この用語のポイント
簡単にいうと…
発光ダイオード(LED)とは
電圧を加えると発光する半導体素子
という技術要素です。
蝋燭、白熱電球、蛍光灯に次ぐ、第四世代の照明技術として普及が進んでいます。
よく耳にする「LED」は、この発光ダイオード(Light Emitting Diode)の英語略称です。
なお、「ダイオード(diode)」とは、元々は交流-直流変換器の二極真空管を差す言葉でしたが(di-は「2つの」を示す接頭辞)、いまではそうした整流作用を持つ小さな半導体素子全般を意味します。
詳しくいうと…
2010年代になると、道路の信号機が何だか綺麗に光るようになりました。街中にも、はっきりと光る青色の灯りをちらほら見かけます。発光ダイオード(以下LED)が普及しているためです。
LEDは半導体素子です。なので小さく、+極と-極の電極を持ち、その間のランプカプセル内で何やらやっています。
LEDがその内部で何をやっているのか、みてゆきましょう。
構造と仕組み
左図のように、LED内にはLEDチップが埋め込まれており、このチップが発光します。
チップ内部には、半導体ダイオード類にはおなじみの、P型半導体(正孔が豊富)とN型半導体(電子が豊富)が地層状に堆積しています。
LEDに電流が流れると、P型半導体の正孔(電子が不在の穴)が電流の順方向へ、他方、N型半導体の電子が電流の逆方向へとお互い進み合います。
発光層で両者がぶつかり、正孔に電子が埋まると、余分なエネルギーが光エネルギーへと変換されます。
この正孔と電子の再結合による光エネルギーの変換によって、LEDはピカピカ光ることができます。
従来の照明技術に比べて消費電力が少なく済み、また長寿命というメリットがあります。とくに輝度が優れているため遠くからでも良く視認できます。
なお、光る際の色はチップ構成材料である化学化合物に応じて異なります。
化学化合物には窒素(N)・リン(P)・ガリウム(Ga)・アルミニウム(Al)・インジウム(In)などが用いられ、それぞれ透過する光の波長(色)が異なります(たとえば、青色発光には窒素ガリウムや酸化亜鉛が使われています)。
以上のようにLEDは、小さな半導体内の、さらに小さな電子と正孔との出会いによって生じた余剰エネルギーが光となって、今日もわたしたちの周囲にある信号機や電飾、駅の電光掲示板や自動車ランプなどを、キラキラと彩ってくれているわけです。
さらに知りたいなら…
つまり…
発光ダイオード(LED)とは
電圧を加えると正孔と電子が再結合し、余剰エネルギーが光へと変換されて発光する、半導体素子
という技術要素なわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
- 1906年LEDの予感イギリスの工学者ヘンリー・ジョセフ・ラウンドが、炭化ケイ素(SiC)の塊に電流を流すと黄色く発光することを確認する。
- 1962年LEDの開発アメリカのゼネラル・エレクトリック社の研究者ニック・ホロニアックが、赤色LEDを開発する。翌年、同氏は「LEDがトーマス・エジソンの白熱電球を置き換えるだろう」と予言。
- 1970年代各色LEDが登場赤・黄・橙・黄緑などの各色LEDが開発される。
- 1986年高輝度青色LEDの先駆け日本の工学者 赤崎勇、天野浩らが、青色発光に必要な窒素ガリウム(GaN)の単結晶化に成功する。
- 1993年高輝度青色LEDの開発日本の工学者 中村修二が高輝度青色LEDを開発する。
<参考文献>(2019/03/23 visited)