簡単にいうと…
国際交通機関とは
国家を跨ぐ交通のルール策定や技術研究を行なう組織
という社会機関です。
詳しくいうと…
国を跨ぐ交通
海外へ手紙を送る際、日本の切手を貼ってもちゃんと相手へ届きます。
あるいは、航空機の交通管制技術や離着陸装置などは世界中で共通の仕様です。
飛行機や船舶による航空輸送・海上輸送は、複数の国が関わるため標準ルールが不可欠なのですが、こうしたルールを策定しているのが国際交通機関です。
国際交通機関の種類
国際交通機関には、一例として、以下の組織があります:
国際海事機関(IMO) | 国連機関。海上航行の安全確保、海運技術向上、海洋汚染防止など。 |
国際水路機関(IHO) | 国際水路機関条約に基づく。水路図誌の表記統一、海図作成、水路学研究など。 |
国際民間航空機関(ICAO) | 国連機関。航空技術の仕様策定/技術開発、パスポート仕様策定、空港/航空会社/機種コードの制定など。 |
国際航空運送協会(IATA) | 航空会社の業界団体。業界方針/基準の制定(運賃・保安・旅行技術など)。 |
欧州航空航法安全機構(Eurocontrol) | 欧州圏の航空交通管制機関。管制、フライトプラン管理、航空情報業務、管制技術の研究など。 |
万国郵便連合(UPU) | 国連機関。国際郵便の制度規定、国際返信切手券の発行など。 |
いずれも海運関係と航空関係にかかわっていることがわかりますね。
一国だけでは完結しない交通機関の国際ルールを、こうした組織が策定しているのです。
たとえばICAOは、わたしたちが海外旅行する際に携えるパスポートの体裁仕様を決めていたり、IATAはフライトの航空運賃を決めていたり、ヨーロッパを飛行する際はEurocontrolの航空管制官がパイロットとやりとりしながら空の安全を守っていたりします。
IMOは海上事故などで石油が漏出してしまった際の対応ルールを策定しており、IHOを世界の海域の境界と名称を記載した書籍を毎年発行しています。またUPUは、先述したような切手にはじまる国際郵便ルールを取り決めています。
以上のように国際交通機関は、国を跨ぐ交通のルールづくりを通して、今日もわたしたちの空の旅や海の旅を安全なものにしてくれているわけです。
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つまり…
国際交通機関とは
国家を跨ぐ交通のルール策定や技術研究を行なう組織
という社会機関なわけです。
わしらが呑気に船旅を楽しんでいるあいだに、こうした国際組織のひとびとが日々ルール作りにいそしんでおるわけじゃなぁ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1874年UPUの設立万国郵便条約に基づき、万国郵便連合(UPU)が設立され、1948年に国際連合の専門機関の一つになる
- 1945年IATAの設立キューバにて、航空会社同士の産業団体である国際航空運送協会(IATA)が設立される
- 1947年ICAOの設立1944年に締結された国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づき、国際民間航空機関(ICAO)が設立される
- 1958年IMOの設立国際連合・海事会議で、政府間海事協議機構を設置するための条約が採択され、1982年に現在の国際海事機関(IMO)となる
- 1963年Eurocontrolの設立欧州でEurocontrolが設立される
- 1970年IHOの設立1967年に採択された国際水路機関条約に基づき、国際水路機関が設立される
<参考文献>(2020/08/07 visited)