この用語のポイント
簡単にいうと…
機関車とは
原動機の回転運動でレール上の車輪を回し、後続の客車・貨車を牽引する車両
という技術個体です。
搭載する原動機のタイプに応じて、蒸気機関車・内燃機関車・電気機関車などと呼び分けられます。
日本では現在、牽引力が求められる貨車や、静音性が求められる寝台列車の牽引車両として用いられています(客車はほぼ電車に置き換わっています)。他方、他国では客車の牽引車両として主流です。
詳しくいうと…
機関車は、後続の貨車・客車を牽引する車両です。
動力ごとに構造が異なるため、以下では蒸気機関車・内燃機関車・電気機関車それぞれの走行する仕組みを見てゆきましょう。
蒸気機関車の走る仕組み
18世紀にヨーロッパで蒸気エンジンが発明されると、それまでの馬車鉄道に代えて、エンジン搭載車両が貨車・客車を牽引するアイデアが実現します。
この蒸気機関車の構造は下図の通りです(ざっくり)。
石炭を燃やすことでパイプ(煙管)を熱し、その高熱で生じる蒸気の圧力エネルギーで、ピストンを往復運動させます。
まず左図では、蒸気がピストンを右方向へ圧すことで、主連結棒を介して車輪がすこし回ります。
次に、車輪の移動によってすべり弁も連動してズレることで、蒸気の入る入口が変わります。今度は蒸気が左方向へピストンを圧すことで、車輪がさらに少し回りました。
ピストンのこの高速な往復運動により、蒸気機関車は車輪を回し、走行することができます。
内燃機関車の走る仕組み
19世紀末になると、大型化可能でエネルギー効率の改善された内燃機関(ディーゼルエンジン)が発明されたので、さっそく機関車に搭載されました。
下図は電気モーター併用のディーゼルエレクトリック方式の機関車です(ざっくり)。
ディーゼルエンジンの出力によって発電機に稼働させ、生じた電気で各電気モーターを回し、各車輪を回すことで走行します。
電気機関車の走る仕組み
内燃機関車に先んじること19世紀半ば、当時発明された電気モーターを機関車の動力にしようと考える人々が現れ、さっそく搭載されました。
電気機関車は、電線から直接電気を取得し、電気モーターで車輪を回して走行します。
変電所からやって来た電気は、架線・パンタグラフを通して機関車内の制御装置へ流れ込みます。そこでいったん出力(速度)制御されたのち、電気モーターと車輪を回して、電気はレールへ逃げてゆきます。
電気はさらに、吸い上げ線と饋(き)電線を伝い、こうして変電所にまた戻ってきます。ぐるっと一周しており、全体としてひとつの回路になっているわけです。この回路のおかげで、電気モーターには継続的な電気供給が行なわれます。
以上のように、さまざまな原動機をパワーを借りて、機関車は今日もわたしたちの利用する貨物・石油などを、全国津々浦々まで届けているわけです。
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つまり…
機関車とは
原動機の回転運動でレール上の車輪を回し、後続の客車・貨車を牽引する車両
という技術個体なわけです。
走行するという点では同じじゃのに、載せる原動機がちがうと、構造や付帯設備が異なり、呼び方まで異なるんじゃな。
歴史のツボっぽくいうと…
1802年 イギリスの技術者リチャード・トレビシックが
蒸気エンジンを台車に搭載した蒸気機関車を開発する。
1814年 イギリスの技術者ジョージ・スティーブンソンが
石炭輸送用の実用的な蒸気機関車を開発する。
1837年 イギリスのロバート・デビットソンが
ガルバーニ電池を搭載した電気機関車を開発する。
1879年 ドイツのヴェルナー・フォン・ジーメンスが
実用的な電気機関車を開発する。
1924年 ロシア鉄道向けにディーゼル機関車が開発される。
<参考文献>(2019/01/02 visited)