簡単にいうと…
構造物とは
自重や荷重、応力を支える形態・構造を備えた
生産された技術です。
詳しくいうと…
構造物の成り立ち
木の棒を組み合わせて、立方体をつくります。
板を乗せれば、ホモ・サピエンスの体重や作業用具を乗せられますし、
もっとサイズが大きければ、ホモ・サピエンスたち自身を囲って雨風をしのげます。
これらの立方体は、「椅子」「机」「家」などなど、と名付けられてきました。
あるいはひとまとめに、構造物と呼ばれます。
これら構造物は、簡単に壊れてしまうと困ったことになるので、
丈夫な素材を用いて、丈夫な構造で組み立てられます。
こうして、はじめはその地域で得られやすい素材、たとえば樹木や他の植物、レンガ、石などの素材が用いられてきましたが、時代を経るごとにコンクリートやアスファルト、鋼鉄などの素材が用いられ、またそれら素材に応じた構造の組み立て方が試みられてきました。
今日では、どれだけ風雪や地震、自らの重さに耐えられるのかをあらかじめ考える構造計算によって、これら構造物が倒壊することはめったになくなりました。いまや、数百メートルにも及ぶビルや電波塔が建設され、都市や街の在り方を方向づけているほどです。
構造物の場所についていうと、それらは特異点と正則点にのっとって設置されます。
山頂(城塞)、岬の先端(灯台)、道の交差点(信号機)、油田の上(油田プラットフォーム)など、地理的世界における諸々の特異点が、特定の構造物を設置するよう手招きしています。
他方、道路沿いに一定間隔で点在する街灯や、碁盤の目のように区切られた住宅街、郵便局のいつも決まって正面にある郵便ポストなどは、ホモ・サピエンスの頭の中で関連づけられた正則点に設置されることで、利便性や効率を増してくれます。
求められる場面に応じて多様な機能をそれぞれ備える構造物ですが、共通点がひとつあります。
それは、構造体である以上、諸々の力を折衝する、という共通の機能です。
一軒の家は、風圧に耐え、雨水をはじき、地面の振動を上手くいなしています。ベッドや棚、滑り台やブランコ、クレーンや配管も同様です。
ホモ・サピエンス自体でさえ、構造体にとっては荷重を負荷しにくる流れのひとつにすぎません。そのうえ、風雨の流れ、地殻変動の流れ、水や電気の流れ、信号や光の流れ、自動車や列車、航空機の流れなどを構造体はさばかなくてはいけません。
不動であるからこそ、構造体は流れの折衝から切り離せないのです。
構造物の種類
これら構造物は、以下のように大別されます:
…ひとが居住・滞在するための構造物
・構築物
…ひとが居住・滞在しない構造物
それぞれ概覧してみましょう。
建築物
建築物は、ひとが居住・滞在するための構造物です。
住宅やビル、寺社や教会、空港や灯台などがあります。
これら建築物はそれぞれ、基礎、柱、梁、壁、階段などの基本的な建築部材から構成されています。
構築物
構築物は、ひとが居住・滞在しない構造物(建築物以外の構造物)です。
家具・市街・交通(道路、鉄道、港湾、航空)・エネルギー関連設備など、多様な分野それぞれにたくさんの種類があります。
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つまり…
構造物とは
自重や荷重、応力を支える形態・構造を備えた
生産された技術なわけです。
あと、皿やコップはどうなんじゃ?
歴史のツボっぽくいうと…
【建築物】
- 紀元前40万年頃最古の住居建築フランスのテラ・アマタ遺跡で大きな楕円形の住居の柱の穴が発見され、当時ヨーロッパにいたホモ・ハイデルベルゲンシスによる建築とされる
- 紀元前10世紀~紀元後3世紀頃日本最古の階段日本の弥生時代に、棒に凹凸をつけて階段として用いられた丸棒階段が用いられる
- 紀元前10世紀~紀元後3世紀頃高床式倉庫の普及日本の弥生時代に、高床式倉庫が普及する
- 紀元前5万年~1万年頃日本で最古の住居建築日本の後期旧石器時代に竪穴式住居が造られはじめる
- 3世紀~4世紀頃神明造の神社建築日本の三重県・伊勢神宮に、神明造の内宮が建築されたとされる
- 1198年現存する日本最古の木杭源頼朝の家来だった武将 稲毛重成が、相模川(現在の神奈川県茅ケ崎市)に木杭を用いた「旧相模川橋脚」を築く
- 1867年RC造の発明フランスの庭師ジョセフ・モニエが、鉄筋によって補強したコンクリート製の植木鉢について特許を取得する
- 1903年日本のRC造の構造物日本の琵琶湖疎水でRC造の橋梁が建設される
- 1908年日本で最初の鋼杭大阪の高麗橋に、日本で初めて鋼杭が用いられる
【構築物】
- 約30万年前炭の利用日本の約30万年前の遺跡から炭が発見される
- 紀元前4000年頃石造アーチ橋の建造古代メソポタミア文明で石造のアーチ橋が架けられる
- 紀元前2800年頃椅子の発達古代エジプトで装飾の施された椅子が作られる
- 紀元前2750年人類最初のダムエジプトで人類最初のダム「サド・エル・カファラダム(異教徒のダム)」が上水道用途で建造される
- 紀元前2600年頃大規模な舗装路古代エジプトで、ピラミッド建設のため石切場から建設現場までの道が石で舗装される
- 紀元前25~19世紀頃都市水道の敷設インダス文明の都市モヘンジョダロで、井戸から揚水した水が水道管を通して給水される
- 紀元前2200年頃レンガ橋の建造古代都市バビロンでユーフラテス川に全長200mのレンガ橋が架けられる
- 紀元前1900年頃古代ローマ帝国の水道橋古代ローマ帝国の各地で、水道を通すための橋が建造される
- 紀元前1600年頃セメント舗装路の登場古代ギリシャのクレタ島で、セメントやモルタルを基礎部素材にした石の舗装路が造られる
- 紀元前8~6世紀頃オリーブ圧搾機の登場古代ギリシャでオリーブをプレスする圧搾機(スクリュープレス)が利用される
- 紀元前7世紀頃スクリューの使用アッシリア王国の国王センケナブリの残した楔文字文書に、スクリューの記述が残される
- 紀元前600年頃荷馬車用の溝古代ギリシャのコリントス地方で、馬車が石灰岩の溝の上を走行する
- 紀元前5世紀頃アスファルト舗装路の登場古代メソポタミアの都市バビロンで、アスファルトとモルタルで詰めたレンガ基礎の上を石で舗装した舗装路が造られる
- 紀元前450年クレーンの登場古代ギリシャで、梃子と滑車を利用した人力のクレーンが石造建築のために用いられる
- 紀元前3~紀元後5世紀古代ローマの水道網古代ローマで多数の水道が整備され、1日100万m3以上の給水量を誇る
- 6世紀頃橋建設の支保工古代ローマ帝国・リミラ(現 トルコ南西部)で、支保工を用いた橋(「リミラ近くの橋」)が建設される
- 9世紀~12世紀日本での木炭の普及日本の平安時代に、山林部を中心に炭焼きが広く行なわれる
- 1300年代頃ドイツの古クレーンドイツのハノーヴァー州リューネブルグで、古クレーンと呼ばれる、チェーンを巻き取るドラムを人力で回して吊り下げするピポット型のクレーンが造られる
- 16世紀森林資源の枯渇イギリスで、製鉄用途の木炭需要の高まりにより、森林伐採が深刻化する
- 1500年頃ダ・ヴィンチとネジイタリアの工学者・芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが、装置制作時の締結用にネジを用いる
- 16世紀中頃ネジの普及ヨーロッパでさまざまな装置にネジが利用され、家内工業としてネジ製造が行なわれる
- レールに鉄が使用されるイングランドのカンバーランドで、木製基盤上に薄い帯状の鉄を張り付けたレールが造られる
- 1800年精密なネジの普及イギリスの技術者ヘンリー・モーズリーが、鋼鉄製のネジ切り用旋盤を発明し、精密なネジが量産されることでその後の産業革命に寄与する
- 1831年現在のレールの原形アメリカの技術者ロバート・スティーブンスが、現在使用されるレールの原形となる平底のレールを発明する
- 1909年最初期の空港アメリカのメリーランド州で、技術者ウィルバー・ライトがカレッジパーク空港を開設する
- 1913年多目的ダムの法律プロイセン(現 ドイツ)で、治水と利水双方の機能を備えた多目的ダムに関する法律「プロイセン水法」が制定される
- 1916年最初のコンクリート舗装の滑走路フランスのクレルモンフェランで、最初のコンクリート舗装された滑走路が造られる
- 1917年アメリカのダム建設アメリカで「洪水防御法」が制定され、ダム建設や河川改修が行なわれる
- 1935年調節可能な鉄柱スイス生まれの技術者ウィリアム・A・デ・ヴィジエが、長さの調節可能な鉄柱を設計し、支保工の柔軟な設置に貢献する
- 1938年世界初の海上石油プラットフォームアメリカのスペリオル石油会社が、メキシコ湾岸の油田上に世界初の石油プラットフォームを建設する
- 1942~1943年海上要塞の建造第二次世界大戦中、イギリスの陸軍・海軍が、テムズ川・マージ―川河口に、海上要塞「マンセル要塞」を建造、その後の石油プラットフォームの構造に影響を与える
<参考文献>(2019/11/09 visited)