簡単にいうと…
無機素材とは
無機物を主要な構成要素とする固体状の素材
という自然加工物です。
詳しくいうと…
無機素材とは、主に無機物から構成される素材を指します。
無機物とは、固体にかんしていうなら、鉱物界に存在する土・岩石・鉱石など、比較的シンプルな分子構造をとる物質のことです。
これらのシンプルな物質には、それぞれの分子構造に特有の個性があります。あるものは水に混ぜると粘性や熱硬化性を、あるものは磁性・電導性・熱伝導性を示し、またあるものは光を透過して透明になったりします。
こうした無機物の個性のうち、ホモ・サピエンスにとって役に立つ性質を際立たせるために複数の無機物を合成したり、加工したりして出来るのが、無機素材です。
無機素材の種類
代表的な無機素材をピックアップしてみます。
・合金
・コンクリート
・ガラス
粘土
粘土は、乾燥・加熱すると固まる性質をもつ、粘っこい土です。
その材料採取や造形の容易さ、そして固化後の丈夫さから、古代より陶磁器や煉瓦として広く用いられてきました。
合金
合金は、複数の元素を合成した金属です。
合金化することで、単一の金属よりも丈夫さや耐食性などがパワーアップします。
ビルの骨格になる鉄合金の鉄骨、アルミニウム合金の食器や窓枠など、わたしたちが日頃目にする金属はほとんどすべてが合金です。
コンクリート
コンクリートは、セメントに水・砂・砂利などを混ぜ合わせて硬化する建築材料です。
その固化の速さと、鉄筋・鉄骨と組み合わせた際の強度から、ビルやマンションの構成素材、住宅の基礎部から、道路の素材にいたるまで、街の様々な場所で用いられています。
ガラス
ガラスは、液体のような不規則な編み目構造をした固体で、とりわけその構造によって光を透過させるタイプの素材です。
透明なので窓ガラスや鏡の保護材として設置されたり、屈折率を変化させたさまざまなレンズとして利用されています。
以上のように無機素材は、土や鉱物といった無機物を主原料にしながら、わたしたちの物質生活の基盤を日々提供してくれているのでした。
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つまり…
無機素材とは
無機物を主要な構成要素とする固体状の素材
という自然加工物なわけです。
無機物の「素材」といっても幅広いが、ここでは固体物質のベースの意味で用いておる。
おなじ無機物でも、たとえばネオンガスは薬品(充填剤)と見なせるし、水などは未加工のものをせいぜい浄化して使うくらいなので自然加工物としての素材としては扱っておらん。
歴史のツボっぽくいうと…
- 紀元前8700年前頃金属の利用メソポタミア地方で、紀元前8700年前頃の純銅製ペンダントが出土される
- 紀元前5500年前頃精錬の開始ペルシャで、銅鉱石を加熱して銅元素を抽出する精錬が行なわれる
- 紀元前3600年前頃銅合金の発明メソポタミア地方で、銅-錫合金(青銅)が発明される
- 紀元前2500年前頃製鉄の普及アナトリア半島(現在のトルコ周辺地域)で製鉄技術が普及する
- 紀元前2250年前頃ガラスの製造メソポタミア地方(現在のシリア)で、本格的なアルカリ石灰ガラスが製造される
- 紀元前1400年前頃鉄合金の発明ヒッタイト帝国(現在のトルコ周辺地域)で、鉄に炭を添加した鉄合金(鋼)が発明される
- 紀元前8~紀元後5世紀古代ローマでのコンクリート利用古代ローマ帝国で、水道や橋、ドームや公衆浴場などにコンクリートが用いられる。
古代ローマ帝国崩壊後、その製法の多くは産業革命時代まで失われたとされる。
- 紀元前1世紀頃吹きガラス製法の確立メソポタミア地方(現在のシリア)で、吹きガラス製法が確立する
- 1670~1690年頃カリグラスの製造ボヘミア地方でカリグラスが製造される。
- 1678年クリスタルガラスの製造イギリスでラベンズクロフトが、鉛クリスタルガラスの特許を取得する
- 1756年コンクリートの再考案イギリスの技術者ジョン・スミートンが、水で固まる石灰を使用したコンクリートを考案する。
- 1824年ポルトランドセメントの発明イギリスの技術者ジョセフ・アスプディンが、今日の代表的なセメントであるポルトランドセメントを発明し、1840年代に実用化する。
- 1867年鉄筋コンクリートの発明フランスの庭師ジョセフ・モニエが、鉄筋によって補強したコンクリート製の植木鉢について特許を取得する