簡単にいうと…
洗剤とは
物体や生体の洗浄を行なう界面活性剤
という自然加工物です。
詳しくいうと…
子どもの頃、外で遊んで土汚れだらけになって家に帰ると、「手を洗いなさい!」と言われたものです。都会にいると、今度はひとがたくさんいるので、やっぱり手を洗わないと冬場はコロっと風邪に感染してしまいます。ままならないものです。
手洗いが病原体の拡散防止に有効であることが実証的に示されたのは19世紀半ばになってからですが、それ以前にも紀元前の昔から、汚れ落としのために洗剤が製造され広く用いられてきました。
洗剤の作用
洗剤は、その主成分である界面活性剤の作用によって汚れ落としを行ないます。
界面活性剤とは、水になじむ部分と油になじむ部分の両方を備えた物質のことです。
この特異な物質には、次の3つの作用があります。
①浸透作用
…繊維に界面活性剤の分子が付着し、繊維に水が浸透します。
②乳化作用
…汚れ(油分)を界面活性剤の分子が取り囲み、水中内で水と混じり合います。
③分散作用
…界面活性剤の分子に取り囲まれた汚れが、水中内に分散してゆきます。
こうした浸透・乳化・分散作用を経て、界面活性剤である洗剤は汚れを落としてくれるわけです。
洗剤の種類
そんな洗剤には以下の種類があります:
・石鹸
…石鹸成分(脂肪酸ナトリウム/カリウム)から主に構成される界面活性剤。
・合成洗剤
…石鹸成分以外の成分から主に構成される界面活性剤。
成分からすると上記2種類に大別されますが、その用途に着目すると、石鹸や洗濯洗剤だけでなく、シャンプー・ボディソープあるいは機械用洗浄剤などにも及びます。
以上のように洗剤は、水と油の両方になじむという界面活性剤の分子のおかげで、今日もわたしたちの手や髪や体の汚れを落とし、清潔さを保たせてくれるわけなのでした。
さらに知りたいなら…
つまり…
洗剤とは
物体や生体の洗浄を行なう界面活性剤
という自然加工物なわけです。
ちなみに②乳化作用は、洗剤だけでなく食品添加物としても活躍していて、乳化作用を発揮する薬品はとくに乳化剤と呼ばれておる。
マヨネーズやドレッシングなど、水分と油分を撹拌させるのに、なくてはならない添加物が乳化剤なんじゃ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前3000年代頃石鹸の利用動物の肉を焼く際にしたたり落ちた脂肪と、薪の灰の混合物に雨が降り、アルカリ成分による油脂の鹸化が生じて、石鹸が発見されたと考えられる
- 1世紀頃『博物誌』での石鹸古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスが、その著作『博物誌』において、ゲルマン人とガリア人が石鹸を用いていることを記述する
- 12世紀頃カリ石鹸からソーダ石鹸へ地中海沿岸を中心に、生石灰を用いる従来のカリ石鹸に代わり、オリーブ油を用いるソーダ石鹸が広まる
- 1847年手洗いの有効性オーストリアの医師ゼンメルワイスらが、医療従事者の手と院内感染との関連を示す。
アメリカ疾病予防センターはこれを受けて、「病原体の拡散を防ぐのに最も重要な方法は有効な手洗いであることが示された」と報告する
- 18世紀末石鹸の大量生産産業革命に伴いアルカリ剤が多く供給され、石鹸の大量生産が可能になる
- 1916年合成洗剤の開発ドイツで合成洗剤が開発される
- 1933年家庭用合成洗剤の発売アメリカで家庭用の合成洗剤が発売される
<参考文献>(2019/12/18 visited)