簡単にいうと…
遊具とは
遊びの活動で用いられる道具や設備
という制作物です。
詳しくいうと…
遊びとは何か?
子どもたちが、横断歩道の白線帯を飛び飛びにジャンプしながら遊んでいます。
大学生たちはカラオケに興じ、社会人たちは釣りや将棋に興じます。
彼らはいずれも遊んでいるのですが、では、遊びとはなんでしょうか?
遊びの定義
文化史家ヨハン・ホイジンガ(1938年)はこう述べています:
「遊びとは、あるはっきり定められた時間、空間の範囲内で行われる自発的な行為もしくは活動である。それは自発的に受け入れた規則に従っている。」
また、文芸批評家ロジェ・カイヨワ(1958年)は、遊びの基本を次の4類型に求めます:
・アゴン(競争)
・アレア(運)
・ミミクリ(模擬)
・イリンクス(眩暈)
最初のホイジンガの遊びの定義(自発的に受け容れられた規則に従う)は、本質を突いていますが、その場合、あらゆる物や事が遊具として見なされえます(実際、子どもたちはそのようにして世界を眺めています)。
他方、カイヨワの遊びの類型(競争/運/模擬/眩暈)は、より具象的です。やや定義が狭くなりますが、こちらの類型を用いたほうが便利な場合が多いです。
遊具の種類
ともあれ、ふだん私たちが「遊具」と呼び馴染んでいる物、それをここでは遊具として紹介します。たとえば、以下の種類があります:
・おもちゃ
…人形、凧、双六、ラジコンなど
・遊具器械
…一輪車、スケートボード、ローラースケートなど
・遊具設備(公園)
…ブランコ、シーソー、ジャングルジムなど
・遊具設備(遊園地)
…メリーゴーラウンド、ジェットコースター、お化け屋敷など
・遊興施設
…カラオケ、バスケットコート、サッカーコート、ゴルフ場など
・ゲーム
…デジタルゲーム、将棋、チェス、(鬼ごっこ)、(かくれんぼ)など
ゲーミフィケーションの展開
ところで、ここで最近の遊びの仕組みを覗いてみましょう。
それはゲーミフィケーションと呼ばれる仕組みで、おおまかには、「ゲームが備えるプレイヤーを活性化させるノウハウを、ゲーム以外の領域で用いること」と表現されます。
もうすこし端的に表現するなら、正のフィードバックループにひとびとを乗せる仕組みと呼べるかと思います。どういうことでしょうか?
あらゆる遊びには、その遊びの規則の結果プレイヤーへもたらされる正の結果があります。たとえば勝利、笑い、儲け、スムーズな操縦、(人形遊びにみられる、モデルへの)自己同一化、などです。
とりわけデジタルゲームの場合は、その目標(ゲームクリア)へ到達するまでの過程で、小さな正の結果をプレイヤーへ与えることでプレイのモチベーションを高め、それがさらなる正の結果を生み出す、というループがしばしば用意されています。
それはたとえば、RPGで敵モンスターを倒すと経験値やお金が得られ、レベルアップしたり良い装備品を買ってさらに強い敵モンスターを倒す…などです。
こうした、結果が次の行為の原因となる心理学的なモチベーション維持の仕組みこそ、ゲーミフィケーションだと、一般化することもできると思います。
たとえば中国で実施されている天網(スカイ・ネット)プロジェクトでは、街中の監視カメラが人々の振る舞いを監視し、善行をしたらポイントを与え、悪行をしたらポイントを減らす、という施策が進められています。得られたポイントは航空券などの購入にも利用可能です。これも一種のゲーミフィケーションですね。
あるいは、お店でよくあるスタンプカードですが、これも一種にゲーミフィケーションです。そのお店で買い物をするごとに溜まってゆくスタンプを見ると、一種の満足を覚え、次なる買い物とスタンプ獲得のモチベーションになりますよね。
こうした遊びの仕組みは、自己啓発や産業活性化など、今後もさまざまな分野での展開が予想されます。
以上のように遊具は、ある一定の規則を補完・体現するよう制作された物であり、これら物たちの織りなす規則を通して、私たちは今日も遊びに興じているわけなのでした。
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遊びを文化史の観点から眺めつつ、その定義の考察、競争や戦争、芸術や思考との関係を問う、「遊び」を語るのに必読の書です。
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遊びを4つ類型(競争/運/模擬/眩暈)に分け、それぞれの様相を論じる、『ホモ・ルーデンス』と並んで「遊び」を語るのに必読の書です。
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ついでにもう1冊。自身の能力と、目前の課題とが、上手く均衡を保っている、いわば張り合いのある状態(フロー状態)に入ることで、”喜び”の気持ちが生じる、と説く心理学寄りの本です。遊びもこのフロー状態ですね。
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つまり…
遊具とは
遊びの活動で用いられる道具や設備
という制作物なわけです。
ホイジンガのいう「自発的に規則に従う」という言葉は、なかなか重みがあるぞぃ。
たとえばふだんわしらに課せられる法律やビジネスルール、就職や受験などの人生のレールも、自発的に受け容れ、「その規則内でどうプレイしようか?」と問うなら、とたんにゲームフィールドへと変貌してしまうんじゃからな。
歴史のツボっぽくいうと…
- 7世紀チェスの原型サーサーン朝ペルシアのホスロー2世が、チェスの原型であるボードゲーム「シャトランジ」に言及した書物を残す
- 1947年コンピュータゲームの発明アメリカのトーマス・T・ゴールドスミスとエストル・レイ・マンが、ブラウン管を用いた世界初のコンピュータゲームを開発する
- 1983年家庭用ゲーム機の普及日本の任天堂社が家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売、ゲーム市場を開拓する
<参考文献>(2020/05/02 visited)
・https://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/3099.pdf