この用語のポイント
簡単にいうと…
シリンダーとは
円筒、とくにエンジンにおいてピストンの往復運動をサポートする円筒
という技術要素です。
注射器のシリンダーや、鍵のシリンダーなど、いろいろありますが、
ここではピストンと対で用いられる、レシプロエンジンのシリンダーについて説明します。
詳しくいうと…
構造
レシプロエンジンにおいて、シリンダー部は2つの箇所に大別されます。
・シリンダー
…ピストンの往復運動の形状にかたどられた円筒。通常「シリンダー」といえばこの円筒を指す。クランクシャフト部と併せてシリンダーブロックとも呼ばれる。
・シリンダーヘッド
…吸気口/排気口および吸気弁/排気弁を備えた、シリンダー上部の頭頂部分。
シリンダー(ブロック)は、円形のピストン形状に合わせて円筒状のかたちをしています。ピストンが滑らかかつ隙間なく往復運動できるよう、とくに精密な切削技術の求められる箇所のひとつです。
シリンダーヘッドについて、さらに詳しくその動きをみてみましょう。
シリンダーヘッド
シリンダーヘッドの重要な機能は、排気弁/吸気弁をタイミングよく開閉させることです。
これにより、シリンダー/ピストンからなる燃焼室での燃焼行程をスムーズにサポートすることができます。
左図は、この吸気弁/排気弁をタイミングよく開閉する仕組みを示します。
カムシャフトと呼ばれる、洋ナシ形状の部品と軸がくるくる回転しています。
その凸部が各弁を下方向へ押し出すことで、弁が開き、凸部が通り過ぎると閉じます。
この吸気弁が開いたタイミングで、ピストンは下方向へさがり、パイプ内に溜まっていた燃焼ガスがシリンダー内へ流入します(吸気行程)。
また、排気弁が開いたタイミングで、ピストンが上方向へ押し込まれ、燃焼後の排気ガスが排気パイプへと流出します(排気行程)。
他方、1つのカムシャフトで両弁を開閉する方式はSOHC(シングル・オーバーヘッド・カムシャフト)と呼ばれます。
また、SOHCやDOHCが普及するより以前は、カムシャフトがシリンダーヘッド部以外に設置される方式として、SV(サイド・バルブ)方式やOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)方式などがありました。
さらに知りたいなら…
つまり…
シリンダーとは
ピストンの往復運動をサポートする円筒で、かつその頭頂部では吸気弁/排気弁の開閉をコントロールしている
技術要素というわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
1912年 エルネスト・アンリが、プジョー社のレーシングカー向けに
DOHC方式のシリンダーヘッドを設計する。
<参考文献>(2018/09/23 visited)