#2020/09/17 縦割りが生じるくらい、『行政機関』はたくさん分かれていたりします。

ディーゼルサイクル

工学原理
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この用語のポイント

ディーゼルエンジンの理論サイクルだよ

簡単にいうと…

ディーゼルサイクルとは

 ディーゼルエンジンという熱機関の温度・圧力・体積などの関係を循環サイクルとして規定する

技術原理です。

詳しくいうと…

基本的なポイントはオットーサイクル(ガソリンエンジン)と同様なので

ここでは両者の差異について簡単に着目します。

 

熱機関の理論サイクルについて

左図のp-V(圧力-体積)グラフがディーゼルエンジンの理論的サイクルを表しています。

①吸気行程(青色)

②圧縮行程(紫色)

③燃焼・膨張行程(赤色)

④排気行程(茶色)、です。

 

 

正味の仕事量は黄色面積部分となり、この仕事をもたらす源が、ピストンを押すのに利用された正味の熱量(in-out)となります。

 

オットーサイクル(ガソリンエンジン)との差異としては、③燃焼・膨張行程の前半部分(グラフ山頂の水平部分)が等圧変化、つまり圧力が一定のまま行なわれている点が挙げられます。

ディーゼルエンジンは点火プラグではなくインジェクタ(噴射器)を用いて、ピストンにより圧縮された熱々の空気内に、直接気化燃料を注入します。

この際、実際にシリンダー内に燃料が注入されてから、シリンダー内全体が燃焼するまでの間、若干のタイムラグが生じます。燃焼に時間がかかるわけですね。このとき、部分的な燃焼による圧力上昇分は、ピストンが押し戻されることによる体積上昇分によって相殺されると考え、結果としてこのタイミングでの圧力は一定とされます。そのためグラフ山頂部分は等圧変化と見なされます。

 

熱効率について

このディーゼルサイクルの熱効率の考え方も

オットーサイクルと同様、以下の通りとなります:

$η = \frac{正味の仕事量}{燃焼で上昇した熱量(in)}$

 $ = \frac{燃焼で上昇した熱量(in)-排気弁から逃げた熱量(out)}{燃焼で上昇した熱量(in)}$

 $ = 1 - \frac{排気弁から逃げた熱量(out)}{燃焼で上昇した熱量(in)}$

ただし、上記式からさらに諸事情ふまえて展開すると

オットーサイクルの導出式とは異なってきます:

$η = 1 – \left\{\frac{1}{圧縮比^{気体の比熱比-1}} × \frac{締切比^{気体の比熱比-1}}{気体の比熱比×(締切比-1)}\right\}$

「締切比」(あるいは膨張比)という新出の用語は、先ほど話題にでた燃焼の遅れに関する概念です。

燃焼の開始時点の体積=ピストンが上死点まで押し進んだときのシリンダー内のMIN体積のうち、上死点を過ぎた際に燃焼が遅れてシリンダー内全体に広がった時点の体積を指し、

$締切比=\frac{燃焼が行きわたった時点での体積}{MIN体積}$

とします。

簡単にいうと、先のグラフ上の水平山頂部分のうち、右上すみっこ時の体積を、左上すみっこ時の体積で割ってあげればこの締切比が出ます。

つまるところ、上記の導出式内に、オットーサイクルでも出た圧縮比だけでなく、ここで締切比というものも現れることで、このディーゼルサイクルの熱効率を改善するには、締切比も考慮する必要のあることがわかります。

 

なお、ディーゼルサイクルのこの締切比が1から遠のく(=燃焼時間のタイムラグが長くなる)につれて、圧縮比が同じ場合、オットーサイクルよりも熱効率がわるくなります。単純に考えて、締切比が1.5の場合、オットーサイクルのエンジン(ガソリンエンジン)よりも熱効率が1.5倍低下します。

ただしディーゼルサイクルのエンジン(ディーゼルエンジン)は、圧縮空気に対する燃料噴射方式を採用しているため、燃料-空気混合気体を過度に圧縮できないガソリンエンジンに比べて、圧縮比を大幅に向上させることができます。

仮にガソリンエンジンが圧縮比=13、他方のディーゼルエンジンは圧縮比=20かつ締切比=1.5、比熱比はどちらも1.33とした場合、

ガソリンエンジンの熱効率  ≒0.57

ディーゼルエンジンの熱効率 $≒ 1 – \left\{\frac{1}{20^{1.33-1}} × \frac{1.5^{1.33-1}}{1.33×(1.5-1)}\right\}$

              $≒ 1 – \left\{\frac{1}{2.69} × \frac{1.14}{1.15}\right\}$

              ≒0.63

となり、ディーゼルエンジンのほうが熱効率の良いことがわかります。

ただし実際には、高圧縮に伴う機会損失や完全燃焼のしにくさなどから、ディーゼルエンジンの圧縮比率はあまり高くはできないそうです。

とはいえ、シリンダー容積のサイズアップに制限がないため、ディーゼルエンジンは大型化が容易のため、大型船舶などによく用いられています。

 

ちなみに、より高速のディーゼルエンジンになると、ディーゼルサイクルではなく、サバテサイクルという理論サイクルに近くになります。このサバテサイクルは、ディーゼルサイクルとオットーサイクルの中間形態をとります。

 

・ディーゼルサイクルの基本的なポイント(4つの行程や、熱効率の基本的な考え方)はオットーサイクルとほぼ同様だよ
・異なる点として、ディーゼルサイクルのグラフには水平山頂部分(等圧で進む燃焼時間)が現れることと、それによって熱効率の式の中に締切比という、燃焼の持続時間に起因する概念が現れることが挙げられるよ
・ディーゼルエンジンの改良時には、この締切比も、圧縮比とおなじくらい重要な改善対象になるよ
 

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つまり…

ディーゼルサイクルとは

 ディーゼルエンジンの温度・圧力・体積などの関係を循環する理論サイクルとして規定し、それに対する考察や改良を容易にする

技術原理というです。

 

 

水平な山頂部分と聞くと、わしは富士山をいつも思い出すのぉ。。。

歴史のツボっぽくいうと…

1891年 イギリスの発明家アクロイドが

     加圧式燃料噴射装置を使った内燃機関(焼玉エンジン)を製造する。

1892年 ドイツのルドルフ・ディーゼルが

     アクロイドのエンジンを発展させた特許を取得する。

1903年 ロシアの造船所で

     ディーゼルのエンジンを搭載した石油タンカーが製造される。

1922年 ドイツのベンツ社がディーゼルエンジン搭載のトラクターを製造する。

1933年 フランスのシトロエン車がディーゼルエンジン搭載の乗用車を製造する。

 

 

<参考文献>(2018/09/01 visited)

ディーゼルエンジン
ディーゼルサイクル
16章:ディーゼルサイクル
熱機関の効率(ガス動力サイクル)
熱機関は熱力学の最も重要で興味深い応用です。ここではガス動力機関について解りやすく説明します。
【熱機関】ディーゼルサイクルとは?効率やサバテサイクルとの違いを解説
ディーゼルサイクルはディーゼルエンジンなどに利用される熱サイクルでオットーサイクルと同様に燃料の熱エネルギーを…

 

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