振り子

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この用語のポイント

・一定周期で、位置エネルギーと運動エネルギーを変換しつづける物体だよ

簡単にいうと…

振り子とは

 その位置エネルギーと運動エネルギーを変換しつづけながら、一定周期で揺れ動く物体

という技術要素です。

詳しくいうと…

特徴

振り子とは、錘(おもり)を糸でぶら下げた物体です。

振り子を支点から吊り下げて、ユラユラ揺らすと、次の特徴を確認できます:

①エネルギー変換

 …左右端にあるとき位置E(エネルギー)を持ち、手を離すと重力作用で運動する。最下点で一番運動Eを持ち、再び反対端まで持ち上がると次の運動に向けた位置Eを蓄積する。

②等時性

 …糸の長さが同じなら、錘の重量が異なる2つの振り子の往復時間は同一となる。

振り子の振動周期は次式で求められます:
 $振動周期T = 2π×\sqrt{\frac{糸の長さL}{重力加速度G}}(単振り子の周期)$
上記式のなかに、錘の重量が含まれていないことを注目ください。
つまり、錘の重量は振り子の振動周期には影響しないと考えられます。

③外部運動に対する鋭敏な変化

 …振り子装置が設置されている地面が動くと、振り子の辿る軌跡も変化する。

振り子のこの性質を利用して、1851年に物理学者レオン・フーコーが、地球の自転運動を証明しました。

 

応用

・振り子時計

②等時性を利用して、一定タイミングごとに時計の歯車を1歯分だけ進めるように振り子と時計を連動させることで、調速機能の役割を果たします。

・メトロノーム

振り子を上下逆さまにしたリズム打器。一定リズムを刻むため、楽器の演奏時に必須。

・地震計

③外部運動に対する鋭敏な変化を利用して、地面が揺れるとそれに反応する、初期の地震検知器としても振り子は活躍しました。

・重力測定器

緯度に応じて地上各地の重力加速度は異なります。重力加速度Gが振り子の周期に影響する(前述式を参照)ことを利用して、各地の重力加速度のちがいを測定します。

 

 

以上のように振り子は、エネルギー変換に基づくその周期運動という個性によって、他の器械へ一定タイミングの振動・情報を伝達し、また地面からの振動もキャッチすることができるのでした。

 

・振り子は、一定周期で運動Eと位置Eを変換しながら揺れつづける物体だよ
・錘の重量が異なっても振幅周期は変わらないよ(単振り子の等時性)
・地震や、地球の自転運動に応じて、振幅の軌跡が変化するよ
 

さらに知りたいなら…

ファインマン物理学Ⅰ 力学(1986年)
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物理学の名著『ファインマン物理学』のうち、振り子に代表される重力や運動にかんする1冊です。

講義録というかたちで語りかける文体なので大変読みやすく、正味の内容は中学・高校レベルとはいえその深度は計り知れません。目次はこちらのサイトをご覧ください。

 

つまり…

振り子とは

 その位置Eと運動Eを変換しつづけながら、一定周期で揺れ動く物体

という技術要素なわけです。

 

ちなみに、支点にかかる摩擦と、錘が動く際の空気抵抗のために、振り子もやがては止まるぞぃ。
振り子時計が動き続けているように見えるのは、時計側から振り子に少しずつ運動Eを供給しておるからじゃ。

歴史のツボっぽくいうと…

紀元前4世紀 古代ギリシャの哲学者アリストテレスが振り子について記述する。

16世紀   イタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイが振り子の等時性を発見、

       晩年には振り子時計を設計する。

1657年頃   オランダの物理学者ホイヘンスが振り子時計を発明する。

1851年    フランスの物理学者レオン・フーコーが

       フーコーの振り子を用いて地球の自転運動を証明する。

 

 

<参考文献>(2019/02/11 visited)

振り子 - Wikipedia
フーコーの振り子 - Wikipedia
単振り子を徹底解説!近似の使用法&運動方程式から周期を導出する方法
「単振り子」の運動と公式の解説/導出法を解説していきます。 確認例題として慣性力との融合問題も掲載しているので是非ご利用下さい。
天びんの誤差要因-緯度
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