この用語のポイント
簡単にいうと…
フォトダイオードとは
光を電気へ変換する仕組みによって光を検出する
技術要素です。
CDプレイヤーの凹凸面で反射された赤外線レーザーの読み取り装置や、テレビリモコンの受信部分、デジタルカメラのCCD(撮像素子)構成要素など、さまざまな場面で活躍しています。
詳しくいうと…
フォトダイオードは光を電気に変え、その電気の有無や強弱に応じて光を検知するという、電子機器にとっての眼の役割を果たします。
構造と仕組み
フォトダイオードのチップ内には、半導体ダイオード類にはおなじみの、P型半導体(正孔が豊富)とN型半導体(電子が豊富)が地層状に堆積しています。
両者の中間帯には空乏層と呼ばれる領域が挟まっています。
では、内部の電子的特性を覗いてみましょう。
自由な正孔(+)/電子(-)が両極にある一方、中間の欠乏層では、正孔/電子の多くが結合しています。
欠乏層には電場が形成されていますが、安定しており、このままでは電流は流れません。
ここで、光を差し込みましょう。
空乏層に光が到達すると、光子のエネルギーによって、結合していた電子が活性化して正孔から飛び出してゆきます。
この際、それまで均衡していた電場のバランスが崩れ、電流が流れます。
このため、たとえばフォトダイオード回路に豆電球を繋いでいると、光が差したタイミングで豆電球が光るため、「ああ、光が検出されたんだな」ということがわかります。
人間にとって光は自明ですが、電子機器にとっては必ずしもそうではありません。このフォトダイオードをはじめとする光検出器が回路内で機能することにより、はじめて電子機器は光の存在や強弱を知ることができます。
以上のように、フォトダイオードはその内部の電場の乱れによって光を検知し、たとえばCD表面の凹凸をレーザー反射光によって読み取ることで音楽を電気的に再生したり、テレビリモコンの赤外線信号を受信して、わたしたちの生活を支えているのでした。
さらに知りたいなら…
つまり…
フォトダイオードとは
半導体内の正孔/電子の結合対を光のエネルギーによって離れさせ、電場を不安定にさせることで電流を流すという、光を電気へ変換する仕組みによって光を検出する
技術要素なわけです。
物質内部の正孔/電子の対も、光が差し込んだだけで崩れてしまうのか。繊細な電場じゃのぅ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1839年光起電力効果の発見フランスの物理学者ベクレルが、薄い塩化銀で覆われた白銀の電極を電解液に浸したものに、光を照射すると、電流が生じる現象を発見する。
- 1887年一般的な光電効果の発見ドイツの物理学者ヘルツが、紫外線の照射により、帯電した物体がその電荷を容易に失うという光電効果を発見する。
- 1905年光電効果の理論的説明物理学者アインシュタインが、論文「光の発生と変換に関する1つの発見的な見地について」において光量子仮説を発表し、光子と電子の相互作用という説明によって光電効果が理論づけられる。
- 1954年太陽電池の開発アメリカ・ベル研究所のダリル・シャピン、カルビン・フラー、ゲラルド・ピアーソンが、pn接合を用いた太陽電池を開発、現在の太陽電池の原形となる。
<参考文献>(2019/08/13 visited)