この用語のポイント
簡単にいうと…
液晶ディスプレイとは
液晶物質を利用してバックライトの光量を制御するディスプレイ
という技術要素です。
LCD(Liquid Crystal Display:液晶)ディスプレイとも呼ばれます。
ちなみに「液晶」とは、固体と液体両方の性質を備えた特殊な物質全般のことです。
詳しくいうと…
液晶ディスプレイは、1970年代から電卓やデジタル式腕時計など小型電子機器に搭載されはじめ、とくに1990年代以降、既存のブラウン管式ディスプレイに代わって急速に普及した表示装置です。
ブラウン管式に比べ、薄型であるのが特徴的ですね。
構造
左図は、この液晶ディスプレイの断面図です。大まかに、カラーフィルター・液晶パネル・バックライトが層状に重なって出来ています。
液晶パネルはさらに、ガラス板・電極板・液晶などから構成されます。
液晶という物質には特殊なところがあって、電圧をかけるとその分子構造の向きを変えるという性質があります。
このため、両側にある電極板から電圧を加えてあげると、任意の方向に液晶を向けかえることができます。
こうした液晶の(ある種の)小部屋が、液晶パネル内に何百万個も用意されています。
仕組み
さて、液晶のこの性質を利用すると、背面のバックライトからの光を、ある場所では透過させ、ある場所では透過させない、といったコントロールができるようになります。
透過する光は、そのまま前面のカラーフィルターを通り抜け、色付きの光として放たれます。
1画素あたり、液晶の小部屋x3つに対応しており、それぞれR(赤)・G(緑)・B(青)のカラーフィルターを当てがわれています。このR・G・Bの発光が、見るひとの視覚上で合成され、複雑な色合いが表現されます。
こうして液晶ディスプレイは、極めて微細な液晶の小部屋と制御機構によって電気信号を仕分け、情報を視覚的に表現しながら、どこかの誰かが伝えんとする意思を今日もこうして表示してくれているのでした。
さらに知りたいなら…
つまり…
液晶ディスプレイとは
何百万もの液晶物質に加電しその向きを変えることでバックライトの光量を制御、色を表現するディスプレイ
という技術要素なわけです。
いまお主が眺めているこのディスプレイのパネル内部で、おびただしい数の液晶物質と制御回路がびっしり詰まっておるわけじゃな。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1888年液晶物質の発見オーストリアの植物学者F.ライニッツァーらが、コレステロールと安息香酸のエステル化合物である結晶を加熱すると液体状になること(サーモトロピック液晶)を発見する。
- 1962年動的散乱効果の特許アメリカRCA社のウィリアムズが、電圧をかけると液晶が光を散乱する現象(動的散乱効果)にかんする特許を出願する。
- 1968年動的散乱効果の実用化アメリカRCA社のハイルマイアーが、動的散乱効果を利用して、室温下でも安定的に存在できるネマティック液晶を用いたディスプレイを試作する。
- 1973年液晶電卓の登場日本のシャープ社が、液晶表示装置を搭載した電池駆動式電卓EL-805を開発する。
- 1984年液晶テレビの登場日本のエプソン社が、液晶カラーテレビET-10を販売する。
- 2000年代携帯端末の発展携帯電話、PDA(携帯情報端末)、携帯音楽プレイヤーなど小型電子機器で幅広く液晶ディスプレイが搭載される。
<参考文献>(2019/03/23 visited)