この用語のポイント
簡単にいうと…
レシプロエンジンとは
内燃機関のうち、ピストンの往復運動を用いる
技術個体の親カテゴリです。
レシプロとは、reciprocating(往復)の略称です。
レシプロエンジンに属する熱機関は、燃焼ガスへの着火方法によって主に分類され、火花点火型(ガソリンエンジン)・圧縮着火型(ディーゼルエンジン)・熱面着火型(焼玉エンジン)などがあります。
詳しくいうと…
運動エネルギーを他エネルギーから転換する熱機関、
とくに機関内で、燃焼の勢いを直接パーツの運動エネルギーへ転換する内燃機関(内で燃やすエンジン)は、燃焼のための着火方法に応じて、主に次の3種類に分類されます:
①火花点火型(ガソリンエンジンなど)
②圧縮着火型(ディーゼルエンジンなど)
③熱面着火型(焼玉エンジンなど)
①火花点火型
火花点火型の代表はガソリンエンジンです。
左図のように、ピストンがシリンダー奥まで進んで内部の燃料-空気混合気体を圧縮する際、点火プラグのスパークにより、熱々になっている圧縮気体へ着火・燃焼させる仕組みです。
②圧縮着火型
圧縮着火型の代表はディーゼルエンジンです。
ディーゼルエンジンの基本的な機能はガソリンエンジンと似ていますが、着火方法として、点火プラグではなく、インジェクタ(噴射器)を用いて、圧縮空気の満ちたシリンダー内へ気化燃料を噴射・着火させる点が異なります。
③熱面着火型
熱面着火型の代表は焼玉エンジンです。
焼玉エンジンは、球状の焼玉という部品内に燃料を入れ、この焼玉の熱せられた内部表面により燃料を気化させ、燃焼を生じさせることで、ピストンを動かします。
20世紀前半までは、その製造コストの安さや比較的簡易な内部構造のおかげで一般的な熱機関のひとつでしたが、20世紀後半、より熱効率が良くコストも見合うガソリンエンジンやディーゼルエンジンの台頭により徐々に廃れてきたのが現状です。
また、おなじく熱面着火型の内燃機関としてグローエンジンがあります。これは、電熱を生じさせる小型のプラグ(グロープラグ)のおかげで、模型飛行機などの動力源として20世紀終盤まで使われていましたが、この分野でもリチウム電池や電気モーターの台頭により現在では用いられなくなっています。
さらに知りたいなら…
つまり…
レシプロエンジンとは
内燃機関のうち、ピストンの往復運動を利用するタイプのエンジン
の親カテゴリということです。
最後に紹介された熱面着火型エンジンは、いまでは廃れているのじゃな……しかし、数世紀というオーダーでみるなら、技術というのはいつどんな形で復活するかわからんぞぃ。
歴史のツボっぽくいうと…
1680年 オランダのホイヘンスが、火薬を用いた
ピストンと真空による熱機関の考えを発表する。
1860年 フランスのルノワールが、点火着火型の往復動2ストローク内燃機関を製造する。
1886年 イギリスのアクロイド=スチュアートが、熱面着火型の焼玉エンジンを試作する。
1893年 ドイツのディーゼルが、圧縮着火型のディーゼルエンジンの特許を取得する。
<参考文献>