簡単にいうと…
民族音楽とは
各地域それぞれが固有に伝承してきた音楽作品
という制作物です。
ただし、ここでの「民族」(ethnic)には西洋クラシック音楽は含まれません。すぐに思い浮かぶのは「やれやれ、西欧中心主義か」ですが、思い直せば西洋クラシック音楽は、キリスト教を媒介にしてヨーロッパ各地域のローカル性をかなりの程度超えてきた間-地域的な音楽なので、ここでの「民族」音楽に含まれない、という(好意的な)見方も可能かもしれません。
なお、「ワールドミュージック」や「伝統音楽」とも呼ばれます。
たとえばこんな感じです↓
詳しくいうと…
民族音楽の差異性と共通性
たとえば子守唄、民謡、宗教儀式の歌、軍歌、宮廷音楽などです。
それら各地域の音楽が成熟してくる過程では、地域の宗教の教えや、当時開発されていた楽器などが、音楽の成立に深く影響を与えています。
ここから、たとえば以下のような表をつくることができると思います:
地域 | 特徴 | 影響する主な宗教 | 特徴的な楽器 |
東アジア | 神妙 | 儒教 | 打楽器(鼓、締太鼓)、弦楽器(箏、三弦、胡弓) |
西アジア | 精妙 | イスラム教 | 管楽器(スルナーイ、ラバーブ)、弦楽器(ウード、サントゥール) |
ヨーロッパ | 調和 | キリスト教 | 弦楽器(ヴァイオリン)、管楽器(クラリネット、トランペット) |
アフリカ | 律動 | 部族ごとの自然宗教 | 打楽器(マリンバ、ジャンベ) |
このように、差異ばかりが目(耳?)につきますね。
他方、共通項もあります。それは先述した、”何を表現しているのか”という点です。
親が子どもを寝かしつけるための穏やかな旋律、自然の諸力や超越的な存在(地域により性格が異なれど)に対する感嘆の賛歌、などなど、同じホモ・サピエンスとして共通している状況を、各地域の民族音楽はそれぞれで反映しています。
以上のように民族音楽は、その表現の源泉は同じくしながらも、異なる自然環境・文化・宗教・楽器によって、今日も世界に対する多様な視点を歌い上げてくれているのでした。
さらに知りたいなら…
つまり…
民族音楽とは
各地域それぞれが固有に伝承してきた音楽作品
という制作物なわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
- 3~4世紀頃インドの叙事詩インドで、ラーマーヤナ(ラーマ王子の物語)という叙事詩が作られ、現代にいたるまで、同題材の舞踊劇や影絵芝居が音楽とともに広く上演される
- 5世紀頃雅楽の形成中国大陸から日本へ、儀式用の音楽や舞踊が伝わり、日本古来の音楽や舞踊と混淆して、日本の雅楽が形成されてゆく
- 6~8世紀古代中国の宮廷音楽古代中国で、三分損益法・十二律・五声という音楽理論と、儒教儀式用の合奏が確立し、整理されてゆく
<参考文献>(2020/05/10 visited)