この用語のポイント
簡単にいうと…
交流モーターとは
交流電流を入力して、運動エネルギーを得る電気モーター
という技術個体の総称です。
回転磁界と誘導電流を利用する誘導モーター、回転磁界と永久磁石を利用する同期モーターなどの種類があります。
詳しくいうと…
そのクルクル回る回転運動によって、電車・自動車のタイヤを回したり、エレベーターの箱を巻き上げたり、PCの冷却ファンを回したり、現代生活に必要ないろんな運動を供給しています。
まずは、この交流モーターに入力されるという、交流電流という電気についておさらいしてみましょう。
交流電流って?
交流電流(Alternating Current:AC)は、直流(DC)とは異なり、その電流の向きが反転するタイプの電気です。
左図では、その電流・電圧が、方向(+)と方向(-)の間を行ったり来たりしており、それぞれで電流の向きが逆向きであることがわかります。
1秒間に50~60回ほど、このような向きの逆転循環(右向き→左向き→…で1回とカウントした場合)が交流電流では生じています。
ただ電流は、電子それ自体のことではなく、電子の動きによって瞬間的に生じる現象です。また、光速に近い伝播速度をもちます。
このため、電流の向きが瞬間的に逆転しつづけた状態ではあっても、問題なく数百km離れた発電所から家まで、交流電流が一瞬で送られてきます。
電気回路さんは、内部で電流が流れてさえいれば文句なく作動します。電流の向きは、回路素子の作動の有無とは関係ありません。
また、電流は光速に近い速さであるため、たとえ1秒間に50~60回も逆転循環しているとしても、十分な速さで回路素子を駆け巡り、ランプを点灯させ、電子信号をやり取りすることができます。このあたりは、初見イメージと実態とが少々異なるケースかもしれませんね。
交流と直流の送電図
発電所~家庭・職場までに送配電される、電流タイプのちがいを下図にて示します。
基本的には、
のように交流にて送配電されます。
使用場所によっては
のように直流で動かしたり、あるいは
のように交流/直流を切り替える機構が介在することも多々あります。
電線による長距離の電力輸送では、高圧のほうが有利ですが、高圧電流のまま配電しても、各家庭の小さな電化製品の使用に耐えられません。そこで、街まで着いたら高圧電流を電圧降下させる必要があるのですが、交流はこの電圧降下がしやすいというメリットがあり、送配電には交流がよく用いられています。
交流モーターの種類
電気には直流と交流があり、交流についてはその電流の向きが絶えず逆転するということを学びました。
つぎに、この交流電流を受けて運動を起こす、交流モーターの種類についてみてゆきましょう。主に以下のタイプに大別されます。
・誘導モーター
・同期モーター
・整流子モーター
誘導モーター
誘導モーターは、回転磁界によって回転子に誘導電流を生じさせ、その電流によって回転する力を得るタイプです。
回転磁界の形成には、主に三相交流電流(周波数のタイミングを1/3ずつズラした3つの交流電流)が用いられます。各周波数の強さに応じて、磁界の向きが変わる仕組みです。
詳しくは下記記事を参照ください:
同期モーター
同期モーターは、先ほどの誘導モーターとおなじく回転磁界を形成しますが、回転子には永久磁石が用いられます。磁界の回転と同期して、永久磁石もくるくる回るタイプです。
詳しくは下記記事を参照ください:
整流子モーター
整流子モーターは、回転子である電磁石を、整流子と呼ばれるパーツによって磁極変化させながら、永久磁石に対する磁力の吸引・反発によって回転するタイプです。
詳しくは下記記事を参照ください:
以上のように交流モーターは、交流電流の特徴(周波数の変化)を回転磁界などとして利用しながら、電車や自動車やエレベーターなど、今日もわたしたちの生活を幅広く支えているのでした。
さらに知りたいなら…
つまり…
交流モーターとは
交流電流を入力して、運動エネルギーを得る電気モーター
という技術個体の総称なわけです。
それにも増して、そんなふしぎな性質を利用して回転磁界から回転運動を得る交流モーターの仕組みも、すごいのぉ!
歴史のツボっぽくいうと…
1888年 オーストリア帝国生まれのニコラ・テスラが
誘導モーター・同期モーターの特許を取得する。
<参考文献>(2018/12/23 visited)