この用語のポイント
簡単にいうと…
タービン型蒸気エンジンとは
蒸気エンジンの一種で、蒸気を高速噴射させてタービン(羽根車)が回転運動のエネルギーを得る
技術個体です。
19世紀頃は船舶エンジンとして普及していましたが、それも内燃機関に取って代わり、現在では、主に発電機の動力として活躍しています。
詳しくいうと…
何なのかよくわからない部分もあるので、それぞれ名前を確認しましょう。
構造
以下のような装置があります:
・ボイラー
…湯を沸かして蒸気をつくります。
・蒸気タービン
…高速の蒸気流でくるくる回ります。
・復水器
…使用済み蒸気を海水で冷やし凝縮(水へ戻す)させ、ポンプの力でボイラーへ戻します。
仕組み
まず、ボイラーで熱せられたお湯が蒸気を沸かします。
この蒸気は、タービン装置へ送られると、出口の細いノズルによって速度を増してタービンに吹き付けます。びゅんびゅんと。
タービンは、蒸気流のその勢いに押されるかたちで、回転をはじめます。
タービンのこの回転運動は、シャフト(軸)を通じて、発電機など稼働させたい装置へと動力として伝えられます。
つづいて、使用された蒸気は復水器へと送られます。
この復水器には、汲み上げられた海水の詰まった冷たいパイプが通っており、海水パイプのこの冷気によって、蒸気が水へと戻ります。
戻った水は、ポンプの力でボイラーへ送られます(蒸気は気体なのでポンプは使えませんが、いまは水(液体)なのでポンプが使えます)。
こうして水/蒸気は、このエンジンサイクルの中で再利用されつづけます。
このようにしてタービン型蒸気エンジンは、水/蒸気を変化させつつぐるぐる回しつづけながら、蒸気タービンをくるくる回しつづけるわけです。
必要な燃料は、ボイラーで湯を沸かすための安い石炭なので、燃料費は比較的抑えられます。
また発電機としては、ガスタービンエンジンと併設され、相乗効果を図ることもあります(コンバインドサイクル発電)。
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つまり…
タービン型蒸気エンジンとは
蒸気を高速噴射させてタービンを回転することで運動エネルギーを得て、しかも使用済み蒸気は復水器によって再利用する
技術個体ということです。
歴史のツボっぽくいうと…
紀元1世紀頃 アレクサンドリアの工学者・数学者ヘロンが
蒸気の噴射を利用して回転する球について記述を残す。
1882年 スウェーデンのド・ラバルが衝動式タービンを開発する。
1884年 イギリスのパーソンズが反動式タービンを開発する。
1894年 パーソンズらがタービン型蒸気エンジンをはじめて 搭載した船(
タービニア号)を建造、1897年に皇太子らの前で疾駆させる。
<参考文献>(2018/09/17 visited)