実用品

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簡単にいうと…

実用品とは

 歴史的に手作業で作られてきた物のうち、とくに身体動作に強く連関する物

という制作物です。

ひとことで言うと道具その他です。人間の手で掴める範囲にない(人間個体と同等かそれ以上のオーダーの)機械・器械類は製造物のカテゴリで扱っています。

詳しくいうと…

実用品の機能

「実用」とは、わたしたちの日常生活を構成するさまざまな相互作用において、一定の機能を果たす、という意味です。

たとえば衣服は、体の発する熱エネルギーの放散を防いでくれる働きがあり、かつその移動はわたしたちの身体と同時的です。これは、同じく空気調和を実現するけれどもに固定されているエアコンとは対照的です。

ここから、同じくエネルギー上の機能を果たすけれども、わたしたちの身体動作と密接に連関しておりしばしばその働きが身体の働きに全面的に依存している実用品(道具)と、ある程度自律的に働く実用品(機械・器械)とに分けることができます。

ここで扱うのは前者の、道具としての実用品です。

実用品の種類

このように実用品を眺める際、正直なところ、たくさんありすぎてとても分類どころではありませんが、それでも主要な物を見定めることはできます。

 

代表的な物は道具類です、これを工芸品という名称で一括します。

また、料理も、その化学エネルギーでもってわたしたちの身体と深く関わりますね。

最後に、遊具も加えます。遊具はその使用時の活動様態において道具類とは性格を異にしており、別カテゴリで立てるほうが便利だと考えました。

遊具について、それを工芸品や料理とおなじくエネルギー概念で語るなら、心的エネルギー(愛着)に深く関わるように思われます。

たとえば勝利or敗北、成功or失敗、モデルへの同一化、リズム、挑戦、およびこれらゲームの規則に応じたプレイヤーの心的状態の量と質の変化です。

心的エネルギーという、フロイト以来のこのメタファーは、やや古びた感はありますが、濫用さえしなければそこそこ便利です(自信がないので、もう言及はしませんが…)。

そんなわけで、これら3つの実用品を以下にて概覧してゆきましょう。

料理

料理とは、調理され味付けされた自然物という制作物です。

生存に欠かせないこともあり、もっとも頻繁に作られている制作物でもあります。

また、その種類は世界各地ごとにヴァリエーションが豊富です。

 

料理
自然物が調理され、かつ賞味のために味付け・見た目・香りなどが整えられた食べ物だよ

工芸品

工芸品とは、特有の形態によってエネルギー上の機能をもつ物のうち、歴史的に手作りされることの多い物、という制作物です。

つまり道具のことです。

下位種類としては、織物・衣服・木工品金属器のほか、陶磁器・楽器・3Dクラフトなどがあります。

 

工芸品
特有の形態によってエネルギー上の機能をもち、手作りされることの多い物のことだよ

遊具

遊具とは、遊びの活動で用いられる道具や設備のことです。

ゲームの規則にさえ準じていれば、あらゆる物がこれに該当します(たとえば横断歩道の縞々模様も、スキップ歩行のリズムを刻む遊具になります)。

ただし狭義には、いわゆる玩具や遊興設備などのことです。

 

遊具
遊びの活動で用いられる道具や設備だよ

 

 

以上のように実用品は、そのエネルギー上の特性によってわたしたちの身体動作を特徴づけ、その有効範囲を延長したり変質したりしながら、今日もわたしたちの体の一部となってくれているのでした。

 

・実用品とは、歴史的に手作業で作られてきた物のうち、とくに身体動作に強く連関する物のことだよ
・いろんな種類があるけれど、ここでは料理・工芸品・遊具の3つに大別するよ
 

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つまり…

実用品とは

 歴史的に手作業で作られてきた物のうち、とくに身体動作に強く連関する物

という制作物なわけです。

 

冒頭でもすこし触れられているが、この「実用品」という言葉選びは、機械も含まれてしまうために微妙じゃな。同じく制作物の下位カテゴリである「芸術品」と対照させるために「実用品」という言葉を使っているとはいえ……。

歴史のツボっぽくいうと…

  • 約100万年前
    加熱調理のはじまり
    食材を火に直接かけたり、焼石で間接的に加熱する調理が行なわれる

  • 30万~3万年前
    木材の利用
    ネアンデルタール人たちが石器を用いて木から槍や舟などを作り出す

  • 約3万年前
    パン製造の痕跡
    すりつぶした植物の根を、水に混ぜて焼き上げた、一種のパンがつくられる

  • 紀元前8700年前頃
    金属の利用
    メソポタミア地方で、紀元前8700年前頃の純銅製ペンダントが出土される

  • 8000年前~6500年前頃
    織物の発明
    西南アジアやエジプトで、麻や綿などの植物繊維を用いた織物が発明される

  • 紀元前5500年前頃
    精錬の開始
    ペルシャで、銅鉱石を加熱して銅元素を抽出する精錬が行なわれる

  • 5000年前頃
    毛織物の発明
    メソポタミア地方で、羊毛を用いた毛織物が発明される

  • 5000年前
    木造の建築
    日本の集落で木を骨組みにした建物が建てられる

  • 4000年前頃
    絹織物の発明
    中国で、蚕の分泌物である絹を用いた絹織物が発明される

  • 紀元前3600年前頃
    合金の発明
    メソポタミア地方で、銅-錫合金(青銅)が発明される

  • 3000~2000年前頃
    木工技術の発展
    古代エジプトで木工技術が発展し、斧、釿、鑿、鋸、弓錐などの木工道具が利用される

  • 2600年前頃
    漢服の登場
    黄帝の時代以降、漢民族の礼服として漢服が定着、以降17世紀の明王朝の衰退まで着用されつづける

  • 紀元前2500年前頃
    製鉄の普及
    アナトリア半島(現在のトルコ周辺地域)で製鉄技術が普及する

  • 紀元前1400年前頃
    鉄合金の発明
    ヒッタイト帝国(現在のトルコ周辺地域)で、鉄に炭を添加した鉄合金(鋼)が発明される

  • 1000~300年前頃
    日本への金属器輸入
    日本の弥生時代に、青銅器と鉄器の技術が大陸から伝わる

  • 3~7世紀頃
    和服の黎明期
    日本の古墳時代に、豪族たちが袴や喪(ロングスカート)を身に着ける。

  • 7世紀
    チェスの原型
    サーサーン朝ペルシアのホスロー2世が、チェスの原型であるボードゲーム「シャトランジ」に言及した書物を残す

  • 1733年前
    織物の生産性向上
    イギリスの発明家ジョン・ケイが、経糸の間に緯糸を通す際、それまでの指とは異なり飛び杼(ひ)を用いることで、織物の生産性を大幅に向上させる

  • 1785年前
    織物生産の機械化
    イギリスの発明家エドモンド・カートライトが、織機の機械化に取り組み、以降多くの特許を取得する

  • 18世紀
    現代洋服の登場
    フランス革命時、革命の推進力となった社会階層が、貴族たちの半ズボン&膝丈コート(キュロット)ではなく長ズボン&腰丈ジャケット(サン・キュロット)を着用する

  • 19世紀前半
    自動織機の普及
    イギリスやアメリカを中心に、自動式織機の機械が普及する

  • 1935年
    化学繊維の発明
    アメリカの化学者ウォーレス・カロザースが、世界初の合成繊維であるナイロンを発明する

  • 1947年
    コンピュータゲームの発明
    アメリカのトーマス・T・ゴールドスミスとエストル・レイ・マンが、ブラウン管を用いた世界初のコンピュータゲームを開発する

  • 1983年
    家庭用ゲーム機の普及
    日本の任天堂社が家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売、ゲーム市場を開拓する

 

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