャフト(エキセントリックシャフトといいます。レシプロエンジンでいうクランクシャフトです)へもこの回転運動が伝えられ、自動車でいうとタイヤが回ります。

 

行程④:排気

 

最後に排気です。

ローターの回転の勢いにより、燃焼後の気体が排気孔を通してハウジングの外へと出てゆきます。

ここでも吸気孔と同様、排気弁はありません。他の行程(吸気、圧縮、燃焼・膨張)とは、その遂行される空間的な場所がそもそもちがうため(左図でいうと、それぞれ左上、右上、右下)、この排気孔を常時オープンにしておいても、他の行程に支障を与えないためです。

これがガソリンエンジンだと、4行程はすべてピストン/シリンダー容積内全体で行なわれ、常時オープンにすると他行程がお話にならなくなるため、こうもいきませんね。

 

以上が、ロータリーエンジンの4つの行程でした。

 

止まらないローター

以上の4行程を、その3辺それぞれで行うこのロータリーエンジンの、まるで千手観音のごとき働きは、次表のように単純化して表現するとより実感できます:

タイミング

0~120度の辺 120~240度の辺 240~360度の辺
t1(回転0度)圧縮燃焼・膨張~排気吸気
t2(回転120度)燃焼・膨張~排気吸気圧縮
t3(回転240度)吸気圧縮燃焼・膨張~排気

 

このロータリーエンジンは、ピストンの上下運動を利用するレシプロエンジンに比べて、小型かつ低振動・低騒音という長所があります。その一方で、条件次第では燃費がよくないという短所もあります。

昨今では環境やお財布への影響から、「低燃費」が自動車の重要コンセプトのひとつになっているため、乗り物方面でのロータリーエンジンの普及は他エンジンに劣っているのが現状です。

ただ、そのおにぎり状のローターがふしぎな軌跡を描きながら、排気弁も吸気弁も必要とせず、ただただ転がりつつ多くの機能を同時に実現している姿が、見事であることに、変わりはないと個人的には思います。

ちなみに、ローターのおにぎり状三角形はルーローの三角形と呼ばれています。この三角形を考案した19世紀ドイツ運動学の父フランツ・ルーローの名にちなんでいます。
ちなみにちなみに、フランツ・ルーローは、機械の一般的定義を考察した数少ない論者のひとりとして、技術史にその名を刻んでいます。

ルーローによる機械の定義は次のとおりです:
 「機械とは力に対して抵抗力のある物体の組合せで、各部の運動は限定され、相対運動をし、これにエネルギーを供給して仕事をさせるもの」

 

・ロータリーエンジンとは、ピストンの往復運動ではなく三角形状ローターの回転運動により、4ストロークの各行程を遂行し、運動エネルギーを取り出す内燃機関だよ。
・ローターの3辺それぞれが吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気をたえず行なうよ。
・理論的な熱機関サイクルとして、ガソリンエンジン同様、オットーサイクルに準じるよ。

 

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おにぎり状のローターが小気味よく回転しますね。

 

つまり…

ロータリーエンジンとは

 内燃機関のうち、ローターの回転運動によって、燃料の燃焼から運動を取り出す

技術個体ということです。

 

フランツ・ルーロー博士なら、わしが若い頃プロイセン留学したときお世話になったよ。

半世紀以上を経て、博士の膨大なアイデアのひとつがこうしてエンジンの回転子として結実しているのを知って、胸が熱くなるのぉ…。長生きはするものじゃな。

歴史のツボっぽくいうと…

1959年 西ドイツのNSU社(現在のアウディ社)と発明家フェリクス・ヴァンケルが

     ロータリーエンジンを試作する。

1967年 日本のマツダ社が、ロータリーエンジン搭載車(コスモ)を販売する。

1973年 日本のスズキ社が、ロータリーエンジン搭載バイク(RE-5)を販売する。

 

<参考文献>

ロータリーエンジン - Wikipedia
Rotary Collections " Rotary Engine の基礎知識 "
機械(machine)とは - コトバンク
日本大百科全書(ニッポニカ) - 機械(machine)の用語解説 - 19世紀の後半に発表されたドイツのフランツ・ルーローの定義によると、「機械とは力に対して抵抗力のある物体の組合せで、各部の運動は限定され、相対運動をし、これにエネルギーを供給して仕事をさせるもの」である。綱や鎖などは押す力に対...

 

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