この用語のポイント
簡単にいうと…
流体運動器とは
力学的エネルギーまたは圧力差や比重差が、液体・気体において働く器械
という技術要素・個体です。
固体に対して働く運動とはずいぶん趣きが異なります。
詳しくいうと…
力学的エネルギーのさまざまなバリエーションを変奏する運動器のうち、流体運動器は、その働きが液体・気体において働くタイプの器械です。
液体・気体に対して運動エネルギーを直接伝えるもののほか、比重差や圧力差を利用するものも多いです。
種類
浮く技術(浮力の技術)
浮力を利用する流体運動器として、液体中では浮きやフロートスイッチが、気体中では風船や熱気球などがあります。
浮力とは、液体中に浸かった物体に対して周囲の液体が上方向へ押し返そうとする力、あるいは空気と封入ガスとの比重差により上方向へ浮き上がろうとする力です。
この浮力により、船は水面に浮かび、風船は空へ飛んでゆくことができます。
圧す技術(圧力の技術)
圧力を利用する流体運動器として、液体に対してはインジェクタ、気体に対してはファンやピストン/シリンダー、そして液体・気体両者に対してはターボ圧縮機などがあります。
液体・気体を押したり、羽根車で押し出したりすることで、圧力をかけて、流体の勢いをつけることなどができます。
浮き上がる技術(揚力の技術)
揚力を利用する流体運動器として、液体中ではスクリュープロペラや水中翼、気体中では固定翼やプロペラなどがあります。
翼の特殊な形状により、翼の両面で圧力差をつくり、浮上や推進の力になります。
こうして飛行機は滑走路から空へ飛び立ち、船は海中を前進することができます。
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つまり…
流体運動器とは
力学的エネルギーまたは圧力差や比重差が、液体・気体において働く器械
という技術要素・個体です。
空気も海も、とりとめがなく不定形じゃが、それらを「流体」と見なして挙動を研究し、そこではたらく効果的な器械を、人類は築きあげてきたんじゃのぅ。
歴史のツボっぽくいうと…
紀元前3世紀 古代ギリシャの数学者・工学者アルキメデスが
船舶用のスクリューを発明したとされる。
紀元前3世紀 古代ギリシャの数学者・工学者アルキメデスが
液体中の浮力について説明する。
1556年 ドイツのゲオルク・アグリコラが
著書『デ・レ・メタリカ』で、鉱山換気用のファンについて記述する。
1790年 スペイン帝国(現メキシコ)の神父アントニオ・アルサテ・イ・ラミレスが
ボールタップ式フロートスイッチを発明する。
1797年 イギリスの実業家エドモンド・カートライトが
蒸気機関用ボールタップ式フロートスイッチの特許を取得する。
1854年 イギリスの技師ジョン・ラムズボトムが
このパッキング技術により、内燃機関が可能になる。
1865年 イギリスの物理学者ウィリアム・ランキンが
水を加速させる円盤としてプロペラを見なす運動量理論を提起する。
1908年 ドイツの技術者プロスパー・ロランジュが、Deutz社とともに
ディーゼルエンジン向けの精密な噴射ノズル/ポンプを開発。
1939年 ドイツのハインケル社が、世界初のターボジェットエンジン搭載の
航空機He178を初飛行させる。
1967年 ドイツのボッシュ社が開発した電子制御式噴射装置を
搭載した乗用車が販売される。