加工食品

自然加工物
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簡単にいうと…

加工食品とは

 調理をした食材

という自然加工物です。

詳しくいうと…

百万年の昔から、人類は調理をして食べ物を口にしてきました。

調理とは、食材に対する加熱・発酵・保存処理を主に指します。

 

調理の目的

調理の目的はだいたい以下の通りです:

 ①咀嚼/消化の促進

 ②殺菌

 ③長期保存

 

①咀嚼/消化の促進について、食材を柔らかくしてくれる調理という工程、その鍋や焼き網といった調理用具は、「第二の消化器官」と呼ぶことができます。実際に調理によって、そのままでは硬くて千切れない肉や実を、ホモ・サピエンスは化学エネルギーとして効率的に吸収することができます。もっとも簡単な方法は加熱です。

②殺菌について、生の肉や野菜には、雑菌や寄生虫、害虫がしばしばくっついています。そのまま食べると体調を崩し、命にかかわります。もっとも簡単な殺菌方法は加熱です。

③長期保存について、生の肉や野菜は、これまた数日で腐ったり傷んだりしてしまいます。手っ取り早く腐敗を遅らせるには、これまた加熱処理を施し、腐敗の原因になる水分を飛ばしてしまう方法があります。

 

①~③いずれの目的も満たしてくれるからこそ、加熱は、調理のもっとも中心的な方法になっています。加熱することで、食材を柔らかく、殺菌しながら、しかも日持ちさせてくれるわけです。

加工食品の種類

調理を施した加工食品には、大きく分けて、加熱食品・保存食品・飲料があります。

加熱食品は、食材を加熱加工したもので、焼く・炒める・蒸す・煮るなどの加熱方法があります。

保存食品は、食材を長期保存が可能なように加工したもので、発酵・燻製・天日干し・冷凍などの多様な方法があります。

飲料は、豆・葉を浸したり発酵などして加工した、水を基本とする食品で、茶・コーヒー・酒・清涼飲料などの種類があります。

加工方法

熱エネルギー変化(加熱)や化学エネルギー変化(発酵)を中心に、食材に対するさまざまな加工方法(調理)が実践されてきました。1つひとつ概覧してゆきましょう。

加熱食品の加工方法

焼き料理

 …火などの熱源による加熱加工。食材によっては加熱を要する程度が部位によって異なるため、シンプルですが工夫が求められます。

炒め料理

 …鍋の中で食材をちょこちょこかき回しながらの加熱加工。下ごしらえした食材を鍋へ入れる順番が重要。

蒸し料理

 …熱した蒸気による加熱加工。食材の化学成分が水分と一緒に食材内部へ留められやすいのが利点です。

煮物

 …こちらは逆に、食材の化学成分を積極的に鍋内の液体へ溶かし出して、食材だけでなくスープ自体も合成する調理法です。

菓子料理

 …小麦粉、卵、砂糖などを中心に練り混ぜてオーブン等で加熱する甘味。それだけだと焼き料理の一種ですが、とりわけ繊細な温度・湿度管理の求められる調理です。

 

保存食品の加工方法

発酵食品

 …微生物も、他の生物同様、特定の栄養素をinputして、内部で加工し、別の有機化合物へとoutputしています。発酵食品は、食材に微生物を住まわせて、そうした化学反応を意図的に行なわせ、風味をよくしたり、長持ちさせたり、硬い食材を柔らかくする加工法です。

干物

 …野外に魚類などの食材を並べて陽光にさらすことで、太陽光の熱エネルギーによって水分を飛ばし、ほどよく熱する加工法です。風味や保存をよくすることができます。

漬物

 …食塩・酢などの漬け込み材料内に食材を浸して、食材内部の水分含有量やph値を調整することで、保存を長持ちさせてくれる加工法です。

燻製食品

 …食材を煙に燻(いぶ)すことで、煙内の殺菌成分を食材へ浸透させ、また水分を飛ばすことで、保存を長持ちさせてくれる加工法です。

冷凍食品

 …氷点下にさらすことで食材内部の水分を凍らせて腐敗を防ぎ、保存を長持ちさせてくれる、19世紀に発明された冷凍機によって一般化した加工法です。

インスタント食品

 …乾麺や粉末に熱湯をかけるだけで食用・飲用に供することのできる保存食です。日本ではインスタントラーメンで有名です。

 

↓以下はパッキング観点での加工法です:

瓶詰

 …野菜や果物を、塩分や糖分の多い調味液に浸して、ガラス瓶などでパッキングする保存法です。この塩蔵や糖蔵によって雑菌の繁殖しにくい保存が可能になります。ジャムで有名です。

缶詰

 …食材を金属缶でパッキングすることで、雑菌の繁殖を何年間にもわたって抑える保存法です。災害時用に常備しておく非常食としても用いられます。

レトルト食品

 …食材を袋状の容器で密閉することで、雑菌の繁殖を抑える保存法です。日本ではレトルトカレーが有名です。

 

飲料の加工方法

 …生物にとってもっとも一般的な補給水分であり、人間もそれは変わりません。川などの地表水や地下水から取水された水が、雑菌・夾雑物を除去するためのさまざまな浄化方法によって綺麗にされてから、上水道で給水されたり、市販されたりしています。

 …ツバキ科ツバキ属の常緑樹チャノキなどから採取した葉を、熱した水に浸した飲料です。複雑な風味があります。

茶葉の発酵の程度に応じて、緑茶(ex.日本茶)・白茶・黄茶・青茶(ex.烏龍茶)・紅茶・黒茶(ex.プーアール茶)など、たくさんの種類があります。

コーヒー

 …アカネ科コーヒーノキ属の常緑樹から採取された豆を炒(い)って、熱した水で濾(こ)した飲料です。複雑な風味があります。

清涼飲料水

 …広義には酒以外の飲料全般を指しますが、狭義には、甘味料・香料など化学的に別途合成された食品添加物を複数配合した飲料のことです。ペットボトル製品はだいたいこれにあたります。

 …発酵によりアルコール分を含んだ飲料のことで、向精神薬の一種ともカテゴライズできます。蒸留酒(ex.ウィスキー、焼酎)や醸造酒(ex.ビール、ワイン、日本酒)などの種類があります。

ミルク

 …牛や山羊の乳から搾り取った分泌物を殺菌した飲料です。もともと子どもを育てるための器官が分泌する有機化合物なので、脂肪分やカルシウム、ビタミンなど、多様な栄養素が含まれています。

 

 

以上のように加工食品は、加熱や発酵、パッキングなどの加工方法によって、ホモ・サピエンスにとって都合がいいよう食材を化学的に変容させることで、消化・殺菌・保存に適させた飲食物です。今日わたしたちが口にし、自らの体や頭を働かせるエネルギー源のほぼすべてが、牧場や工場、調理場や台所で行なわれるこうした加工工程を経て届けられています。

 

・加工食品とは、加熱・発酵・パッキングなどの調理を施した食材だよ
・加熱食品、保存食品、飲料に大別できるよ
 

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つまり…

加工食品とは

 加熱・発酵・パッキングなどの調理を施した食材

という自然加工物なわけです。

 

調理のことを「消化・殺菌・保存に適するよう化学的に変容させた食材」なんて風に、ちゃんと捉えたことがなかったのぅ。けれどその定義は、調理の機能をちゃんと表現しておる。

これに対して料理の定義となれば、「おいしい」とかいう味覚に対する機能が表現されるんじゃろうな?

歴史のツボっぽくいうと…

  • 約100万年前
    加熱調理のはじまり
    食材を火に直接かけたり、焼石で間接的に加熱する調理が行なわれる

  • 約3万年前
    パン製造の痕跡
    すりつぶした植物の根を、水に混ぜて焼き上げた、一種のパンがつくられる

 

 

<参考文献>(2019/12/13 visited)

料理 - Wikipedia
保存食 - Wikipedia
発酵食品 - Wikipedia
燻製 - Wikipedia
漬物 - Wikipedia
インスタント食品 - Wikipedia
レトルト食品 - Wikipedia
缶詰 - Wikipedia
飲料 - Wikipedia
茶 - Wikipedia
コーヒー - Wikipedia
コーヒーノキ - Wikipedia
清涼飲料水 - Wikipedia
酒 - Wikipedia
牛乳 - Wikipedia
パンタポルタ: 人類はいつから料理をはじめたの? 調理のはじまりとは
人類はいつから料理をはじめたの? 調理のはじまりとは, 長い歴史の中で、人類は食材を美味しく調理するための様々な方法を考案してきました。 でも人類はいったいいつから料理を始めたのでしょう? 食材と調理の歴史を紐解いてみましょう。
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