簡単にいうと…
舞台芸術とは
美感的意義をもつ物事のうち、身体の運動によって視覚表現を行なう物事
という制作物です。
身体運動ゆえ、どちらかというと、制作物のような生産された技術(technology)ではなく、生産する技術(technic)にあてはまりますが、ここでは舞台セットや演出も含めた”イベント”としての舞台芸術作品という制作物について説明します。
詳しくいうと…
表現としての身体
音楽自体のリズムもさることながら、右脚→左脚→…のステップや、パチパチと手を動かす身振り、つまり身体運動のリズムが、ここではきわだっていますね。
もともと、身体は生存のために、生存に利する実際的活動を旨としてその器官系を進化させてきました。物を操る手、体を移動させる脚。
けれどもお茶の間で踊る子どもたちは、何らかのリズムに合わせて、それら身体器官をリズムの参加へと奉仕させています。
そのとき身体は、道具のように何かエネルギーを働きかける物ではもはやなくなり、他の心的個体へ作用する、表現体へと変貌しているのです。
身体が表現していること
身体が表現であるからには、それは”何か”の表現です。
たとえば、より原始的なレヴェルでは大地の鼓動や風のそよぎなどの自然の出来事を、あるいは物語の一説や音楽作品それ自体を、ときにはその抽象的なスローモーションによって何らかの象徴を、身体はそれぞれ表現してきました。
また、表現が持続している間中、その周囲の空間は舞台と呼ばれます。
舞台とは、「ここは身体が、生活を送るのではなく表現の媒体となるところですよ」という、心的個体同士の約束事の空間です。ほとんどの場合、舞台は、観客席より一段高いor低いステージを指します。
また、その上演時間はプログラムによってあらかじめ限定されています(24時間ずっと身体が表現体となってしまうなら、それはもう生活体と区別がつきませんよね)。
舞台芸術の種類
そんな舞台芸術作品には、一例として、以下の種類があります:
・舞踏(ダンス)
…身体を音楽にあわせて動かします。社交ダンスや盆踊りも含まれますね。
・バレエ
…物語を、台詞なしで舞踏+音楽で表現します。
・演劇
…物語を、台詞とともに表現します。
・歌劇(オペラ)
…物語を、歌詞とともに表現します。
・ミュージカル
…途中で舞踏も入る演劇です。
・人形劇
…物語を、人形を動かすことで表現します。
・サーカス
…危険を伴うスリリングな身体運動を行ないます。
以上のように舞台芸術は、身体を躍動的に動かすことで、風景や音楽、物語や象徴をそれぞれ表現しています。これによって今日もわたしたち観客の心も躍動させてくれているのでした。
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つまり…
舞台芸術とは
美感的意義をもつ物事のうち、身体の運動によって視覚表現を行なう物事
という制作物なわけです。
舞台芸術というと高尚に聞こえるが、結局のところ本質は、テレビの前で踊る子どもたち、そして演じることの楽しさじゃろうのぅ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前5世紀頃悲劇の誕生古代ギリシャで、悲劇が発展する
- 紀元前330年前頃詩学の誕生古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、その著作『詩学』において、ギリシャ悲劇および最古のドラマ理論について記し、現代にいたるまで各種の演劇様式に根底的な影響を与える。
- 10世紀頃キリスト教の宗教劇ローマ・カトリック教会が、布教のため、聖書の内容を解説するための演劇を教会で行ないはじめる。
- 1581年バレエの誕生フランスで、今日知られる最古のバレエ作品『王妃のバレエ・コミック』が上演される。
- 1597年歌劇の誕生イタリアで、古代ギリシャ悲劇を歌うような台詞をつけて復興する動きのなかで、音楽家ヤコポ・ペーリが今日知られる最古の歌劇『ダフネ』を作曲する。
<参考文献>(2020/05/09 visited)