この用語のポイント
簡単にいうと…
誘導モーターとは
固定子の回転磁界によって、回転子に誘導電流やそれに伴う回転力を発生させる電気モーター
という技術個体です。
主に三相交流電流で用いられます。
工場の動力用モーターとして、家庭では扇風機や洗濯機の動力として、幅広く普及しています。
詳しくいうと…
誘導モーターの構造や仕組みは少々複雑ですが、ここではシンプルに説明します。ポイントは2つです。
①磁界が回転する。
②それによって回転子が回転する。
まず、右図のような誘導モーターを輪切りにして、内部の断面図を覗いてみましょう。
回転する磁界
左図が誘導モーター断面図です。
固定子側で、青・赤・黄の3つの回路が、それぞれコイルを2つずつ作っています。
3色の回路には、それぞれ周波数位相が1/3ずつズレた交流電流が流れています(三相交流)。
コイルは各々磁力を発していますが、3色の各コイルでの周波数の強さ・正負が時々刻々変化します。
このため、固定子全体としての磁界も、時々刻々変化するのですが、この磁界の方向変化が、ちょうど回転するように、上手く手はずが整えられているのです。
たとえば、左図の一番左の時点では、赤色コイルB-B’の周波数が他より強いため、磁界は赤色コイルB-B’間の向きが支配的になります。
同様に、次は青色コイルA-A’間の、その次は黄色コイルC-C’間の磁界の向きに変化します。ちょうど反時計回りに磁界が移動していますね。
こうして、3色のコイルにそれぞれ位相ズレした交流電流を流してあげることにより、誘導モーター内で形成される磁界の向きも回転することがわかりました。
次に、この回転磁界がどのようにして回転子をグルグル回すのかをみてゆきます。
回転する回転子
左図は、回転子を横から眺めたものです。
まず、先ほどの回転磁界によって、この回転子に誘導電流が生じます。
たとえばいま、反時計回りに回っている磁界の向きが左図をとるとき、フレミングの右手の法則により、左図の向きでそれぞれ誘導電流が流れます。
誘導電流が流れると、次に、フレミングの左手の法則にしたがい、回転しようとする力が働きます。
さらに磁界が回転すると、先ほどと同様に、誘導電流が流れ、力が働き、やはり回転子は回転します。
以上の流れをおさらいすると下記の通りです。
①固定子側で、三相交流電流の位相ズレ効果によって、磁界が回転する。
②それによって回転子に誘導電流が生じ(右手の法則)、次いで力が生じて(左手の法則)、回転子が回転する。
こうした複雑なステップを踏んで、誘導モーターは今日も、工場設備や家庭の洗濯機を回し続けています。
さらに知りたいなら…
つまり…
誘導モーターとは
固定子の回転磁界によって、回転子に誘導電流やそれに伴う回転力を発生させる電気モーター
という技術個体なわけです。
仕組みが複雑じゃ! もう一回説明せぃ!
歴史のツボっぽくいうと…
1824年 フランスの物理学者フランソワ・アラゴーが、回転磁界と電磁誘導・誘導電流
の効果により円盤が回転するアラゴーの円盤を作成する。
1831年 イギリスの物理学者マイケル・ファラデーが電磁誘導を発見したとされる。
1888年 オーストリア帝国生まれのニコラ・テスラが
誘導モーターの特許を取得する。
<参考文献>(2018/12/16 visited)