この用語のポイント
簡単にいうと…
線型運動器とは
力学的エネルギーが主に直線状に働く器械
という技術要素・個体の総称です。
詳しくいうと…
力学的エネルギーのさまざまなバリエーションを変奏する運動器のうち、線型運動器は、そのエネルギーの向きが総じて直線状に表されるタイプの器械です。
重力、摩擦力、張力、弾力などの力学的エネルギーを利用する器械がこれに該当します。
種類
重みの技術(重力の技術)
重力を利用する線型運動器として、錘(おもり。漬物石・錨・カウンターウェイトなど)、秤(はかり)などがあります。
惑星上の物体にはすべて重力が働きますが、とくに質量があって重い物体は、他の物体を固定したり重心バランスを保つのに役立ちます。
擦る技術(摩擦力の技術)
摩擦力を利用する線型運動器として、車輪/タイヤ、ブレーキ、軸受けなどがあります。
摩擦をかけることで、運動している物体を擦(こす)って静止させたり、逆に摩擦を極力減らすことで運動を滑らかにします。
張り詰める技術(張力の技術)
張力を利用する線型運動器として、ロープ、ベルト、傘、テントなどがあります。
いずれも紐状・布状で、ぴんと張り詰めることで、加わった力に抵抗しながら位置や形状を維持しつづけます。
弾む技術(弾力の技術)
弾力を利用する線型運動器として、バネやぜんまいなどがあります。
外部から加わった力に応じて変形・復元することで、力の蓄積や衝撃の吸収などを行なうことができます。
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つまり…
線型運動器とは
その力学的エネルギーが主に直線状に働く重力、摩擦力、張力、弾力などを利用する器械
という技術要素・個体の総称です。
歴史のツボっぽくいうと…
旧石器時代中期(10~5万年前頃) 木の枝をしならせた罠が利用される。
旧石器時代後期(5~1万年前頃) 弦の張りを用いた弓矢が利用される。
旧石器時代後期(5万年~1万年前)
つる植物などの繊維を撚り合わせたロープが作られる。
紀元前5000年頃 古代メソポタミアで車輪が用いられたとされる。
紀元前2500年頃 古代メソポタミアで、ロバに牽かせた車輪付き戦車が用いられる。
紀元前2000年頃 中央アジア地方で、スポーク付き車輪が用いられる。
紀元前4世紀頃 古代ギリシャの工学者ヘロンが、
弦をねじることで復元力を発揮する機械弓について記述する。
紀元前3世紀頃 古代ギリシャの発明家クテシビオスが、
青銅製の板バネを利用するカタパルトを発明する。
紀元前3世紀頃 古代ギリシャの工学者ビサンチウムのフィロンが、
弾性を備えた部品としての「バネ」の概念について初めて記述する。
14世紀頃 ぜんまいを利用した機械式時計が発明される。
16~17世紀頃 ヨーロッパで馬車の懸架装置に衝撃吸収用の鋼製バネが搭載される。
1678年 イギリスの自然哲学者ロバート・フックが
バネの物理法則(フックの法則)を発表する。
18世紀頃 さまざまなピッチでのコイルバネ製造機(コイリングマシン)が作製される。
1834年 ドイツの鉱山技師が、鉄線を撚り合わせてワイヤロープを開発、
鉱山の立坑作業用に用いられる。
1845年 イギリスの発明家ロバート・ウィリアム・トムソンが
空気入りゴムタイヤの特許を取得する。
1867年 車輪の外周(トレッド)がゴムで覆われ始める。
1888年 イングランドの獣医師ジョン・ボイド・ダンロップが
自転車用の空気入りゴムタイヤを発明する。
1895年 フランスのミシュラン兄弟が
自動車用の空気入りゴムタイヤを発明し、競技レースに出場する。
1969年 アメリカのトーリン社が、数値制御(NC)式のバネ製造機を開発する。
<参考文献>