この用語のポイント
簡単にいうと…
フランシス水車とは
渦巻状のケース内で、羽根車の外側から内側への水流によって回転運動エネルギーを得る反動水車
という技術個体です。
水力発電用途としては世界でもっとも広く用いられている水車です。
発明者であるエンジニア、ジェームズ B.フランシスの名にちなんでいます。
詳しくいうと…
他の発電用水車とおなじく、
どんな形をしているのか、くわしく見てみましょう。
構造と仕組み
左図は、フランシス水車を真横から眺めた図です。
渦巻状のケーシングと呼ばれる外殻のちょうど中央付近に羽根車(ランナ)が設置されています。
このランナは、発電機とシャフトを通じて接続されており、ランナが回ると、その回転運動が発電機へと伝えられ、わたしたちの日頃用いる電気が生まれます。
回転の仕組みですが、渦巻状のケーシング内を、ダムから落下してきた水流がぐるぐる巡ります。
それら水流がすこしずつ中央付近へと流れこんでゆき、この外側からの勢いでランナが回転します。
ランナ通過後の水流は、ランナ中央をそのまま通り抜け、吸出し管を通じて河川へと流れてゆきます。
でも、この説明だけでは、ケーシングの形状や水流の動きがよくわかりません。もうすこし詳しく追いかけてみましょう。
さらに構造と仕組み
左図は、ケーシング-ランナを下側から眺めた図です。
渦巻状のケーシングと、その中央のランナおよびその羽根であるランナベーンの位置関係がよくわかりますね。
また、両者の間にガイドベーンと呼ばれる、水流の案内板のあることもわかります。
ダムからの水流は、ケーシングのこの渦巻をぐるぐる回りこみつつ、一部が中央へと流れこみます。
この際、水流はガイドベーンの向きに沿って集まってきて、ランナベーンにぶつかります。そんな立て続けの水圧=作用=反動によってランナは回転します。
ぶつかった後の水流は、空洞になっているランナ中央部を通って、接続されている吸出し管へと逃げてゆく仕組みになっています。
こうした構造と仕組みをもつフランシス水車は、ダムとの落差10~300m以内、かつ水の流量10m3/s~という幅広い規模の環境条件内で、約90%という高効率を実現し、わたしたちの身近な電気製品の稼働を広く支えています。
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水車は人類史のなかで大きな役目を果たしつづけてきました。
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つまり…
フランシス水車とは
渦巻状のケーシング内で、ランナの外側から内側への水流によって回転運動エネルギーを得る反動水車
という技術個体なわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
1826年 フランスの技術者ブノワ・フルネーロンが
水車の内側から外側へ向かって水を流すフルネーロン水車を開発する。
1820年代 射影幾何学で有名なフランスの技術者ジャン=ヴィクトル・ポンスレが
水車の外側から内側へ向かって水を流す水車を設計する。
1848年 フランスの技術者ジェームズ B.フランシスが、これら水車の
精密な設計・実験により高効率なフランシス水車を設計する。
<参考文献>(2018/11/20 visited)