この用語のポイント
簡単にいうと…
液体燃料ロケットエンジンとは
液体燃料と酸化剤をロケット内部で燃焼反応させ、この燃焼ガスの噴射の勢いで空を飛ぶ
技術個体です。
その名の通りロケットや、ミサイルなどの推進機関として広く利用されています。
ここではロケットをモデルに説明します。
詳しくいうと…
構造
下図が、液体燃料ロケットの内部構造です。
上から順に下記要素が実装されています:
・ペイロード
…人工衛星、探査機など。
・液体燃料 …液体水素など。
・酸化剤 …液体酸素など。
・ポンプ
…液体燃料と酸化剤を流量調整。
・燃焼室
…ここへ液体燃料と酸化剤が送り込まれ、燃焼反応が起こる。
離陸・飛翔
離陸時はまず、液体燃料と酸化剤がそれぞれ燃焼室へ流れ込み、おおきな燃焼反応が起きます。
この燃焼室内での燃焼により、高温高圧の燃焼ガス流がノズルを通じて下方へすごい勢いで噴射。
反作用の力で、ロケット機体ごと上方へ飛ばされます。
こうして液体燃料ロケットは地球を離れ、宇宙へ旅立つことができるのでした。
液体燃料のメリット
液体燃料を用いることで、ポンプによるその流量調整、つまり燃焼量=推進力の調整が可能になります。
これにより、こまかな推進制御ができ、効率よく燃料を利用することができます。
液体燃料ロケットのほうが、固体燃料ロケットよりも広く利用されている理由のひとつです。
他方、デメリットとしては、液体燃料や酸化剤の保管が大変だという点です。極低温で保存してあげなくてはならなかったり、蒸発によって毒性気体が充満したりで、管理やメンテナンスが何かと大変です。
これが理由で、「明日発射するから準備しとけ!」と急に言われても、準備に時間がかかるためむつかしいです。
ロケット内部の構造も、固体燃料ロケットエンジンに比べて複雑になるため、どうしてもコストがかかります。
さらに知りたいなら…
つまり…
液体燃料ロケットエンジンとは
液体燃料と酸化剤を、ポンプで調整しつつ燃焼反応させ、その燃焼時の反作用の力によって空を飛ぶ
技術個体というわけです。
「今日の不可能は、明日可能になる」
―ツィオルコフスキー『反作用利用装置による宇宙探検』(1903)
歴史のツボっぽくいうと…
1903年 ロシア帝国の物理学者・数学者ツィオルコフスキーが、
液体燃料ロケットエンジンを構想する論文を発表する。
1926年 アメリカのロバート・ゴタートが
はじめて液体燃料ロケットエンジンの飛行を成功させる。
1942年 ドイツがV2ロケットミサイルの発射に成功する。
宇宙空間へ到達したはじめての人工物体となる。
1958年 ソ連がスプートニクロケットの発射に成功する。
<参考文献>(2018/09/14 visited)