この用語のポイント
簡単にいうと…
空圧モーターとは
圧縮空気の圧力を動力源とする原動機
という技術個体です。
同じくアクチュエータ(駆動装置)の動力源である電動モーターなどに比べて、コストが安価です。電車のドアの開閉や、工場内の機械などに用いられています。
エアモーターや空気エンジンとも呼ばれます。
詳しくいうと…
空圧モーターは、圧縮された空気を取り込んで、回転運動や往復運動を生み出します。利用済みの空気は排出されます。図にするとこんな感じです:
空圧モーターの構造と仕組み
これだと何をしているのかわからないので、中をのぞいてみましょう:
まず、コンプレッサーが空気を、ローターやピストンによる体積圧縮により高圧状態にさせて、空圧モーターへ送り出します。
到着した圧縮空気は空圧モーター内の、ベーン(シャッター状の羽)付きローターをすごい勢いで通り抜け、このローターをきゅんきゅんと回転させます。
このローターの回転は、減速ギアを介して外殻から突き出ているシャフトをくるくると回転させます。こうして空圧モーターを原動力として動かしたい器械は、このシャフトに接続されることで運動エネルギーを得ることができます。
ローターの構造と仕組み
つづいて、このきゅんきゅん回るローターについて詳しくみてみましょう。
左図はこのローターの断面図です。
上部の吸気口から入ってきた圧縮空気が、上から下へと通り抜けて、下部の排気口へと抜けてゆきます。
ローターと外殻との隙間は、ベーン(シャッター状の羽)によって区切られています。ローターの中心は、外殻の中心からすこしズレているため、区切られる小部屋は異なる体積をもちます。
この異なる体積の小部屋が、ミソです。侵入してきた圧縮空気が各部屋でおさまる体積も異なるため、各部屋の間で圧力差が生まれます。
たんに圧縮空気の吹き付ける勢いだけでなく、高圧部屋から中圧/低圧部屋へと働くこの圧力差の力も利用することで、ベーン付きローターはすごい勢いで回転することができます。
こうして回転運動を得ることで、空圧モーターに接続されたドアは開閉し、工場の機械が動き回るのです。
空圧モーターは、高精度な電動モーターや、大出力化の可能な油圧モーターと比べて、一般に低コストであり(とはいえコンプレッサーなどは別途必要ですが)、過負荷時にも火花が飛んだり油が漏れたりといった危険のすくないことが特徴です。
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つまり…
空圧モーターとは
圧縮空気の勢いと、ベーン間の圧力差を利用して、回転運動エネルギーを得る原動機
という技術個体なわけです。
ベーン(シャッター状の羽)は、圧縮空気の勢いを受け止めるだけでなく、小部屋の間の圧力差によってもローターの回転を助ける、という二重の役割を果たしているのじゃな!
歴史のツボっぽくいうと…
19世紀中頃 空圧モーター搭載の自動車について研究開発される。
1873年 フランスで空圧モーター搭載の路面電車が利用される。
<参考文献>(2018/11/17 visited)
http://www.parkerkuroda.com/japan/product/Catalogue/pdf/actuator/015.pdf