この用語のポイント
簡単にいうと…
振り子とは
その位置エネルギーと運動エネルギーを変換しつづけながら、一定周期で揺れ動く物体
という技術要素です。
詳しくいうと…
特徴
振り子とは、錘(おもり)を糸でぶら下げた物体です。
振り子を支点から吊り下げて、ユラユラ揺らすと、次の特徴を確認できます:
…左右端にあるとき位置E(エネルギー)を持ち、手を離すと重力作用で運動する。最下点で一番運動Eを持ち、再び反対端まで持ち上がると次の運動に向けた位置Eを蓄積する。
②等時性
…糸の長さが同じなら、錘の重量が異なる2つの振り子の往復時間は同一となる。
$振動周期T = 2π×\sqrt{\frac{糸の長さL}{重力加速度G}}(単振り子の周期)$
上記式のなかに、錘の重量が含まれていないことを注目ください。
つまり、錘の重量は振り子の振動周期には影響しないと考えられます。
③外部運動に対する鋭敏な変化
…振り子装置が設置されている地面が動くと、振り子の辿る軌跡も変化する。
応用
・振り子時計
②等時性を利用して、一定タイミングごとに時計の歯車を1歯分だけ進めるように振り子と時計を連動させることで、調速機能の役割を果たします。
・メトロノーム
振り子を上下逆さまにしたリズム打器。一定リズムを刻むため、楽器の演奏時に必須。
・地震計
③外部運動に対する鋭敏な変化を利用して、地面が揺れるとそれに反応する、初期の地震検知器としても振り子は活躍しました。
・重力測定器
緯度に応じて地上各地の重力加速度は異なります。重力加速度Gが振り子の周期に影響する(前述式を参照)ことを利用して、各地の重力加速度のちがいを測定します。
以上のように振り子は、エネルギー変換に基づくその周期運動という個性によって、他の器械へ一定タイミングの振動・情報を伝達し、また地面からの振動もキャッチすることができるのでした。
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つまり…
振り子とは
その位置Eと運動Eを変換しつづけながら、一定周期で揺れ動く物体
という技術要素なわけです。
振り子時計が動き続けているように見えるのは、時計側から振り子に少しずつ運動Eを供給しておるからじゃ。
歴史のツボっぽくいうと…
紀元前4世紀 古代ギリシャの哲学者アリストテレスが振り子について記述する。
16世紀 イタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイが振り子の等時性を発見、
晩年には振り子時計を設計する。
1657年頃 オランダの物理学者ホイヘンスが振り子時計を発明する。
1851年 フランスの物理学者レオン・フーコーが
フーコーの振り子を用いて地球の自転運動を証明する。
<参考文献>(2019/02/11 visited)