この用語のポイント
簡単にいうと…
電車とは
電気モーターの動力で車輪を回し自走する車両
という技術個体です。
「電動機(電機モーター)付き客車・貨車」が省略されて「電車」と呼ばれています。
1台の牽引車が後続車両を引っ張る動力集中方式の機関車とは異なり、電車では、車両1台1台に原動機(この場合は電動機)が搭載されていて、自走する、動力分散方式が採用されています。
詳しくいうと…
電車には、通勤・通学・旅行などでいつもお世話になっています。
そんな電車の、走る仕組みなどをみてゆきましょう。
構造
電車、および主な付帯設備の概要は下図の通りです:
上に吊られた電線から電力を得て、車内下部の電気モーターを回転させることで、車輪を回して走行しているようです。
この走行の仕組みについて、もう少し流れを追ってみてみましょう。
走行制御
走行
まず、変電所からの電気が、架線(トロリー線)とパンタグラフを通じて、車内下部の(出力=速度)制御装置へ送られます。
次に、この制御装置から、車内下部の各電気モーターへ給電されることで、モーターのシャフト(軸)が回り、連動する車輪が回って、電車は走行することができています。
とはいえ電気は、一方通行ではなく、回路上に循環させてあげることで継続的稼働が可能になるため、使用済み電気は、レール・吸い上げ線・饋(き)電線を伝って、変電所へ送り返されます。そして、戻ってきた電力は、また架線へ流れて、と循環する回路を構成しています。
ブレーキ
こうして走っている電車も、駅に近づくとブレーキをかけ、速度を落とします。
ブレーキの方式にはいくつかありますが、下記ではそのうち、代表的な機械ブレーキと電気ブレーキについて見てゆきます。
機械ブレーキ
機械ブレーキは、回転する車輪に別の物体を押し付けることで、無理やり回転を落とすものです。自動車で言うと、ブレーキペダルを踏んだときの仕組みと同じです。
たとえば、空気圧を利用してシリンダー内のピストンを押し、制輪子と呼ばれる接触部分を車輪に押し付ける方式(空気ブレーキ)などがあります。
このとき、後続車両へも、ブレーキの電気信号や圧縮空気が、電気連結器を経由して送り出されています。
電気ブレーキ
電気ブレーキは、電気モーターを発電機兼ブレーキとして利用する方式です。自動車で言うと、エンジンブレーキに相当します。
減速時、電気モーターへの給電がいったんストップします。車輪は回り続けているため、電気モーターのシャフト(軸)が連動して回りますが、重い抵抗がかかるため、車輪・シャフトの回転は次第に力を失ってゆきます。電気ブレーキは、電気モーターのこの制動力をブレーキとして利用したものです。
このとき、シャフトを回転させている電気モーターは、発電機へとその役割を変え、電気を生じさせます。
このように、ケースバイケースで電気モーターとして働いたり発電機として働いたり、といった交互運用は、たとえば水力発電所でも行われます。
この電気ブレーキにより発生した電気は、抵抗器を介して熱として空気中へ逃がしたり(発電ブレーキ)、あるいはレールを伝って変電所へ送り返され、次の走行時用の電力として再利用されたりします(回生ブレーキ)。
以上のように走行と制動を繰り返しながら、電車は今日もわたしたちを職場や学校、家へ運んでくれるわけでした。
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つまり…
電車とは
電気モーターの動力で車輪を回し自走する車両
という技術個体です。
ほかにも踏切や信号、交通管制システムなどの付帯設備があるが、それらは交通インフラとして括り、別の用語ページであらためて説明しよう。
歴史のツボっぽくいうと…
1879年 ドイツの工学者ジーメンスが、工業博覧会で電気機関車を披露する。
1881年 ドイツ・ベルリンで路面電車が開業する。
1895年 日本・京都で、琵琶湖疎水にある蹴上発電所の電力を用いた電車が開業する。
1936年 イタリアで長距離高速列車が製造される。
<参考文献>(2018/01/03 visited)