簡単にいうと…
燃料とは
燃焼反応を生じさせる基体物質
という自然加工物です。
詳しくいうと…
燃料のある風景
燃料は、台所のガスコンロに火を灯し、栓を捻れば湯を出してくれたり、ピストンを押し下げて自動車のタイヤを回したり、火力発電所のタービンを回転させたりしています。
これらはいずれも、燃料の燃焼反応を利用した働きです。
燃焼反応は、可燃性物質(燃料)と酸素とのあいだで生じる酸化反応の一種です。多くの熱エネルギーを放出しながら、酸素原子が別の原子とひっつきます。
ホモ・サピエンスの祖先種たちが、この燃焼反応をコントロールしだしたのは、今から100万年以上前のことのようです。おそらく当時は木の枝などの植物が、彼らの燃焼活動を支えていた燃料だったと考えられます。
熱源として、その焚火に近寄ると暖かく、土器を上にかぶせると調理もできるし湯も沸かせます。そのうち、火のついた枝を持ち上げれば松明(たいまつ)として光源になりました。もっと時代が下ると動力源として、湯を沸かす際に生じる蒸気の圧力によって、機械的な反復運動を引き起こします。
これら熱源・光源・動力源というのが、燃料とその燃焼反応の果たしてきた機能です。
燃料、言い換えれば「燃える物」がなければ、火にまつわるこうした出来事は起こりえませんでした。
燃料の種類
さて、燃える物としての燃料は、物質形態の観点から以下の通り区分できます:
・固体燃料
・液体燃料
・気体燃料
1つひとつ概観してゆきましょう。
固体燃料
固体燃料は、固体の物質状態をとるタイプの燃料です。
保管の容易性がメリットです。
薪・木炭などの植物、化石燃料である石炭、火薬・核燃料などの鉱物、蝋などの化学合成物があります。
液体燃料
液体燃料は、液体の物質状態をとるタイプの燃料です。
燃焼量を細かく調整できるのがメリットです。
化石燃料である石油を分留させたガソリン・灯油・軽油・重油・アスファルトのほか、植物油、アルコールなどがあります。
気体燃料
気体燃料は、気体の物質状態をとるタイプの燃料です。
燃焼後に灰・黒煙が残らないため、小回りの利くのがメリットです。
化石燃料である天然ガスや石油ガスが主流ですが、水素やジメチルエーテルといった、天然資源の少ない国でも生産可能な気体燃料も研究されています。
さらに知りたいなら…
つまり…
燃料とは
燃焼反応を生じさせる基体物質
という自然加工物なわけです。
1本の木の枝も、火を灯す燃料だと考えられるんじゃな。ここで挙げた固体・液体・気体燃料の多くが、いずれも生物由来であることを見逃してはならんじゃろう。
歴史のツボっぽくいうと…
【固体燃料】
- 約30万年前炭の利用日本の約30万年前の遺跡から炭が発見される
- 紀元前4世紀石炭の利用古代ギリシャの哲学者テオプラストスの記録に、石炭が鍛冶屋の燃料として用いられたと記述される
- 7世紀頃火薬の発明中国の著作で、硝石・硫黄・炭を混ぜた黒色火薬にかんする記述がなされる
- 9世紀~12世紀日本での木炭の普及日本の平安時代に、山林部を中心に炭焼きが広く行なわれる
- 16世紀森林資源の枯渇イギリスで、製鉄用途の木炭需要の高まりにより、森林伐採が深刻化する
- 18世紀石炭の工業利用産業革命に伴い、石炭の利用が急増する
- 1942年最初の原子炉での実験イタリア生まれの物理学者エンリコ・フェルミが、移住先のアメリカで、世界最初の原子炉「シカゴ・パイル1号」を完成させ、原子核分裂の連鎖反応の制御に史上初めて成功する。
- 1954年最初の原子力発電所ソビエト連邦(現・ロシア)のオブニンスク原子力発電所が、原子力発電所としては世界で初めて運転を開始する。
【液体燃料】
- 4世紀頃石油の採掘中国で、石油の採掘にかんする記述が残る
- 9世紀後半荏胡麻油の主流化日本で平安時代、離宮八幡宮の宮司が荏胡麻の搾油機を考案し、神事の灯油(ともしびあぶら)として利用される。
- 12世紀エタノールの抽出イタリアのサレルヌスが、エタノール蒸留を発案したとされる
- 17世紀菜種油の主流化日本で、菜種油や綿実油が灯火用燃料として主流となる。
- 1859年近代油田開発のスタートアメリカのエドウィン・ドレークが、機械掘りで油田を開発する
- 1863年石油企業の登場アメリカの実業家ジョン・D・ロックフェラーが、スタンダード石油社を設立する
- 1876年
【気体燃料】
- 1821年天然ガス田の発見アメリカのウィリアム・ハートが、ニューヨーク州フレドニアで天然ガス田を発見。その後フレドニアガス灯社が設立される
- 1910年石油ガスの精製アメリカの化学者ウォルター・O・スネリングが、石油ガスの精製に成功する
<参考文献>(2019/12/14 visited)