この用語のポイント
簡単にいうと…
バネとは
力を受けて変形⇔復元する物
という技術要素です。
弾性を利用する部品の総称を広く指すこともあります。
漢字で「発条」と表記されます。
詳しくいうと…
バネは、ネジと並んで最も日常生活に浸透している技術要素のひとつです。
洗濯ばさみや水道栓から、電池用電極、時計、車や建物の衝撃吸収装置まで、いろんなところでその変形と復元の性能を発揮しています。
3つの特性
力を加えられ、変形したバネが復元する性質のことを弾性、その力を弾力と呼びます。
弾性は、(a)材料に備わっている場合(ex.ゴム)と、(b)形状によって実現される場合(ex.コイル形状)があります。
とはいえ、(a)ゴムの場合でも、その弾性は特徴的な分子間構造に基づいているため、結局は(a)(b)ともに、ミクロ/マクロな構造がその固体の弾性を決めています。
なお、バネの3大特性として下記が挙げられます:
①復元力をもつ
②エネルギーの蓄積/放出ができる
③固有の振動数をもつ
①は元の形状へ戻る性質、②は変形時に加えられた力が復元時に外部へ放たれる性質、そして③はびよんびよんと一定に震える性質です。
種類
バネにはたくさんの種類(=形状=弾性の異なる強度や特徴)があります。
コイルバネ
コイルバネは、金属線などがくるくるコイル状に巻かれたタイプのバネです。エネルギー吸収効果がとくに優れ、もっとも一般的なタイプです。
左図の圧縮コイルバネのほか、引っ張りコイルバネ、ねじりコイルバネ(洗濯バサミのあれ)などの下位種類があります。
板バネ
板バネは、板状素材を折り曲げたり引っ付け合ったりさせた、簡易な形状のバネです。
左図のように、電池用電極に用いられたり、車や電車の衝撃吸収装置としても使われます。
薄板バネ、重ね板バネなどの下位種類があります。
その他
日常よく見かけるコイルバネや板バネのほか、渦巻バネ(ぜんまい)、皿バネ、輪バネ、トーションバーから、圧縮空気の弾性を利用する空気バネなど、たくさんの種類があります。
以上のようにバネは、弾性というその特徴的なミクロ(材料)/マクロ(形状)な構造のおかげで、今日もわたしたちの洗濯物をぱちんと留め、水道の水を止め、車の衝撃を吸収してくれているわけでした。
さらに知りたいなら…
つまり…
バネとは
力を受けて変形⇔復元する弾性という性質を備えることで、物体の固定や衝撃吸収などを行なう
技術要素というわけです。
歴史のツボっぽくいうと…
旧石器時代中期(10~5万年前頃) 木の枝をしならせた罠が利用される。
旧石器時代後期(5~1万年前ごろ) 弦の張りを用いた弓矢が利用される。
紀元前4世紀頃 古代ギリシャの工学者ヘロンが、
弦をねじることで復元力を発揮する機械弓について記述する。
紀元前3世紀頃 古代ギリシャの発明家クテシビオスが、
青銅製の板バネを利用するカタパルトを発明する。
紀元前3世紀頃 古代ギリシャの工学者ビサンチウムのフィロンが、
弾性を備えた部品としての「バネ」の概念について初めて記述する。
14世紀頃 ぜんまいを利用した機械式時計が発明される。
16~17世紀頃 ヨーロッパで、馬車の懸架装置に衝撃吸収用の鋼製バネが搭載される。
1678年 イギリスの自然哲学者ロバート・フックが
バネの物理法則(フックの法則)を発表する。
18世紀頃 さまざまなピッチでのコイルバネ製造機(コイリングマシン)が作製される。
1969年 アメリカのトーリン社が、数値制御(NC)式のバネ製造機を開発する。
<参考文献>(2019/01/27 visited)