この用語のポイント
簡単にいうと…
フライホイールとは
何か装置の回転運動を均すための円盤
という技術要素です。
日本語では「弾(はず)み車」と呼ばれたりもします。
エンジンのほか、レコードプレーヤー、蓄電装置、機械式時計、オルゴールなど、回転する仕組みをもつ物にしばしば、かつひっそりと取り付けられています。
詳しくいうと…
仕組み
たとえばレシプロエンジンを例にとると、燃焼行程の際、爆発により一気にピストンが下がり、クランクシャフト(軸)の回転がこのとき、ぐっと勢いを増します。
ですがそれ以外の行程では、回転の勢いはそれほど強くありません。むしろ、自力での回転がむつかしいくらいです。
つまり、回転速度にムラがあります。
フライホイールという重い金属の円盤が、シャフトと一緒に回転することで、このエンジンのムラを均一にしてくれます。
なおかつ、このフライホイールの蓄えている回転力によって、ピストンは燃焼時以外にも上下運動を続けることができるのです。
車の速度が突然ガクっと増したり減ったりせずに済むのは、このフライホイールのおかげです。
フライホイール効果
このフライホイールの力をもうすこし実感するために、その効果を量的にみてみましょう。
フライホイールの安定した回転効果は、フライホイール効果(弾み車効果)と呼ばれ、次の式で表されます:
フライホイール効果=質量(kg)×直径(m)2
つまり、フライホイールの円盤が重ければ重いほど、また大きければ大きいほど、その蓄えた回転運動エネルギーによって、他のムラっ気のあるやんちゃな回転運動を静かになだめてくれるというわけです。直感的にもわかりやすいですね。
たとえばここに2つの円盤、
①木製の円盤(質量1kg/直径1m)
②金属の円盤(質量10kg/直径1m)
があったとします。
それぞれのフライホイール効果(回転の安定度)は
①1(kg)×1(m)2 = 1(kg・m2)
②10(kg)×1(m)2 = 10(kg・m2)
となり、①よりも②のほうが(だいたい)10倍ほど、ムラのある回転運動を均す機能があるといえます。
こうしてフライホイールは大小を問わず、わたしたちの見えないところで日夜、車やオルゴールや機械式時計の回転をうまく調整してくれているのです。
さらに知りたいなら…
つまり…
フライホイールとは
回転運動エネルギーを蓄え、それによって他部品の回転運動の速度変化を均(なら)してくれる円盤
という技術要素です。
歴史のツボっぽくいうと…
新石器時代 糸を手紡ぎを容易にする紡錘車(こま)や、
陶器づくりのための轆轤(ろくろ)が利用される。
12世紀 ドイツの職人テオフィルスが、その著作『さまざまの技能について』内で、
器械の回転速度を一定化するためのフライホイールについて記述する。
<参考文献>(2018/09/24 visited)