簡単にいうと…
料理とは
自然物が調理され、かつ賞味のために味付け・見た目・香りなどの整えられた食べ物
という制作物です。
ここでは、たんに調理(保存・殺菌など)された加工食品とは区別して、主に味付けの工夫の観点で、実際に食卓へ並ぶ料理について説明します。
詳しくいうと…
料理の起源
そもそも料理とは何か?と考えると、食物摂取の活動に行き当たります。
ホモ・サピエンスをはじめ、あらゆる生命体は、その生命活動(動く、叫ぶ、見る、逃げるなど)で消費されるエネルギーを補うため、体外の有機物質を自己の内部へ取込み、吸収・同化しなければ生きてゆけません。これにより、化学エネルギー(熱量)や特定の栄養素を補充し、明日も同じように生きてゆくことができます。
ホモ・サピエンス以外の生物について、植物は、地中や大気中の無機物を吸収し、動物は、植物や他の動物を捕食することで食物摂取を行なってきました。
ホモ・サピエンス自身についても、事情は同様です。つまり、植物(野菜・穀物など)を収穫し、動物(家畜)を殺して、それぞれ食べるわけです。
ただ、ホモ・サピエンスは、火を用いて加熱することで、消化・殺菌・保存に適するよう素材を加工しはじめました。調理のはじまりです。
さらに時代が下り、その地域で採取できるさまざまな素材を探求するにつれて、複数の素材を組み合わせ、より美味な加工食品を追求する嗜好が現れはじめます。これが料理のはじまりと言えるでしょう。
つまり料理は、たんなる吸収・同化の生命活動であるだけでなく、味覚の快を求める文化的活動なわけです。
料理の分類:環境と文化
こうした料理を分類する仕方にはいくつかあります。
たとえば調理方法(焼き料理・煮物・蒸し料理…)や、食卓における位置づけ(主食・主菜・汁物・菓子…)などがお馴染みです。
けれども料理の品ぞろえは何万何十万もあります。この多様性を表現するには、料理それぞれの発祥地域をキーに整理すると分かりやすいです。一例を挙げると…
<料理名(地域名)> | <料理の性格> | <特徴> | <主な料理> |
日本料理 | あっさり | ダシ(昆布・鰹節など) | 味噌汁・野菜の煮物・寿司 |
中華料理 | こってり | 炒め料理・香辛料 | 炒飯・麻婆豆腐・小籠包 |
フランス料理 | おしゃれ | 宮廷料理 | ブイヤベース・テリーヌ・マカロン |
ベトナム料理 | あっさり&ピリ辛 | 米粉・香草・魚醤 | フォー・チャオ(粥)・春巻 |
こうして各地域の料理を一覧にしてみると、次のことに気がつきます:
・採取される食材
…野菜、穀物、魚介類、香辛料など、その地方の地形・気候・土壌によりそれぞれ独自
・美味とされる味覚
…辛味、旨味、甘味など
・文化との相互作用
…禅仏教&懐石料理など
・社会階層による発展圧
…貴族&宮廷料理など
・技術環境
…中華料理の高火力&北宋時代のコークス(磁器素材⇒燃料への転用)
つまり、各地域の料理を知ることは、その地域の環境・文化・歴史を知ることに通じているわけです。
逆に言うと、これらさまざまな要因が絡まり合って、料理の差異が分化・展開してきたわけですね。
料理の味覚
それぞれの料理に対する評価基準は、主に味覚によって行なわれます。
シンプルな味で構わないなら、香辛料理ではなく唐辛子を、お菓子ではなく砂糖をかじっていればOKです。
基本的な味覚は五味と呼ばれ、以下を指します:
・甘味
・酸味
・塩味
・苦味
・うま味
このうちうま味は、おそらく世界中でも日本人がもっとも精通している味覚でしょう。これはダシのことで、1908年に化学者 池田菊苗が発見したグルタミン酸などを指します。当初、欧米の学者からは懐疑的に受け止められていましたが、2000年に舌の味蕾(みらい)にある感覚細胞にこのグルタミン酸受容体が発見されたことで世界的に広く認知され、第五の味覚として認定されました。英語でもUmami tasteで通じますよ。
料理の方法
だいたいの料理は下記プロセスにて料理されます。
①食材調達
…狩猟・摘み取り・酪農・牧畜・漁など
↓
②洗浄
…土やホコリを流水できれいに落としましょう
↓
③選別
…市場やスーパーでの目利きが問われます
↓
④成形
…皮剥き・カット・内蔵取出し・脱穀・叩く・粉砕・練り混ぜる、など
↓
⑤加熱
…焼く・炒める・揚げる・煮る・蒸す、など
↓
⑥調味
…塩・胡椒・ソースなどの調味料や香辛料を振りかけます
↓
⑦盛り付け
…高級レストランのこだわりどころ。インスタ映えも大事です
料理の道具
料理を作るには、下記のような道具が必要です:
・竈(かまど)、コンロ(焜炉)
・鍋
・包丁
・おたま、フライ返し、ヘラ
・缶切り、栓抜き
・菜箸
とくに必須なのはコンロと鍋です。
料理にとって火は命です。
また、台所にある料理用の火は、その家の中心としてもしばしば語られます。それは、私たち生物の消化器官が私たちの体の持続の中心を担っていることと類比的のように思われます。
以上のように料理は、それぞれ発祥地域の特性(環境・文化・歴史)に応じた個性をもち、その複雑な味わいによって私たちの味覚を今日も満足させてくれているのでした。
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つまり…
料理とは
自然物が調理され、かつ賞味のために味付け・見た目・香りなどの整えられた食べ物
という制作物なわけです。
もしダシのうま味がなかったら、日本食には寿司(SUSHI)しか残らんかったかも……と思うと、ダシへの有難みが増すのぅ。
歴史のツボっぽくいうと…
- 約100万年前加熱調理のはじまり食材を火に直接かけたり、焼石で間接的に加熱する調理が行なわれる
- 約3万年前パン製造の痕跡すりつぶした植物の根を、水に混ぜて焼き上げた、一種のパンがつくられる
<参考文献>(2020/04/29 visited)




