簡単にいうと…
電力器とは
発電、送配電、放電などを行なう
技術要素・個体の総称です。
詳しくいうと…
電力のある風景
1世紀ほど昔の博覧会で、発電機など数々の電気製品を目の当たりにしたとある作家が、「電気はさながら新しい宗教のようだ」と衝撃を受けました。
以来、たしかにわたしたちは、電気とその技術にまつわるある新しい行動様式、新しい信念のまわりを回るようになりました。商用電源のコンセントが壁にあるのは当たり前、そこにプラグを差し込めば光が灯り、通話ができ、洗濯機が回ります。
しかし、コンセントのその先が山中の水力発電所や沿岸の火力発電所、原子力発電所へつながっており、そこで巨大なタービンや発電機が唸りをあげながら高速回転している様をイメージするのは簡単なことではありません。
そして発電所と我が家とのあいだで、山々や田んぼの上に連なる高圧鉄塔に導かれて、幾本もの電線がやってきては、幾たびも変圧器で変身させられながら、そうしてこのコンセントへと結実している事実をイメージするのは、難しいことです。なぜでしょうか?
以下で紹介する数々の電力器を見ることで、すこしでもみなさんのそのイメージ化が容易になれば、と思います。
電力器の種類
電力器は、電気の変換・輸送・放出に応じて、主に以下のように分類可能です:
①発電器
②送配電器
③放電器
ひとつひとつ概覧してゆきます。
発電器
発電器は、電気を他エネルギー(E)から変換して生み出すタイプの電力器です。
発電所などで主流の交流発電機のほか、小型の直流発電機、化学Eを用いる電池、あるいは光Eを用いるソーラーパネルや、熱Eを用いる熱電変換素子などがあります。
送配電器
送配電器は、電気を輸送するタイプの電力器です。
電線や変圧器などがあります。
放電器
放電器は、電気を空気中へ放つことで、熱Eとして利用できる様々な放電現象を生じさせるタイプの電力器です。
点火プラグ、放電加工機、放電管などがあります。
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つまり…
電力器とは
発電、送配電、放電などを行なう
技術要素・個体の総称なわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
【発電器】
- 1791年生体電気の発見イタリアの医師ルイージ・ガルヴァーニが、カエルの足の両端にメスを当てると痙攣する現象を著書で発表、生体電気研究の端緒となる
- 1800年ボルタ電池の発明イタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタが、ガルヴァーニの発見を一般化し、亜鉛と銅の電極および電解液を用いて世界初の電池を発明する
- 1821年ゼーベック効果の発見エストニアの物理学者トーマス・ゼーベックが、金属棒の内部に温度勾配があるとき両端間に電圧および電流が発生するゼーベック効果を発見する。
- 1831年電磁誘導の発見と発電機の発明イギリスの物理学者マイケル・ファラデーが電磁誘導の法則を発見、翌年に同法則を利用した電磁式発電機(ファラデーの円盤)を発明する。
- 1839年光起電力効果の発見フランスの物理学者ベクレルが、薄い塩化銀で覆われた白銀の電極を電解液に浸したものに、光を照射すると、電流が生じる現象を発見する。
- 1866年頃乾電池の発明フランスの技術者ジョルジュ・ルクランシュが、現在のマンガン乾電池の原形であるルクランシェ電池を発明する
- 1887年一般的な光電効果の発見ドイツの物理学者ヘルツが、紫外線の照射により、帯電した物体がその電荷を容易に失うという光電効果を発見する。
- 1899年ニカド電池の発明スウェーデンの発明家ヴァルデマール・ユングナーが、ニカド電池(ニッケル・カドミウム蓄電池)を発明する
- 1900年ニッケル・鉛蓄電池の発明アメリカの発明家トーマスエジソンが、ニッケル・鉛蓄電池を発明する
- 1905年光電効果の理論的説明物理学者アインシュタインが、論文「光の発生と変換に関する1つの発見的な見地について」において光量子仮説を発表し、光子と電子の相互作用という説明によって光電効果が理論づけられる。
- 1954年太陽電池の開発アメリカ・ベル研究所のダリル・シャピン、カルビン・フラー、ゲラルド・ピアーソンが、pn接合を用いた太陽電池を開発、現在の太陽電池の原形となる。
- 1959年アルカリ乾電池の開発アメリカのエナジャイザー社がアルカリ乾電池を開発する
- 1976年リチウムイオン収納反応の発見ドイツ・ミュンヘン工科大学のベーゼンハルトが、黒鉛内のリチウムイオンの可逆的な収納反応(インターカレーション)および負極の酸化物への収納反応を発見、リチウム電池での応用を提案する
- 1977年ニッケル水素電池の開発アメリカ海軍の航法衛星「NTS-2」向けにニッケル水素電池が開発・使用される
- 1986年
【送配電器】
- 1744年電線というアイデアドイツの科学者ヨハン・ハインリッヒ・ウィンクラーが、感応(静電)発電期を改良して放電火花を遠距離に成功、電気輸送について「絶縁された導体を用いると世界の果てまでも送ることができるだろう」と述べる。
- 1800年蓄電池における電線の利用イタリアの物理学教師アレキサンドル・ボルタが、ボルタ電池の両端を金属線で繋ぐと内部で電流が生じることを発見する。
- 1831年電磁誘導の発見イギリスの物理学者マイケル・ファラデーが、電磁誘導の法則を発見する
- 1836年変圧器の発明アイルランドの牧師ニコラス・カランが一次コイルと二次コイルからなる誘導コイルを発明し、変圧器として広く用いられる
- 1880年代交流電流のメジャー化アメリカの電力事業黎明期に、交流電流の電力システムが主流となる
発電所-電力消費地の全体を同一電圧で設計するエジソン含めた直流支持者に対して、高圧輸送による低い送電損失を掲げるテスラ含めた交流支持者が勝つことにより、高圧輸送後の降圧の必要性から、その後に変圧器の開発が進んでゆく
- 1885年効率的な変圧器の発明ブダペストの技術者ジペルノウスキー、ブラーティおよびデーリが、環状鉄心を含むZBD式の鉄心モデルを開発する
同年、アメリカの実業家ジョージ・ウェスティングハウスが、ZBD式鉄心モデルの特許を購入、商用化させる
【放電器】
- 1777年火花着火の提唱イタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタが、スパークによる燃料への着火を提唱する
- 1807年点火プラグの原形スイスのドゥ・リヴァが、ボルタのアイデアを内燃機関向けに提唱し、これがスパーク・イグニッション・エンジンの原形となる
- 1876年点火プラグ搭載エンジンフランスの技術者ルノアールが、スパーク・イグニッション・エンジンを製作する
- 1902年高電圧プラグドイツのボッシュ社が、高電圧スパークプラグを開発する