食材

自然加工物
関連用語
 自然加工物
 └食糧
  └食材
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簡単にいうと…

食材とは

 料理の原材料

という自然加工物です。

それ自体は自然物ですが、品種改良を重ねているため自然加工物としています。

詳しくいうと…

今日あなたは何を食べたでしょうか?

こんなことを尋ねると、「栄養をとろう、という手のものか!」と思われてしまうかもしれません。

けれどここでは、「自分の食べた物がどこからやってきたのか?」を考える機会にできればと思います。

食材の種類

さて、食材には大別して、植物・動物・菌類があります。

植物系食材には、白米・パン・パスタの原料である穀物や、炒め物・煮物に欠かせない野菜をはじめ、リンゴ・バナナなどの果物、昆布だし・海苔の原料である海藻、調理の鍋を焦がさないための植物油、そしてパセリ・バジルなどの香草があります。

いずれも田畑・果樹園で肥料を与えられ育てられたり、海・養殖場で育ち、もぎり取られます。

 

動物系食材には、牛・豚・鳥に代表される獣の、牛などから搾り取られる、鶏などからかすめ取られる、乳や肉の脂肪分から抽出される動物脂があります。

いずれも養育場(牧場、牛舎、豚舎、鶏舎)・養殖場で飼料を与えられ育てさせられたり、海・川で網に絡めとられて連れ去られたりします。

 

菌類系食材には、茸(きのこ)などがあります。原木・菌床のある栽培場で育って出荷されています。

良い「食材」に向けた品種改良

1本の穂から50の実をつける稲より、100の実をつける稲のほうが、それを食するホモ・サピエンスにとっては嬉しいですよね。

より多くの卵を産む鶏、より太ってくれる牛や豚も、話は同様です。

こうして、ここ数千年の間、ホモ・サピエンスにとってより”役に立つ”品種同士が交配されることで、現在の食糧供給の量と質が築かれてきました。

この品種改良の圧力は、生物進化の自然選択説において、人為選択と呼ばれています。ホモ・サピエンスの選好が、食材となる動植物の進化の方向に偏りを与えてきた、ということです。

1865年に報告されたメンデルの法則にはじまる一連の遺伝研究も、こうした農業・畜産業での品種改良という経験・要請が背景にあったとしても、不思議ではありません。たとえばダーウィンは、ハトの品種改良をひとつのヒントにして自然選択説を練り上げました。

現に遺伝子研究は、最近よく耳にする医学的応用より以前に、農業・畜産業への貢献がすさまじいです。遺伝子工学の観点から、ひとびとはより意識的に動植物の品種改良を行なうようになりました。

 

生物進化の選択圧には従来、たとえば自然環境(熱帯・寒冷、海・川・平野、乾燥・湿潤など)、外敵・共生生物の有無、交配相手の見つけやすさ、などが影響しています。

ホモ・サピエンスは、彼ら自身が養育環境・害虫駆除・交配をさせつつ、自ら好む特徴を備えて生まれるよう、これら動植物に多大な選択圧をかけてきました。

今日わたしたちが食べる食材も、そのような人為選択の恩恵によって提供されているわけです。

 

 

・食材とは、料理の原材料だよ
・植物、動物、菌類があるよ
・品種改良によって、人間にとって都合よくつくられているよ
 

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つまり…

食材とは

 人為選択によって品種改良された、料理の原材料

という自然加工物なわけです。

 

品種改良されているからといって、ひとの手のかかっていない「天然」のイメージに走るのは、早計じゃろう。

何より肝心だと思われるのは、自分たち自身がそのようにして何千年間も生きてきた、という事実への直面にあるんじゃなかろうか。

「汝自身を知れ」という古代ギリシャ・アポロン神殿に掲げられた格言は、いまも有効じゃわぃ。

歴史のツボっぽくいうと…

  • 紀元前23,000年前頃
    農業の興り
    イスラエル・ガリラヤ湖畔で、農耕の痕跡(各種の麦)が発見される

  • 紀元前10,000年前頃
    稲作の興り
    中国・長江流域で、稲作を中心とする農耕の痕跡が発見される

  • 紀元前5,000年前頃
    牧畜の興り
    古代エジプトで、牧畜が行なわれる

 

 

<参考文献>(2019/12/10 visited)

品種改良 - Wikipedia
メンデルの法則 - Wikipedia
農業 - Wikipedia
牧畜 - Wikipedia
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