この用語のポイント
簡単にいうと…
放物運動器とは
力学的エネルギーが放物線状に働く器械
という技術要素・個体の総称です。
投擲を行なう遊具・スポーツ用具、ないし兵器がこれに該当します。
詳しくいうと…
放物運動器は、弓や石、弾丸などの投擲物を放り投げる器械です。
その投げ方は大きく分けて2つ。主に水平方向へ投擲する水平投射と、斜め上へ投擲する斜方投射です。
種類
横に飛ばす技術(水平投射の技術)
水平投射の放物運動器として、弓矢や銃、吹矢やダーツなどがあります。
投射後、しばらくは水平方向へ向かいますが、その運動エネルギーの減衰に対して重力の力がまさり、やがて放物線を描いて地表へ落下してゆきます。
斜めに飛ばす技術(斜方投射の技術)
斜方投射の放物運動器として、ボールや投石機や榴弾砲(りゅうだんほう)などがあります。
人力やロープ、爆発などにより空中への投射後、しばらくは斜め上方向へ向かいますが、その運動エネルギーの減衰に対して重力の力がまさり、やはり放物線を描いて地表へ落下してゆきます。
原動力
水平投射であれ斜方投射であれ、その投擲運動の原動力はさまざまです。
ボールなどの、機構をもたない簡易な放物運動器は人力で投げられます。
人力では持ち上げられない岩などは、梃子の原理+錘(おもり)の重力エネルギーが、弓などは弦・ロープの弾性エネルギーを利用して投げられます。
また、銃や榴弾砲であればその原動力は、火薬の爆発による圧力エネルギーです。
用途
遠方へ物を投げる、という放物運動器の特殊な性質は、①上手い投げ方が求められ、かつ②投げた先の付近に危害を加える、という特性とつねにセットで語られます。
このため、放物運動器の用途は、
①’遊戯・スポーツ目的
②’兵器目的
のどちらかであることがほとんどです。
放物線の研究
兵器としての性質も色濃い放物運動器が描く放物線は、これまで国家の大きな研究対象となってきました。
弾道学と呼ばれるこの分野は、最適な投擲のために力学や数学、投擲物の性質を研究する化学など、学際的な研究の俎上に上がりました。
この弾道計算のために、ENIACと呼ばれる、世界最初期の電子計算機(コンピュータ)がアメリカ陸軍に設置されたほどです。
以上のように放物運動器は、さまざまな原動力と機構、計算に支えられながら、ボールや石、矢や弾丸を投げつけることができるのです。
さらに知りたいなら…
つまり…
放物運動器とは
力学的エネルギーが放物線状に働く器械
という技術要素・個体の総称なわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
旧石器時代中期~後期(数十万年~数万年前) 世界各地で弓矢が用いられはじめる。
紀元前5~4世紀 古代中国やヨーロッパで投石機が使用されはじめる。
<参考文献>(2019/02/02 visited)